内燃機関超基礎講座 | マツダ・ナチュラルサウンドスムーザー:ピストンピン内のマイクロダンパー
- 2021/06/17
- Motor Fan illustrated編集部

マツダはSKYACTIV-D 1.5を登場させるにあたり、NVH性能向上を図り「ナチュラル・サウンド・スムーザー」なる部品を仕込んできた。ピストンピンの中に収めるダンパーで、世界初の試み。どのような仕組みで振動騒音を低減させるのだろうか。
3.5kHz前後のディーゼルノック音(ガラガラ音)を低減するために新たに開発したのが、ナチュラル・サウンド・スムーザーと呼ぶピストンピンに内蔵するダイナミックダンパーだ。ディーゼルノック音の発生源については因果関係を掴めた部分はすでに対策を施していた。残っていたのが、ピストンとコンロッドで、3.5kHz前後の音はここが発生源なのではないか、と推測することから開発がスタートしたという。世界初の技術で、すでに中国を含め特許を取得している。

開発陣はディーゼルノック音の発生源について解析を行なった。これまで比較的手つかずだったピストンとコンロッドに注目。すると、ピストンとコンロッド小端部に3.5kHz前後の振動ピークがあり、CAE解析で、ピストンを質量、コンロッドをばねとする上下伸縮振動(共振)であることがわかった。

ピストン(質量)とコンロッド(ばね)系の共振を減衰させるために、ピストンピンの中にダイナミックダンパーを仕込んだ。長さや重さについては、共振周波数が3.5kHzになるよう入念なチューニングを施した。2ピース構造となっていて、ピストンピンに圧入される。

コンロッドの剛性を高めることで対応ができないか試してみたがほとんど効果がなかったという。ダンパーの質量は重くないと効果がでないが、径は大きくできないため、長くなっている。素材はクローム鋼。素のエンジンの静粛性が十分に高いため不要では、という声もあったが、さらに高い静粛性を求めるユーザーに向けてオプション設定とした(AT車に設定)。

エンジン単体のテスト、実車走行時の車室内音計測結果でも3.5kHz前後のディーゼルノック音が大幅に低減した。発進時や緩加速時のディーゼル特有のカラカラ音を抑制に大きな威力を発揮する。試乗はできなかったが、音声で比較しても効果は明らかだった。
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