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やはりEVもクルマ屋さんがつくるべし! ジャガーI-PACEは圧巻の走り〈JAGUAR I-PACE インプレッション〉

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本気のダイナミクスと新しい魅力に溢れている

 EVならではの凄まじい加速にも、アクセル操作にリニアに反応するマナーを備えているのがジャガーらしい。そしてBMW i3や日産リーフと同様に、アクセルを離すだけで高い回生ブレーキを得られ、ほとんどブレーキペダルを操作することなく運転することが可能だ。

 アクセルオフで得られる回生ブレーキによる減速Gは0.2Gで、ブレーキペダルを踏み込めばさらに0.2G、合計0.4Gのエネルギーを回生する。この回生ブレーキの強さはドライバーの好みで調整することもできる。

 さらにはクリープの発生も好みで選ぶことができる。

 一般的な内燃機関+ステップATに最も近い感覚で運転できるのは「クリープあり」「回生弱め」の組み合わせだが、慣れれば是非とも「クリープなし」「回生強め」を選んでいただきたい。そのほうがよりEVらしく、新感覚のスポーツドライブを楽しめるからだ。

センタークラスターはこのようにフローティングタイプで、裏側にはちょっとした収納スペースがある。
リヤシートの下には、このように傘などを入れられるスペースがある。斬新かつ細やかなアイデアだ。
ラゲッジスペースの容量は638Lで、エアサス非装着車であれば656Lとなる。
フロントフード内にもわずかながらラゲッジスペースが設けられている。

 そして白眉は、SUVらしからぬコーナリングである。I-PACEはフロントとリヤに独立したモーターを備えたAWDであり、EVだけにトルク配分は自由自在だ。そしてブレーキによるベクタリングも行っている。

 加えて前述の強力な回生ブレーキも相まって、減速からターンイン、そしてアクセルオンから脱出という一連の流れを、至極スムーズかつ軽快にこなすことができる。とても車両重量2tのSUVとは思えない動きである。

 バッテリーを床面に敷くことによる低重心化と、前後重量配分50:50というスポーツカーのような車体構成ももちろん貢献しているはずだ。ミズスマシのように右へ左へと瞬時に車線変更できるサマは、まるでロータス・エリーゼの如しである。

 これだけ理想的な重量配分が可能となると、内燃機関危うし、という心配も浮かび上がる。やっぱり自分、内燃機関が好きですから。

アクティブ・サウンド・デザインのコントロール画面。ダイナミックを選ぶと、地底から湧き上がるような力強いモーター音を楽しめる。
クリープや回生ブレーキの強弱は、ドライバーが任意で選択できる。筆者のオススメは「クリープ:OFF」「回生:高」だ。

 こうして短時間ではあったが試乗を終えてみて感じたのは、I-PACEにはもはやエコやら環境がどうしたやらという形容詞は必要ない、ということ。クルマとして、スポーツカーとして、本気のダイナミクスと新しい魅力に溢れた一台なのだ。

 あまり他ブランドのクルマを引き合いに出すのは適切ではないかも知れないが、やはりEVはクルマ屋さんにつくっていただきたい。シリコンバレーで人気のプレミアムEVブランドとは比べものにならないくらいI-PACEには「ファントゥドライブ」がある。名門ジャガー、あっぱれだ。

 ごく個人的な話で恐縮だが、I-PACEは自分で買いたいと思った初めてのEVである。オマエの収入で買えるはずないだろう、という無粋な指摘は受け付けておりません……。

ジャガー I-PACE ファーストエディション
全長×全幅×全高:4695×1895×1565mm ホイールベース:2990mm 車両重量:2240kg 最高出力:294kW(400ps)/4250-5000rpm 最大トルク:696Nm/1000-4000rpm フロントサスペンション形式:ダブルウィッシュボーン リヤサスペンション形式:インテグラルリンク 乗車定員:5名 タイヤサイズ:245/50R20(試乗車両はオプション設定の22インチを装着) WLTCモード航続距離:438km 0-100km/h加速:4.8秒 最高速度:200km/h 車両価格:1312万円

これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。

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