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東芝:世界最高スピードでCO2を資源化する変換技術を開発

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東芝は、常温環境下において世界最高スピードでCO2を価値ある資源に変換可能なCO2資源化技術を開発した。封筒サイズの設置面積で年間最大1.0tのCO2を変換可能なCO2電解スタックの開発により、省スペース、また高速で脱炭素化に貢献する処理能力を達成した。

概要

 東芝は、二酸化炭素(CO2)を燃料や化学品の原料となる一酸化炭素に電気化学変換するCO2資源化技術「Power to Chemicals」において、変換する電解セルを当社独自の秘術で積積層(スタック化)することで単位設置面積あたりの処理量を高め、郵便封筒(長3)サイズの設置面積で、年間最大1.0t-CO2の処理量を達成した。これは、常温環境下で稼働するCO2電解スタックにおいて世界最高の処理速度となる。

 電解セルをスタック化することにより処理速度が低下するという課題があったが、今回、東芝は、独自技術によって、スタック化により生じる速度低下を防ぐことに成功した。スタック化により単位設置面積当たりの処理量も増加するため、実用レベルの省スペースでCO2を有価物に変換することが可能となる。例えば、1日のCO2排出量200tとなる清掃工場であれば、2000平方メートル(バスケットコート5つ分)程度の設置面積で処理ができると試算できる。セルをさらに積層することでスケールアップが可能であり、早期実用化に向けて大きく前進した。

開発の背景

 脱炭素社会の実現に向けて、工場などの産業部門におけるCO2排出量の削減は不可欠である。特にCO2排出量が多い製鉄・化学分野における削減は喫緊の課題となっており、CO2を電気が関与する化学反応(電気化学反応)により有価物へと資源化し有効利用する技術の開発が進められている。東芝においては、再生可能エネルギーの余剰電力を利用して電解電極表面での電気化学反応により資源化する「Power to Chemicals」技術の開発を推進している。

 こうした技術を用いたCO2を資源化する設備は、基本的に既設の工場内に設置されることとなる。大量のCO2を限られたスペースで処理することが求められ、実用化にはCO2処理能力の向上が必須である。東芝は、独自の触媒電極の開発により、CO2処理能力の指標である電流密度を飛躍的に向上させることに成功してきた。実用化に向けてさらなる処理量の増加には、電解セルを積層させるスタック化が有効だが、スタック化すると電解時におけるエネルギー損失から熱が発生し、CO2処理量が低下するという課題があった(電解時のエネルギー損失から発生する熱の影響により副反応である水素発生が生じ、CO2処理量が低下する)。

本技術の特徴

 東芝は前述の課題を解決するために、電解セル内に熱を冷却する冷却機構を設けた独自のCO2電解スタック構造を開発した。電極間に冷却流路を設けることで熱の発生を抑え、CO2変換反応の停滞を防ぐ。冷却流路は、発熱量にあわせて設計が可能なため、用途に応じたセルの大型化や積層化に対応できる。本技術により、設置面積100平方センチメートルのセルを4つ積層したCO2電解スタックを試作して動作検証した結果、常温環境下での世界最高スピードとなる60NL/h(0℃、1気圧の標準状態における体積[ℓ])のCO2処理速度(年間最大1.0t-CO2)でのCO2変換を実現した。今回開発したスタックは、幅23cm×奥行23×高さ23cmとなり、設置面積は郵便封筒(長3)程度になる。

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