帝人:PPS使用のテープ状炭素繊維プリプレグを開発
- 2021/05/20
- Motor Fan illustrated編集部

帝人グループにおいて、欧州で炭素繊維事業を展開するテイジン・カーボン・ヨーロッパ(TCE)は、一方向性の炭素繊維プリプレグ 「テナックス TPUD」(ThermoPlastic UniDirectional)の新製品として、このたび、 母材にポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を使用した、テープ状の炭素繊維 プリプレグを開発した。
このたび開発した新たな「テナックス TPUD」は、既に市場展開しているポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂やポリアリールエーテルケトン(PAEK)樹脂を使用した「テナックス TPUD」と同様に、耐薬品性、耐熱性、リサイクル性、低吸水性、寸法安定性、高温下での耐クリープ性、および短時間成形や室温での貯蔵、出荷を可能にするなどの特性を備えながら、PEEK樹脂やPAEK樹脂を用いたものよりも低い温度での成形が可能という特長を有している。これによりPPS樹脂を使用した「テナックス TPUD」は、高い費用対効果を発揮しながら、要求特性の厳しい航空機用途や自動車用途をはじめ、石油・ガス産業用途、スポーツ用途、医療用途、産業機械用途などに向けたソリューション展開が可能で、さらに難燃性と低発煙性能にも優れることから、航空機や鉄道車両の内装用途にも使用することができる。
また、PPS樹脂を使用した「テナックス TPUD」は、ATL(*1)やAFP(*2)といった技術で自動積層し、オーバーモールド成形(*3)により複雑な形状を付与するなど、より高度な技術に対応することが可能で、生産効率の向上により製造工程のコスト効率向上にも大きく寄与する。
帝人は、これまでPEEK樹脂およびPAEK樹脂を母材としたテープ状の炭素繊維プリプレグを展開してきたが、このたび、母材にPPS樹脂を使用した「テナックス TPUD」を開発し、ラインアップに加えることにより、これまで以上に幅広い分野への 展開が可能となる。
(*1) ATL: Automatic Tape Lay-upの略。3インチから12インチ幅のプリプレグテープ材を平面上に積層する方法。
(*2) AFP: Automated Fiber Placementの略。一方向プリプレグを繊維方向に1/8~1/2インチ幅にスリットしたテープを複数本同時に自動で積層する方法で、3 次元曲線など複雑な形状でも成形できる技術。
(*3) オーバーモールド成形: 樹脂成形物の上に別の樹脂を射出成形して積層体を製造する方法。
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