アウディがベルリンで開催された「グリーンテックフェスティバル2021」に参加。製品ライフサイクルに沿ったサスティナビリティを展示
- 2021/06/21
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MotorFan編集部
アウディはこのほど、6月16〜17日にドイツ・ベルリンで開催されたグリーンテクノロジーとサスティナビリティのためのフェスティバル「グリーンテックフェスティバル2021」に出展し、アウディの製品、プロセス、素材が、イノベーション、テクノロジー、デジタル化と一体となって、気候変動と闘い、持続可能性を促進することを示した。
アウディが製造およびサプライチェーンにおいて、二酸化炭素排出量を最小限に抑える方法だけでなく、他の製品、プロセス、素材にも目を向けていることを紹介
同フェスティバルのアウディブースでは、アウディによる再生可能エネルギーの利用拡大、プラスチックを対象とする資源に優しいアプローチがどのように機能しているのか、サスティナビリティ戦略を実行するうえでサプライチェーンに人工知能を導入することの重要性など、さまざまな内容を学ぶ機会が提供された。
アウディAGでブランド責任者を務めるヘンリック・ヴェンダーズ氏は、「グリーンテックフェスティバル2021」が持続可能性を高め、気候変動と闘うための革新的なテクノロジーやコンセプトを紹介する絶好の機会になるとの考えており、今回に出展に際して次のようにコメントしている。
「昨年のイベントで私たちは、製造およびサプライチェーンにおいて、二酸化炭素排出量を最小限に抑える方法を示しました。今年は、アウディが他の製品、プロセス、素材にも目を向けていることを紹介します。私たちは、持続可能なテクノロジーが、住みやすい未来と明日のモビリティを実現すると確信しています。持続可能性は、私たちの考え方に深く根付いており、積極的にこれを実行に移し、誰もが同じように行動するように促したいと考えています」
今回の同フェスティバルにおいてアウディが焦点を当てたトピックを見てみよう。
電力会社とのパートナーシップ:アウディは再生可能エネルギー開発への資金提供を拡大
電気自動車は、単体で見れば二酸化炭素を排出しないが、発電の際には発生する。電力を再生可能エネルギーから生成した場合と化石燃料から生成した場合を比較すると、後者の方が圧倒的に二酸化炭素排出量が多いことが知られている。そこでアウディは、未来に向けてグリーン電力の生成を推進し、エネルギー業界の複数のパートナーとともに、2025年までに合計で約5テラワット時を生成する新しい風力発電所と太陽光発電所をヨーロッパに建設することを計画している。これは、250基以上の風力発電タービンを新設した場合の発電量に相当するものだ。
その目標は、パートナー企業との協力のもと、電気自動車の増加に合わせて再生可能エネルギー源から生成された電力の割合を増加させること。アウディはまず、ドイツの電力会社「RWE」と提携する。技術開発を担当するオリバー・ホフマン取締役は、次のように述べている。
「私たちは、カーボンニュートラルなモビリティを実現するために懸命に取り組んでいます。産業規模で再生可能エネルギー源の利用を拡大することが次のステップです。私たちの最初のプロジェクトであるメクレンブルク-フォアポンメルン州の大規模なソーラーパークは、早ければ2022年に稼働を開始します」
アウディの新たな取り組み:自動車用混合プラスチックのリサイクル
独カールスルーエ工科大学(KIT)が策定した「THINKTANK産業資源戦略(THINKTANK Industrial Resource Strategies)」の一環として、同大学の研究者は、パイロットプロジェクト「自動車製造由来プラスチックのケミカルリサイクル」において、6カ月間にわたってアウディと協力してきた。同プロジェクトは成功裏に終了し、混合プラスチック廃棄物のケミカルリサイクルが技術的に可能であり、環境保護の面においても、コストの面においても有望であることが明確に示された。
