自動車整備士の資格｜種類や難易度、取り方【1級・2級・3級】

• 2022/12/21

• MotorFan編集部

  

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自動車整備士の資格は国家資格であるため、取得するには専門的な知識や技術が必須です。また、自動車整備士の資格には1級・2級・3級がありますが、それぞれ難易度や合格率が異なります。そこでこの記事では、自動車整備士の資格を取得しようとしている方に向けて、試験の難易度や受験の流れをご説明します。

また、自動車整備士の資格は1級・2級・3級など等級で区分するもの以外に、タイヤや電装部品、車体に特化した特殊整備士という資格があります。記事内では、この特殊整備士についても深掘りしてご紹介しているため、気になる方はぜひ最後までご覧ください。

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自動車整備士の資格について

自動車整備士の資格は1級・2級・3級があり、数字が小さいほど上位資格となります。3級は自動車に関する初歩的な知識と技術が求められ、2級は自動車の分解・整備・修理全般を作業できるようになります。

1級は2級よりもさらに深い知識と技術が求められますが、2級を取得すれば自動車整備全般を担当できるため、整備や修理のためであれば1級をわざわざ取得するメリットはあまりありません。ただし、資格手当などで給料アップを目指したり、お客様からの信用を獲得しやすくしたりするためには1級を取得するメリットはあるといえます。

自動車整備士の資格の種類と仕事内容

自動車整備士として活躍するなら2級を取得しておけば間違いありません。しかし、人によっては「まずは3級を取得してみたい」「一番上位資格の1級を目指したい」という方もいるでしょう。

そこで、3級・2級・1級・特殊整備士といった4種類の自動車整備士の資格の概要と担当できる仕事内容について解説します。

3級自動車整備士の資格と仕事内容

3級自動車整備士は、自動車整備士の資格の中で最も下位の資格です。しかし、国家資格であることに変わりはなく、きちんと勉強をしなければ取得できるものではありません。

なお、3級自動車整備士の資格種類は以下の通りです。

担当できる仕事内容は比較的簡単な作業が多く、定期メンテナンスやオイル交換、タイヤ交換などを任されることが多いです。3級自動車整備士資格だけだとエンジンや足回りといった箇所の分解整備はすることができません。触れたとしても、簡単な調整程度です。

2級自動車整備士の資格と仕事内容

2級自動車整備士資格は、自動車整備士の8割以上は取得しているといわれており、自動車整備士資格の中でも最も取得率の高い資格です。また、2級ガソリン自動車整備士資格は、取得すればジーゼル自動車やシャシの整備もできるため、自動車整備士資格の中で一番人気があります。

2級自動車整備士の資格種類は以下の通りです。

2級自動車整備士資格を持っていると、自動車整備に関することならほとんどすることができ、担当できる仕事の幅がかなり広がります。そのため、資格取得の難易度が3級よりも上がり、より専門的な知識や技術が求められます。

1級自動車整備士の資格と仕事内容

1級自動車整備士資格は、自動車整備士資格の中では最も上位の資格です。しかし、1級の資格がなくても2級を取得していれば、自動車整備のほとんどを担当することができ、担当できる仕事内容も2級と変わりません。そのため1級自動車整備士資格の取得率は低く、全体の3%程度といわれています。

1級自動車整備士の資格種類は以下の通りです。

1級自動車整備士資格を取得している人全員が、1級小型自動車整備士です。資格の種類として1級大型自動車整備士と1級二輪自動車整備士がありますが、これまでに試験が行われたことはありません。そのため、資格を取得した人も0人です。

なお、2級自動車整備士資格と3級自動車整備士資格はガソリン・ジーゼル・シャシに分類されていますが、1級は分類されておらず、1級を取得すればすべての部分を整備することができます。

特殊整備士の資格と仕事内容

特殊整備士は、自動車を整備するうえで必須の資格ではありません。しかし、特殊整備士の資格を取得すると、就職や転職に有利になる、給料アップの交渉材料にできる、顧客からの信用につながるなどのメリットがあります。

