Mercedes-Benz A-Class Impression from Editor's room 〈新型Aクラス試乗〉 メルセデス・ベンツの哲学に触れる、絶好のエントリーモデル
- 2019/02/10
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ニューモデル速報 森田 準
新開発のM282型 1.4ℓ4気筒直噴ターボエンジン
エンジンは新開発の1.4ℓの直列4気筒 DOHC直噴ターボ。先代よりも11%出力向上が図られている。
136ps/20.4kg-mのパワー&トルクは、特別パワフルとか高級感があるといったものではないが、7速DCTと組み合わせられ不満のない加速を披露してくれる。
だが、不満ではないがターボエンジン+DCTというイメージからすると、個人的にはもう少し俊敏な加速をしてくれるとうれしいとは感じた。トップエンドのパワーが足りないといった感じではなく、そこに到達するまでの過渡特性が穏やかに感じたのだ。
まあこれもハンドリングと同様で、誰が乗っても不安を感じることのない穏当な制御と考えれば納得できる。
乗り心地はファミリーカーと言えども、路面の凹凸を感じさせない乗り心地ではなく、路面の状況を把握できるよう段差を乗り越えた衝撃は適度に伝えつつ、減衰させるタイプの王道的な乗り味になっている。
ハンドリングについても、いわゆる弱アンダーで安定性の高い挙動を示してくれる。
スポーツカーのようにハンドルを“切った分だけ曲がる”ようなセッティングではなく、“切った分より少しだけ曲がらない”弱アンダーは安定性が高く、どんなドライバーが運転しても安心感を感じるだろう。
スキルのあるドライバーでも、それくらいの味付けの方が長時間のドライブでは疲労も少なくて済むので、家族とハンドルをシェアする使い方の多いAクラスのキャラクターがハンドリングでも表現されている。
ハンドルの手応え(≒重さ)についても然りで、個人的にはもっと明確手応え(なガッシリ感)を感じる方が好みではあるが、腕力のない女性ドライバーが乗っても、違和感を感じない重さだろう。
Sクラスと同等の安全装備に偽りなし
新型Aクラスには、現在メルセデスが持つ安全性能のすべてが注ぎ込まれている。
法規さえ許せばもう自動運転として運用できそうなレベルの「インテリジェントドライブ」はウインカーを作動させるだけで車線変更できる「アクティブレーンチェンジアシスト」も装備された。
「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」の制御も秀逸で、ステアリングに手を添えているだけで、ほぼ自動運転と言えるレベルで不安も違和感もなく走行してくれる。
車線逸脱を抑制する「アクティブレーンキーピングアシスト」の制御も含め、国産車の同機能と違い、ハッキリとステアリング切って車線を維持するので、運転をクルマに任せているという実感を感じる。
逆に、先行車への追従による加減速は自然で、必要以上に加速したり、減速が足りなかったりといった違和感がない、とても快適な自動運転感覚を味わえる。
高速道路に上がった際にはすぐにスイッチを入れたくなるほどの出来栄えだった。
注目のMBUXは慣れたら、もう手放せない
クルマとしてのデキがよかったので、鳴り物入りで登場したような目玉機能であるMBUXの紹介が最後になってしまった。
昨今スマホのSiriやOK Google、スマートスピーカーのAlexaなど、Ai流行りである。
MBUXも“ハイ! メルセデス”と呼びかけることで、新型Aクラスのさまざまな機能を活用することができる。しかも、“エアコン温度下げる”など、直接的な指示だけでなく“ちょっと暑いなあ”と、会話として話しかけた言葉を理解して対応してくれるのがウリだ。
これは後席からも操作できるので、ドライバーの手を煩わせることなくパッセンジャーが操作することもできる。さらに、運転席と助手席も認識するので、左右独立の温度調整も可能となっている。
機能によってはこちらの要望を理解させるのにコツがいるような印象も受けたが、それを探るも楽しい行為かもしれない。
このあたりの機能紹介はメルセデスのwebサイト新型Aクラスのページに具体例の動画がアップされている。百聞は一見にしかずなので、ご覧いただきたい。
視線も手も離さずにエアコンやオーディオの操作ができるという事実が、安全性を重んじるメルセデス・らしさという所だろうと思う。
さらに、自車の事故を検知したりSOSボタンを押すことでコールセンターに自動でつながる「24時間緊急通報サービス」や、クルマが走行不能になったなどのトラブル時にメルセデスのツーリングサポートに連絡のできる「24時間故障通報サービス」の機能が使える「メルセデス・ミー・コネクト」も搭載し、安全に対する準備も万全だ。
新型Aクラスは、選んで後悔することのない一台
新型Aクラスとのカーライフは、違和感のない自然体で居られる乗り味と、メルセデスの哲学に守られた安全性が魅力のクルマであった。
憧れのスリーポインテッドスターのエンブレムに満足感を感じる人も多いとは思うが、自分のためにメルセデスを選ぶ人はもちろん、大切な人のために安全性の高いクルマが欲しいと考えてメルセデスを選ぶ人にも打ってつけのクルマだと言える。
エントリーモデルであるだけに、装備を抑えれば382万円からこのメルセデスの安全哲学に触れることができる。ファーストカーとしてもセカンドカーとしても、選んで後悔することがない一台と評価できる。
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