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国産各社のプラットフォームを解説(2):MFi164「日本車総点検」

  • 2020/05/15
  • Motor Fan illustrated編集部
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スバル全車に採用される予定のSGP(SUBARU GLOBAL PLATFORM)。

5月15日発売のモーターファン・イラストレーテッドvol.164「日本車総点検」では、カテゴリー別にどのようなプラットフォームが採用されているかを掲載した。各社のプラットフォームにはどのような特徴があるのか、3回に分けて解説していく。第2回はホンダ/スバル/マツダを取り上げる。
TEXT:安藤 眞(ANDO Makoto)

ホンダ:独自のセンタータンクが大きな特徴

 Bセグメント以下をカバーするコンパクト系と軽自動車用は、ガソリンタンクを前席クッション下に搭載するセンタータンクレイアウトを採用。フロントサイドメンバーがタンクの手前で途切れるため、小型車用は、タンク搭載後にボルト締結される前後メンバーとサイドシルに前面衝突荷重を分散させるY字構造を採用する。軽自動車用はボルト締結メンバーがない代わりに、タンクの前にクロスメンバーを配置し、Y字構造から伝達された荷重を横方向でも支える構造となっている。

センタータンク方式を採用しているヴェゼル。

 フリードのプラットフォームはダッシュパネルから前をフィット系と共用し、キャビン以降を専用設計したもので、センタータンクレイアウトは非採用。ジェイドのプラットフォームは「コンパクト」系に分類されているが、Bセグメント系より一格大きい。ダッシュパネルから前を先代シビックの欧州仕様と共用し、フロントフロア以降を専用設計したもので、ガソリンタンクは後席クッション下に、超薄型の専用品が搭載される。

アコードに採用されているプラットフォームの構成。

 (新世代)と書かれているものは、C-Dセグメント用も大型用も、ほぼ相似形の骨格配置。格子状のフロア骨格を密に配置し、フロア剛性を高めていることを特徴とする。ミニバン用は、3列目席床下格納を成立させるための独自レイアウト。電動車専用プラットフォームは、水素タンクや走行用バッテリーの搭載スペース確保と衝突安全性を両立するため、組み幅の広いストレート骨格を採用している。


スバル:全モデルのSGP移行を推進中

 新世代プラットフォーム「SGP(Subaru Global Platform)への転換を進めているスバル。もっとも小さいインプレッサから、北米市場で販売されている5m級SUV「アセント」まで、モジュール化された共通プラットフォームでカバーする構想だ。そのルーツとなっているのが、レガシィに採用される「従来型」プラットフォーム。ここから得られた知見をベースに年次改良を積み重ね、玉成されたのが「プレSGP」と呼ばれるものだ。

剛性値など大幅な性能向上を果たしたSGP。

 プレSGPは、従来型プラットフォームの弱点を後付けの補強類や部分的な形状変更で補っているが、その機能を主要骨格部材に負担させて合理化を図るべく、骨格構造を一新したのがSGP。フロアサイドメンバーを斜めに通したトラス構造や、骨盤のように滑らかな形状のリヤサス周り骨格を特徴とする。衝突試験の中でももっとも条件の厳しいオブリーク衝突試験(10度以上の偏角スモールオーバーラップで大型SUV相当の2.5t移動バリアを90km/hで衝突させる)をパスすることを想定しており、これが最初に採用されたインプレッサとXVは、JNCAP衝突試験で過去最高得点を記録し、衝突安全性能評価大賞を受賞している。

レヴォーグにはSGPで採用される知見を先取りして投入していた。

 BRZのプラットフォームも系譜としては「従来型」だが、エンジンの低位置・後方搭載に対応するため、ほとんどの部品が専用設計されている。

マツダ:新たにCセグメントにトーションビームを採用

 マツダは新世代技術の総称として、2010年に「スカイアクティブ・テクノロジー」を発表。「スカイアクティブ」とは、原理原則に立ち返って既存技術を見直し、高く広がる空のように、無限の可能性を追求する姿勢を意味する。それをボディ設計に反映したのが「スカイアクティブ・ボディ」だ。

CX-5のボディ。リヤサスはマルチリンクだ。

 現在のラインナップは、Bセグメント以下(マツダ2/CX-3)をカバーするものと、Cセグメント以上(ロードスター除く前記以外)をカバーするものの2系統に分かれている。骨格配置は相似形ではなく、Bセグメント以下が格子状であるのに対し、Cセグメント以上はトラス状になっている。素材はすべて鋼板としており、従来技術へのこだわりが感じられる。

リヤサスはトーションビームとなるMAZDA3。

 Cセグメント以上のものも日々進化しており、マツダ3およびCX-30の骨格には、振動エネルギーの集まる場所に設定したブレースの一面に減衰接着剤を使用した「減衰節」を配置し、振動騒音性能を向上させている。

パワープラントフレームが特徴のロードスター。

 FRレイアウトのロードスターは専用プラットフォームで、大きなフロアトンネルを骨格部材で補強したバックボーンフレーム構造を採用する。また、トランスミッションとリヤデフは、アルミ合金製のパワープラントフレームで結合されており、駆動力の伝達遅れを抑制している。

モーターファン・イラストレーテッドvol.164「日本車総点検」

日本車全モデル諸元360°分析 見えた「強みと弱み」
・BMEP(正味平均有効圧)/電動化の比率のその中身
・レシオカバレッジは広がっているのか?
・ディメンション徹底分析/プラットフォーム別車種系譜
・車両カテゴリーとタイヤサイズの関係

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