三菱SUVの力強さと走破性、3列6人が乗って快適な室内空間とユーティリティを両立 三菱の小型クロスオーバーMPV「エクスパンダー(Xpander)」がインドネシアショーでワールドプレミア
- 2017/08/14
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遠藤正賢
三菱自動車工業は8月10日、20日までジャカルタで開催される「ガイキンド インドネシア国際オートショー2017(GIIAS2017)」で、小型クロスオーバーMPVの新モデル「エクスパンダー(Xpander)」をワールドプレミアした。
「拡大する」「進化する」を意味する「expand」を語源とするエクスパンダーは、デザインよりも室内空間が優先されがちなインドネシアの小型MPV市場において、普段使いだけでなくフォーマルなシーンにも映えるクルマとし、所有する喜びを感じられるよう、MPVの持つ広々した室内空間や使い勝手と、SUVで培われた外観デザインや走破性の高さを併せ持つ次世代クロスオーバーMPVとして、3年前より開発がスタート。
インドネシアユーザーが求める「多人数の家族構成に対応」「多くの荷物を積めること」「高いコストパフォーマンス」を満たすため、クラストップの室内空間と、3列目の居住性および乗降性の良さ、さらには三菱車らしい内外装デザイン、多彩なユーティリティ、低燃費でありながら7人乗ってもしっかり登坂する動力性能、信頼感のある操縦安定性や高い静粛性による乗り心地の良さを確保することを目指して開発された。
なお、最終仕上げは、インドネシアで現地のスタッフとともに走行試験を実施。様々な走行環境下でのチューニングを経て量産仕様を完成させている。
全長×全高×全幅=4475×1750×1695~1700mm、ホイールベース2775mmのボディには、ミドルラージSUV「パジェロスポーツ」の力強さや存在感、上質感を受け継ぎつつ、近年の三菱車に共通のフロントデザインコンセプト「ダイナミックシールド」を採用。LEDポジションランプは被視認性に優れる高い位置に、ヘッドライトはフロントバンパーの低い位置に配置するなど、より機能的に進化させている。
側面には、掘りの深いキャラクターラインと大きく張り出した前後フェンダー、流麗なルーフラインとリヤクオーターピラーの上端を抜いた伸びやかなウィンドウグラフィックを与えることで、SUVらしさとMPVらしさを融合させた。
リヤまわりは渋滞中に長時間見られることを考慮し、車体側からテールゲート側まで連続して点灯するライン発光のLEDテールランプを採用。スモールランプ点灯時はL字型のラインで光り、ブレーキング時はL字型の部分とは別にストップランプを点灯させることで、被視認性を高めている。
水平基調のインパネで開放感を高めた室内には、ベージュとブラックの2色が設定され、それぞれに木目調またはカーボン調シルバーのインパネ&ドアトリムパネルを装着。どの席に座ってもゆとりが感じられるよう、乗員間の距離・室内幅・ヘッドクリアランスを大きくとるとともに、足を置くフロアスペースをフラットにした。
特に居住性の確保が難しい3列目は、シート幅を充分に取るとともに、2列目シートレールに邪魔されることなくシート下に足が入るよう形状や配置を工夫。さらに、2列目シートにタンブル機構を与えて乗降スペースを拡大するなど、乗り降りのしやすさにも配慮している。
シートアレンジは多彩で、背もたれ中央を倒してアームレストとして使用可能な2列目には6:4、3列目には5:5分割の前倒し機構が搭載された。なお、2列目と3列目を全て倒せば、段差や隙間のないフルフラットかつ広大なスペースができあがる。
3列目を使用した状態でも、荷室には19Lのガロンボトル4本またはベビーカーを積めるほか、荷室床下の収納スペースには靴や傘などを置くことが可能だ。
エンジンはかつてコルトなどに搭載されていた4A91型1.5L直4エンジンを設定。鍛造製クランクシャフト、高剛性エンジンマウントブラケット一体チェーンケース、アルミオイルパン、スティフナープレート、アルミ製エキゾーストマニホールドカバーなどで低騒音・低振動化を図りつつ、105ps/6,000rpm・14.4kgm/4,000prmのパワー・トルクを確保した。トランスミッションは5速MTまたは4速ATが選べ、駆動方式はFFのみとなっている。
室内空間確保に配慮してフロントにストラット式、リヤにトーションビーム式が採用されたサスペンションは、形状を変更しつつ取付部を補強することで剛性をアップ。リヤダンパーの取付角度を直立にしつつ、ランサーエボリューションにも使われた高性能タイプのバルブを前後ダンパーに採用して、操縦安定性と乗り心地をアップさせた。
タイヤサイズは185/65R15と205/55R16の2種類を設定。さらに、ASEAN地域特有のスコールや悪条件の道路環境にも対応できるよう200~205mmの最低地上高を確保しつつ、エンジンの吸気ダクトを高い位置に配置し、フロアにある貫通穴を塞ぐなど、浸水対策を入念に施している。
ボディには、バルクヘッドやフェンダーにもボルトオンする構造のフロントストラットタワーバーを採用するとともに、リヤホイールハウスを中心に構造用接着剤を使用して剛性をアップ。
ルーフには厚みを増したヘッドライニングとサイレンサー、フロアには全面吸音層を追加し厚みを増したカーペット、フロントガラスには音を通過させにくくするフィルムを挟み込んだものを採用し、ドアガラスも厚みを増すことで、スコールにも耐えられる遮音性・吸音性を確保した。
インドネシアでの販売価格は、5速MT車が189,050,000~214,550,000ルピア(1ルピア=0.008円換算で1,512,400~1,716,400円)、4速AT車が224,950,000~245,350,000ルピア(同1,799,600~1,962,800円)。インドネシアの西ジャワ州ブカシ県に新設された工場で年間8万台が生産され、同国では今秋より、ASEANを始めとする一部の地域には2018年初春より出荷される計画。
よりトルクフルかつ低燃費なパワートレインや4WD、アウトランダーと同等以上の予防安全技術などは必要になるだろうが、エクステンダーが持つ内外装の質感や居住性、ユーティリティは、日本市場でも充分に通用するレベルと思われる。「ASEANを始めとする一部の地域」に日本が含まれているのか、期待を込めて続報を待ちたい。
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