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マツダのCセグ向けSKYACTIV-G2.5ターボ | 北米のMAZDA3、CX-30が積むG2.5Tはじつは改良版なのだ。どこが違うか、解説する

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マツダ SKYACTIV-G2.5T

SKYACTIV-G2.5Tは、ダイナミック・プレッシャー・ターボで過給した2.5ℓ直4エンジンだ。国内でもCX-5やCX-8、MAZDA6に搭載されている。このG2.5T、北米ではCセグのMAZDA3、CX-30にも搭載されている。同じエンジンかと思いきや、さまざまな改良が加えられているのだ。
TEXT◎世良耕太(SERA Kota)FIGURE◎MAZDA

北米では2021年モデルからCセグメントのMAZDA3、CX-30にもSKYACTIV-G2.5T搭載モデルが設定された。

2020年末から北米向けのMAZDA3とCX-30にSKYACTIV-G 2.5Tの2.5ℓ直4ターボエンジンを搭載した仕様が追加された。SKYACTIV-G 2.5Tはこれまで、CX-9(北米のみ)やCX-8やCX-5、マツダ6といった、比較的大型の車両に搭載されてきた。初めて搭載したのはCX-9で、2016年に3.ℓℓV6自然吸気(NA)エンジンの代替として投入されている。

3.7ℓV6自然吸気から2.5ℓ直4ターボなので、一見すると過給ダウンサイジングターボのように感じられるが、マツダは「従来のダウンサイジングターボとは一線を画す」と説明している。4.0ℓV8NAエンジン並みの圧倒的なトルクを実現しつつ、ターボラグを感じさせない加速レスポンスを実現し、卓越した燃費・環境性能を目指したのがSKYACTIV-G 2.5Tだ。

4気筒の180度クランク位相を利用し、隣接した気筒の吸気脈動によって素早く掃気を行なうため、排気管は4-3-1集合。そこからターボまでにバルブで排気流量によって2系統を切り替える。小さい方がバイパス流路。

この意欲的なコンセプトを実現する代表的な手段が、ダイナミック・プレッシャー・ターボである。大排気量NAエンジン並みの加速レスポンスを実現するブレイクスルー技術だ。エキゾーストマニフォールドは2番と3番気筒をまず一緒にし、その後で1番、4番と合流させる4-3-1レイアウトとした。1番気筒の排気が勢いよく出ると、合流部の圧力が下がるので、その勢いを利用して2番気筒の残留ガスを引っ張り出す。そのことで2番気筒の筒内温度は下がるし、冷えた空気の充填効率が高まる。これに、低回転域では排ガス流路を狭くしてタービンへの流速を高める可変バルブを組み合わせ、レスポンスとトルクの向上を実現した。

北米における燃料は、レギュラーオクタン価87 プレミアムオクタン価93である。

2.5Tは18年11月に行なわれたCX-8の商品改良で国内への導入が始まり、以後、CX-5とマツダ6にも展開されている。このエンジンが北米ではマツダ3とCX-30にも搭載されるようになったのかと思いきや、実は改良版なのである。最大の違いはインタークーラーだ。従来の2.5T(以下2.5T_2016)が空冷インタークーラーを採用するのに対し、改良型の2.5T(以下2.5T_2020)は水冷インタークーラーを採用する。

水冷インタークーラーの採用はコンパクト化のためだ。2.5T_2016はCX-9やCX-8、CX-5にマツダ6といった、比較的大型の車両への搭載を前提に開発された。マツダ3とCX-30はひとまわり小さくエンジンコンパートメントの容積も小さい。新世代Cセグメント車の小さなエンジンコンパートメントに合わせて改良されたのが、2.5T_2020というわけだ。

89.0×100.0mmのボア×ストロークと10.5の容積比に変わりはない。ダイナミック・プレッシャー・ターボも制御に変更を受けたうえで受け継いでいる。最高出力はプレミアムガソリン使用時が253ps(186kW)/5000rpm、レギュラーガソリン使用時が230ps(186kW)/5000rpmで、やはり2.5T_2016からの変化はない。いっぽう最大トルクには変化があり、2.5T_2016の最大トルクはガソリンのオクタン価を問わず420Nm/2000rpmだったが、2.5T_2020の場合はレギュラーガソリン使用時が420Nm/2000rpmで、プレミアムガソリン使用時は434Nm/2500rpmとなる。

新エンジンはこれまで採用してきた空冷式インタークーラーを用いず、省スペース性に優れたマニフォールド内蔵型の水冷式インタークーラーを採用した。

2.5T_2016の空冷インタークーラーは、フロントバンパー背後の空気があたりやすい一等地にあった。2.5T_2020の水冷インタークーラーは吸気マニフォールド内蔵型だ。空冷インタークーラーまでの長い吸気パイプを取り回す必要がなくなり、コンパクトに成立するのが特徴である。そしてこのコンパクト化により吸気系の容積が大幅に低減(10.8ℓ→6.6ℓ)。1500rpmからの全開加速のレスポンスでは、初期の応答性を維持しつつ、ブースト上昇時間を30%短縮したという。発進時は従来と同様に力強く、高速域まで伸びやかな加速が実現する特性になっている。

水冷インタークーラーを搭載するのは、高応答エアサプライ(スーパーチャージャー)を搭載するSKYACTIV-Xと同じで、水冷インタークーラーの冷却水を冷却するラジエーターとウォーターポンプなどを備えた冷却システムを構築している。ただし、2.5T_2020はSKYACTIV-X(最高出力190ps(140kW)/最大トルク240Nm)よりも高出力のため、冷却水流量を確保して熱交換性能を高めるため電動ウォーターポンプを大型化(容量15W→70W)している。

2.5T_2020では、水冷インタークーラーの採用によって吸気系の構造を大きく見直す必要に迫られた。2.5T_2016はサージタンクの近くにあるスロットルバルブによってクールドEGRを各気筒に対して最適に分配するが、2.5T_2020は水冷インタークーラーの手前にスロットルバルブを設けるため、その手が使えない。EGRがばらつくと、混合気温度の高い気筒が出てしまい、ノッキングを回避するために最適な点火進角で点火できなくなり、トルクの低下や燃焼の悪化を招く。

この問題を解決するため、2.5T_2020ではサージタンクの手前でEGRが充分に空気と混ざるよう、サージタンク直前にベンドを設けてEGRの混合促進を図り、さらにサージタンクに対して左右均等にEGRが入る構造とした。

SKYACTIV-G 2.5Tはコンパクトな新世代Cセグメント車に載せるべくインタークーラーを空冷から水冷に変更。高い動力性能を維持しつつレスポンスを向上させるために多くの工夫を必要とした。それにも増して、4.0ℓV8NAエンジン並みの力強いトルクやターボラグを感じさせない加速レスポンスがマツダ3やCX-30の走りにどんな影響をおよぼすのか、大いに気になるところだ。

北米仕様の2021年モデルのCX-30。新型のSKYACTIV-G2.5T搭載グレードが設定されている。

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