特殊整備士の資格種類は、以下の3つです。

自動車タイヤ整備士とは、その名の通り自動車のタイヤに特化した知識や技術が必要となる国家資格です。しかし、自動車タイヤ整備士の資格がなくてもタイヤ交換やバランス調整などをすることができるため、取得するメリットはあまりないといえます。また、平成12年に試験実施以来、自動車タイヤ整備士の試験は行われていません。

自動車車体整備士資格は、自動車の骨格部分であるフレームやボディの専門的な知識・技術が必要となります。そのため、鈑金・塗装を行う方は取得するとメリットがある資格です。

鈑金・塗装は仕事内容の特性上感覚的な判断で作業を進めていくことが多いため、机に向かって勉強をする資格としては不人気です。しかし、顧客の傷ついた自動車を修理する際には、自動車車体整備士資格があると安心感を与えることができるため、取得しても損はありません。

自動車電気装置整備士資格は、バッテリーや電子制御装置などの電装部品のプロフェッショナルです。2級自動車整備士資格があれば電装部品の点検・修理・整備はできますが、知識や技術には限度があります。また、今後はさらにハイブリッドカーや電気自動車が普及していくことが予想されるため、取得しておくと重宝するかもしれません。

自動車整備士の資格試験の受験資格

自動車整備士の資格試験を受けるための受験資格を取得するには、以下の3つの方法があります。

この項目では、それぞれの資格取得方法について解説します。

自動車整備士の専門学校に通って資格を取得

自動車整備士の試験を受けるのに最も一般的な方法が、自動車整備士の専門学校に通って受験する方法です。専門学校は勉強に集中できる環境が整っているため、試験の合格率も高い傾向にあります。

専門学校の入学時には、1級を目指すコースや2級を目指すコースなど、自分が求める資格を取得できるコースを選べます。また、専門学校に通うと他の方法よりも短期間で資格取得ができたり、授業を受けることにより実技試験が免除されたりします。

自動車大学校に通って資格を取得

自動車大学校でも、自動車整備士の専門学校と同様に自動車に関することを学び、自動車整備士の受験資格を得ることができます。名前は大学校となっていますが、専門学校と名称が異なるだけで、取得できる整備士資格や勉強できる内容については変わりありません。

自動車大学校は、大学ではありません。そのため、卒業をしても学歴は大卒ではなく大学校卒となります。学歴だけでいうと大卒のほうが上位となるため、大卒を目指している方は気をつけましょう。

高校を卒業後に働きながら資格を取得

自動車整備士の資格は、働きながら自動車整備振興会技術講習所に通って取得する方法もあります。自動車整備振興会技術講習所は全国にあり、生徒の多くが働いていることを加味して、夜間や休日に授業を行っているところもあります。

なお、2級と3級の資格であれば6ヶ月働きながら講習所に通うと、受験資格を得ることができます。1級は、すでに取得している資格によって修業年限が異なります。2級ガソリンもしくは2級ジーゼルのどちらかの整備士資格を所有している場合は修業年限が1年6ヶ月以内ですが、両方の資格を所有している場合は1年以内となります。

自動車整備士の資格取得の流れ

自動車整備士の資格取得の流れは、申請・受験・手続き・合格証明書の受け取りの4ステップです。この項目では、それぞれのステップでどのようなことをするのか、必要なものは何があるのかをご説明します。

1. 検定試験か登録試験を受けるための申請をする

自動車整備士の資格を取得する際は、まず申請をします。申請先は、国土交通省か自動車整備振興会です。

自動車整備士の資格は、国土交通省が行っている検定試験に合格することで取得できます。検定試験を受ける以外にも、国土交通大臣の認可が下りている機関で登録試験を受け、合格することでも自動車整備士の資格を取得できます。

