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【海外技術情報】GM:FactoryZEROは5Gテクノロジーを実装する最初のアメリカ自動車工場

  • 2021/01/18
  • 川島礼二郎
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2020年1月、GMはデトロイト・ハムトラック(Detroit-Hamtramck)の組立工場にGMの製造拠点として史上最大となる22億ドルを投資して、同工場をEV専用工場「Factory ZERO」に改修することを発表した。そのデトロイト・ハムトラック組立工場に、アメリカの自動車工場として初めて、5Gテクノロジーが実装された。
TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)

 GMがEV化の加速を急いでいる。2020年4月には、GMとホンダが、GMが開発したEVプラットフォームとGMの「Ultium(アルティウム)」バッテリーをベースに新型EV2車種を共同開発することを発表した。また当連載では、GMが自社開発する電動パワートレインである「アルティウムドライブ」を紹介した。それは3種のモーターで5タイプのドライブユニットというラインナップであった。

 そして2020年11月、デトロイト・ハムトラック組立工場(EV専用工場「Factory ZERO」)に、専用の5G固定モバイルネットワーク技術を導入した(筆者注:Factory ZEROという名称は、排出ゼロだけでなく、衝突ゼロ、混雑ゼロの未来に対するGMのビジョンを示している)。この5G導入はアメリカの自動車工場で初めてのことである。供給するのは、アメリカ大手通信事業者Verizon Communications Inc.の一部門であるVerizon business。Verizon Businessの5Gウルトラワイドバンドサービスは帯域幅と通信速度の両方が指数関数的に増加する。

 ここでローカル5G技術の概要について説明しておこう。そもそもローカル5Gとは、同じ5Gでも一般的な携帯電話事業者による5G(パブリック5Gと呼ばれる)とは別のサービスである。企業や自治体などが自らの建物や敷地内などの特定区域で5Gネットワークを構築することで利用可能となる5Gサービスのことである。

 ご存知の通り、一般的に5Gのメリットは三つあり、それは高速大容量、低遅延、複数端末同時接続である。しかしこの魅力的な5Gだが、日本全国にネットワークが近々構築される、ということはない。そこで製造業が注目しているのがローカル5Gである。もちろんシステム構築は自己負担となるが、それでも5Gが持つ、高速大容量、低遅延、複数端末同時接続、という特徴は魅力的なのである。特に低遅延での通信は極めて重要だ。生産ラインのネットワークは遅延に対して厳格であらねばならず、高い信頼性も求められるからだ。

 ローカル5Gには、ローカルだから得られるメリットも存在する。それはローカルだから安全性が高い、という点。自社で通信が完結できるから当然のことだが、安全性が極めて高い。また、ローカルであれば、自社の利用目的に応じてカスタマイズできるのも、ローカル5Gのメリットだ。例えば、複数端末から大容量データを収集しようとすると、パブリック5Gでは物足りない。ところがローカル5Gであれば、上り優先に通信の帯域を制御することができる。

Factory Zeroのローカル5Gはプラント変革の重要なステップ

 GM副社長のPhil Kienle氏は、以下のように述べた。
「Factory ZeroはフルEVの未来への旅におけるGMの主力組立工場になります。ここに5Gを実装することは、プラントの変革を実現するための重要かつ不可欠なステップであり、EV競争を勝ち抜くために、高度な製造技術が求められているのです」

 IoTは製造工場を変革しており、接続された機器が製品の品質と安全性に重要なメリットをもたらし始めている。ロボット、センサー、無人搬送車など、工場のフロア全体に資材を配送するシステムや機器は、接続性(コネクティビティ)に依存している。

「当社の労働者は、高速かつ信頼性の高いコミュニケーションに依存しており、デジタルツールを含めたあらゆるツールを利用することになります。ここFactory Zeroは、この種のイノベーションにとって理想的な場所と言えるでしょう」

 GMの最高情報責任者であるRandy Mott氏は述べた。
「ファクトリーゼロの新しい5G接続は、重要なアプリケーションデータを安全かつ迅速に製造チームに送信します。これはGMがEVの展開を加速するのに歩調を合わせて、生産現場においても品質と速度を向上させる最先端テクノロジーを使用している、という一つの好例と言えましょう」

 今回実装された5G、Factory ZEROの400万平方フィートを超えるスペース全体で数千のデバイスを管理する可能性を提供し、さらに追加されるであろう新しいテクノロジーをサポートするのに十分な容量を備えている。そして2021年にはアルティウムバッテリープラットフォームを採用した「HUMMER EV」をはじめとしたEVが、このローカル5Gを実装したFactory ZEROで製造されることになる。

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