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「全樹脂電池」ってなんだ? 次世代型リチウムイオン電池開発でAPBが80億円を調達

  • 2020/03/04
  • Motor Fan illustrated編集部
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次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発を行うAPBは、JFEケミカル、JXTGイノベーションパートナーズ、大林組、慶應イノベーション・イニシアティブ1号、帝人、長瀬産業、横河電機の計7社を引受先とする第三者割当増資により、総額約80億円の資金調達を実施する。

 APBは、三洋化成工業とAPBの現代表取締役である堀江英明が共同で開発したバイポーラ積層型のリチウムイオン電池である全樹脂電池(All Polymer Battery)の製造及び販売を行うスタートアップ企業。全樹脂電池は、界面活性技術を有する三洋化成が新開発した樹脂を用い、活物質に樹脂被覆を行い、樹脂集電体に塗布をすることで電極を形成している。このような独自の製造プロセスにより、従来のリチウムイオン電池よりも工程を短縮することで、製造コスト・リードタイムの削減を実現するとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現している。部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で、樹脂で構成しているため、電極の厚膜化が容易に行え、セルの大型化が可能で形状自由度が高いことも特長であり、リチウムイオン電池理想の構造ともいえる。

 今回の資金調達は、APBが開発する全樹脂電池の量産工場設立を主たる目的とするものであり、今回の資金調達を踏まえて、全樹脂電池の量産技術の確立、製造販売の開始に向けて投資を実施する。また、全樹脂電池の量産やその後の市場展開において必要となる各分野において、豊富な経験を持つ新たなパートナーの支援を得ることで、APBは成長を加速していく。

【APB株式会社代表取締役・堀江英明氏によるコメント】
従来、電池のデザインにおいて、電流を通す端子や集電体は、抵抗を低減するための部材として金属であることが必須と考えられてきました。我々は今回、世界で初めて、集電体を含めた電池骨格を全て樹脂材料で再構築し、またバイポーラ構造を採用することで、出力は従来同様に確保しつつ、異常時においても電池内部での急激な発熱・温度上昇を抑制する、世界初の電池デザインとそれを支える一連の革新的な技術群を創出し、この高性能電池を『全樹脂電池』と名付けました。今回の増資で、既存株主に加え新たなパートナーからのご支援を頂くことにより、さらに強力な体制で、工場建設・新生産プロセスを実現し、いち早く本技術の社会実装を図ってゆく所存です。

【三洋化成工業株式会社代表取締役社長・安藤孝夫氏によるコメント】
自家発電、蓄電、電力の自由化、再生可能エネルギーの活用、IoT技術による電力インフラの高度化、災害対応など、今まで以上に電池や蓄電システムの重要性は高まっています。曲げても釘を打ちつけても発火せず安全で、形状自由度が高く、低コストにつくれるという革新的でユニークな全樹脂電池は、あらゆる生活の場面を豊かにし、持続可能な社会の創造に貢献できるものです。三洋化成はAPBの株主としてそのような全樹脂電池の事業化を支援し、パートナー企業のみなさまとともに『オールジャパン』の体制を作っていければと思っています。10月には株式会社日本触媒との統合を控えていますが、三洋化成・日本触媒の強みを融合し、経営リソースを投入して統合後も引き続きAPBをサポートしてまいります。

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