なお、登録試験に関しては試験合格後に国土交通省に免除申請をすることで、検定試験に合格したとみなされ、自動車整備士資格をもらえます。

申請時には、以下の持ち物を用意しましょう。

2. 学科と実技の2つを受験する

自動車整備士資格の受験資格を取得して申請をしたら、受験本番です。試験内容は学科と実技の2種類があり、学科では自動車の構造や機能、工具の構造や使用方法、点検・修理・調整および完成検査の方法、保安基準などが試験問題として出されます。

実技試験は実際の自動車部品を使用して点検・分解・組立て・調整および完成検査をしたり、整備用の試験機や計量器をはじめとした工具の取扱いを実践したりします。

3. 自動車整備振興会で合格証明書発行のための手続きをする

自動車整備士資格の受験に合格したら、合格証明書や整備士手帳を発行してもらうために各都道府県の自動車整備振興会で手続きをします。手続きの際に必要なものは、整備振興会によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

一例として、自動車整備振興会での手続きに必要なものをご紹介します。

4. 合格証明書を受け取って晴れて自動車整備士に

合格証明書発行のための手続きの際に用意したはがきで連絡がきたら、自動車整備振興会へ合格証明書を受け取りに行きます。就業中などで時間の都合がつかない場合は、振興会へ相談をすると郵送対応をしてもらえることがあります。

自動車整備士の資格試験の合格率・難易度

自動車整備士になるためには、国家試験に合格しなければなりません。この項目では、3級・2級・1級それぞれの資格試験の合格率と難易度をご紹介します。自動車整備士を目指している方や、さらに上位資格の取得を目指している方はぜひチェックしてみてください。

3級自動車整備士の資格試験の合格率・難易度

3級自動車整備士は、整備士資格の中では最も下位資格です。そのため、資格試験の難易度も2級や1級と比べると低く、比較的合格しやすいといえます。

なお、令和3年に実施された3級ガソリン自動車整備士資格の合格率は75.5%でした。前年度の令和2年に実施された3級ガソリン自動車整備士資格の合格率は61.6%だったことから、おおむね60〜75%の方が合格します。（参考：令和3年度第1回自動車整備技能登録試験「学科試験」の試験結果について｜一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会）

2級自動車整備士の資格試験の合格率・難易度

2級自動車整備士は、3級と比較すると格段に難易度が上がり、求められる知識や技術が高まります。令和3年に実施された2級ガソリン自動車整備士資格試験は、2,391人の受験者数に対して合格者数は1,333人と、約1,000人の方が不合格となっています。なお、合格率は55.8%でした。（参考：令和3年度第1回自動車整備技能登録試験「学科試験」の試験結果について｜一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会）

1級自動車整備士の資格試験の合格率・難易度

2級と3級は学科の筆記試験と実技試験のみですが、1級自動車整備士は学科の試験内容に口述試験が加わります。口述試験は、筆記試験に合格した方が受ける試験で、試験管を実際のお客様と仮定して問診し、設問に解答していくものです。

令和3年に実施された1級小型自動車整備士資格試験の合格率は59%でした。（参考：令和3年度第2回(第104回)自動車整備技能登録試験「学科試験」の試験結果について｜一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会）

1級小型自動車整備士資格の試験は、2級の整備士資格を取得していなければ受験できません。そのため、1級の受験者全員が一定レベル以上の知識や技術を有していると考えられ、2級と比較したときに難易度や合格率にあまり差がつかないのだといえます。

自動車整備士の資格の種類と取得方法のおさらい

自動車整備士の資格は、主に1級・2級・3級・特殊整備士の4種類がありそれぞれ試験の難易度や合格率が異なります。自動車整備士として分解・整備・修理全般を担当できるようになる資格は2級であるため、自動車整備士として働きたい方はまず2級を目指しましょう。

また、自動車整備士の資格試験は、自動車整備士の専門学校や大学校に通う方法だけでなく、働きながら自動車整備振興会技術講習所に通って受験資格を得る方法もあります。選択肢が複数あるため、自分に合う方法で自動車整備士資格の取得を目指してください。