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内燃機関超基礎講座 | ナノレベルのPMを濾し取るエアフィルターのテクノロジー

  • 2021/05/26
  • Motor Fan illustrated編集部
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大気中には、目視できないレベルの微細な浮遊物が多数存在している。エアクリーナーは、エンジンの吸気経路前方に位置し、吸気中に含まれるさまざまな物質をフィルターによって濾し取ることで、エンジン内部への浸入を防ぎ、コンディション維持や燃焼の安定に貢献するパーツである。
TEXT:松田勇治(MATSUDA Yuji) PHOTO:水川尚由

現在のフィルターが濾し取る対象は、土壌や花粉や胞子(直径約10~40ミクロン程度)やホコリ(綿ホコリで30ミクロン、ハウスダストで15ミクロン程度)はもとより、昨今ではナノサイズPMなどのSPM(Suspended Particulate Matter:浮遊粒子状物質。粒子状物質のうち10ミクロン以下のもの:ディーゼル排気粒子・Sootで0.1〜数ミクロン程度)をもターゲットとしている。

これらを確実に濾し取るため、ろ材に用いる繊維の微細化を進めざるをえないが、その上で吸入抵抗を増やさないため、フィルター面積は可能な限り広く確保したい。一方で、エンジンルームの中でエアクリーナーケースが占めるスペースは小さいほど好ましい......といった背反しがちな条件下で、効率よく集じんできるろ材と構造の研究が重ねられている。

プリウスが搭載する2ZR-FXE型エンジン用エアクリーナーの内部構造。上方の白い部分が、停車中の燃料蒸気漏出を防ぐHC吸着フィルター。このモデルでは流路上のパーツに直接貼付し、コスト低減を図っている。下側の黄色い部分が、広面積・高集じんタイプのエアフィルターだ。

また、市場での実際の扱われ方にも留意する必要がある。一例をあげれば、交換したフィルターはそのまま可燃ごみとして出せるよう、金属製の部品を使わずに剛性を確保したり、ろ材もより環境負荷の小さいパルプなどに切り替える、といった試みが始まっている。

あまり知られていないが、吸気系にはもうひとつのフィルターがある。燃料蒸気(HC:ハイドロカーボン)成分を吸着するフィルターだ。停車中の車両の燃料タンクや供給系から燃料蒸気として排出されるHC量について、世界的に規制が強化される方向に進んでおり、米国では従来の1/4以下にまで強化された。このレベルになると、吸気ポートやインジェクターに残っている燃料さえ無視できない。そこでエアクリーナーケース内に吸着剤(活性炭)を配し、車外放出を防ぐ。吸着したHCは、エンジンを始動すると負荷によって吸気系へ戻っていく。

特にコンパクト以下のクラスでは、エアクリーナーケースを可能な限り小さくしておきたい。写真の1KR-FE型エンジンは、ヘッドカバー内部にエアクリーナー機能を内蔵し、パッケージ効率の向上に貢献している。吸気経路は2層構造で、左側から吸込み、写真上の右側に見える白いエアフィルター部を下方から通過する。

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