自動車製造に由来するプラスチック廃棄物は、処理のうえで熱分解オイルに生まれ変わる。このオイルは石油に取って代わり、アウディモデルの高品質プラスチックコンポーネントを生産するための原材料として使用できる可能性がある。熱分解オイルから生成された素材は、未使用の素材と同じ高い品質を備えている。初期の数値の比較では、ケミカルリサイクルのコストは、エネルギー回収のコストとほぼ同じであることが示された。さらに、ケミカルリサイクルによって発生する二酸化炭素排出量は、現在のエネルギー回収プロセスから発生する排出量を下回っている。
アーバンフィルター:マイクロプラスチックをその場で除去
アウディ環境財団は、水資源を保護する複数のプロジェクトに参加している。そのうちの「アーバンフィルター(URBANFILTER)」プロジェクトでは、ベルリン工科大学と協力して、都市部の雨水に最適化された堆積物除去フィルターの開発に取り組んでいる。
このフィルターは、タイヤのカスやその他の汚染粒子由来のマイクロプラスチックが雨水とともに下水や水路、あるいは河川に流出する前にマイクロプラスチックを捕捉。9個のフィルターモジュールで構成されるモジュラーシステムにより、さまざまな路面状況および交通状況下で最良の除去効果を発揮する。さまざまな情報源からデータをインテリジェントに収集することで、適正なタイミングでフィルターのサービスやクリーニングを実行する。
環境スタートアップ企業とのコラボレーション:水をきれいにするための共同の取り組み
アウディ環境財団は、環境スタートアップ企業のeverwaveおよびCLEAR RIVERSとともに、河川や海からプラスチック廃棄物を取り除く作業を実施している。everwave、アウディ環境財団、化粧品メーカーのBABORが実施した河川の清掃では、4月の10日間だけでドナウ川から約3.2トンものプラスチックを回収した。
同財団はまた、非営利パートナーのCLEAR RIVERSとともに、プラスチック廃棄物が海に流れ込むのを防ぐための、ごみトラップを設置している。回収したプラスチックごみは、ポンツーン(海上に浮かぶ小型の人工島)に加工され、その一部には植物が植えられて公共のリクリエーションエリアとして地域の人々に開放されている。
サプライチェーンの監視:持続可能性のために人工知能(AI)を活用
自動車メーカーのサプライチェーンは非常に複雑だ。そのため、2020年10月以降、アウディは約150カ国で進めるパイロットプロジェクトの一貫として、知的アルゴリズムを導入して一般に公開されているオンラインメディアやソーシャルネットワークから、サプライヤーに関するニュースの収集および分析を行っている。
この分析には、環境汚染、人権侵害、汚職などの持続可能性リスクが含まれる。AIがこれらのニュースを発見するとアラームが起動。しかし、アウディが使用するAIの主な強みは、関連情報をオンラインで認識し、これをパッケージ化して送信するスピードにある。アウディ担当者は、状況を詳しく精査したうえで、必要に応じて適切な措置を講じる。
ecomoveアプリ:楽しみながら自身のカーボンフットプリントを削減
アウディ デンクヴェルクシュタット(Audi Denkwerkstatt)が開発した新しいデジタルアプリケーションは、持続可能なモビリティに関するもの。ecomoveアプリは、モビリティに由来する個人のカーボンフットプリントを検知するだけでなく、これを削減する努力を促進するとともに、どうしても避けられない二酸化炭素排出量の相殺を支援する。
アウディ デンクヴェルクシュタットは、ベルリンに本拠を置くアウディAGの革新的な事業体で、このアプリのアイデアを思いついた。例えば、ユーザーが現在使用している交通手段をアプリが自動的に認識し、パーソナルモビリティスコアを計算。ecomoveアプリは、このスコアを改善するために、楽しみながらユーザーのモビリティの持続可能性が向上するように、モチベーションを与える。ユーザーが積極的に行動を変化させるのを促進するため、目標を達成すると、褒賞としてトロフィーが授与される。また、このアプリを通じて、避けられない二酸化炭素排出量を相殺することもできる。
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