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テスラ のHEPAエアコンフィルターの“生物兵器防御モード”の凄さにちょっと迫るかも テスラ のHEPAフィルターはコロナウイルスにも対抗できる? 国産用でもあったウイルス除去99%のエアコンフィルター!

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モデルX以降、モデル3にも採用されるHEPAフィルターと、生物兵器防御モード。この効果はやはりすごい。

クルマのエアコンには、最近では花粉除去にも効くフィルターが採用されるなど、外部の有害な空気を浄化する機能がついているものも少なくない。そこで、これまでも話題にはされてはいたのだが、ぜひここで思い出して欲しいのがテスラに採用されているHEPAエアフィルトレーション・システムだ。

モデル3のインテリア。生物兵器除去モードでは、室内気圧もやや高めとなり、隙間から外部の空気を侵入させない。
 テスラ開発チームによる2016年のレポートをおさらいすると…
 大気汚染を「世界最大の単一環境健康リスク」と捉えるWHO(世界保健機構)の報告を受け、極めて重要な問題であると捉えた。つまりは毎年、交通事故で亡くなる人の2倍以上に当たる300万人が大気汚染によって命を落としているということだ。
 それらのことから、車の室内への空気導入フィルターの高性能化を図った。病院やクリーンルーム、そして宇宙産業などで空気ろ過システムが採用されていることから発想し、HEPA (High Efficiency Particulate Air Filter ) フィルトレーション・システムの開発にあたったという。
 このHEPAは花粉、バクテリア、汚染物を外気から取り除くことを目的として、乗用車の数百倍(2016年当時)の効果のあるシステム。
 テスラの開発チームはこのエアフィルトレーション・システムを、カリフォルニアのラッシュアワーの高速道路や中央盆地の牛の牧場、悪臭を放つ低湿地、ゴミの埋立地、そして中国の大都市などでテストを実施した。その狙いは、微粒子とガス汚染物、バクテリア、ウイルス、花粉、カビ胞子などをも確実に捉えるためだ。

モデルXの実験風景。大きな風船の中は1000μg/㎥のPM2.5で満たされたが、その生物兵器防御モードは見事に浄化を行なった。
 この効果の確認のため、モデルXをビニールハウスのような大きな風船の中に置き、その中の空気をPM2.5で1000μg/㎥のレベルに充填(中国で記録された最高レベルの汚染状態、参考:北京平均値60μg/㎥, -2017年、WHO推奨年平均値10μg/㎥)して、生物兵器防御モードを始動する実験を行なった。
 その結果、モデルXの室内の汚染レベルは、2分以内に測定器の計測可能レベルを下回るきれいな状態となった。そしてその数分後には、車外の空気の浄化もしはじめてPM2.5のレベルを40%も下げるという能力を見せた。この結果は、車内で軍事レベルの生物兵器による攻撃も避けることができるものだとテスラは説明した。

モデルX実験時のPM2.5の濃度。室内がブルーのグラフ、風船内がグレー。こちらすらも浄化されていっていることがわかった。
 このシステムの核となるのは、定期的に交換する一次フィルターと二次フィルターなのだが、フィルターは今後も性能向上が続けられるので、交換するほどに能力が高まっていくものでもあるという。さらに、フィルターとともに重要な点が、室内の圧力を大気よりやや高めることで、室内を完全に密閉しなくてもエアコンの外気導入経路以外からの空気侵入を防いでいる。
 クルマという「移動する空間」の新たな価値としても、テスラの空気浄化システムの考え方は今後さらに評価されてもいいのかもしれない。

 ちなみにHEPAとは、JIS規格では「定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕獲率を有し、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能をもつエアフィルター」と規定されている。ちなみに、ダイソンを始め多くの空気清浄機はHEPAフィルターを備えている。
 JIS規格などには、さらにその上にULPA (Ultra Low Penetration Air Filter) があり、そちらは「定格風量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕獲率を有し、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能をもつエアフィルター」という規定がある。こちらの方がさらに高精細となり流量が同様ということは、HEPAよりも薄い構造となりやすい。そのため、構造的に弱いので使用範囲はある程度狭くならざるを得ない。
 現在のウイルス対策は特殊な事例ではあるが、PM2.5や花粉対策などには、実に有効なフィルターだといえるだろう。


 ところで、関連製品を調べていたら日本でも興味深いものがある。NIPPAN(日発販売株式会社)のエアコンフィルターだ。こちらは多くの国産車に適合したグリーンエアコンフィルターという製品だが、最大の特徴がウイルスを99%除去するという点だ。

こちらがNIPPAN(日発販売)、グリーンエアコンフィルターのカタログ上の解説。

抗菌、脱臭、帯電の機能を持つ3層構造によって、さまざまな微細成分をブロック。
 通常の自動車用エアコンフィルターは不織布フィルターで粒状活性炭を挟んだ構造だが、このグリーンエアコンフィルターは抗菌シート(不織布)、脱臭シート(粉末状特殊活性炭)、帯電シート(不織布)の3層構造。抗菌シートでウイルス、カビ、大腸菌などをカット。脱臭シートで臭いをブロックし、帯電シートで超微細な花粉、PM2.5、カビ、ホコリ、排気ガスを吸着するという。
 このフィルターはSEKマークを取得している希少なカーエアコンフィルター。SEKマークとは、一般社団法人繊維評価技術協議会が実施する認証制度で、協議会の自主基準に合格した製品にこのマークを表示できる。SEKマークには表示色などの違いによって、抗菌防臭加工、制菌加工、抗かび加工、光触媒抗菌加工、抗ウイルス加工、消臭加工、光触媒消臭加工、防汚加工の認証がなされる。このなかでグリーンエアコンフィルターはSEKのなかでも、抗ウイルス加工の認証を得ている。
 このNIPPANのグリーンフィルターは、国産車用が多数用意されており、量販店、整備工場、ディーラーなどで取り扱われている。

 またこの種の抗ウイルス機能を持つフィルターはBOSCH製品にも、国産用ではアエリスト、輸入車用ではキャビンフィルターと呼ばれる製品のなかに対応製品がラインアップされている。
 新型コロナウイルスへの対策が必要な現在、決定的な予防策というのは見出されていないのが現状だが、車載用としてちょっと注目のアイテムかもしれない。

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