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参加者のスーパーカブに投入されたユニークな燃費術に迫る! 1リットルのガソリンで300kmを走破! 驚異の燃費レースが開催

  • 2017/11/09
  • モト・チャンプ編集部
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容量180ccの燃料タンクにガソリンを計測・注入するオフィシャル。この貴重な燃料をいかに有効に使うがが、勝敗を分ける。

1リットルのガソリンいったい何キロ走れるのか? それをテーマにして、究極の燃費性能を追い求める大会が、「Honda エコ マイレッジ チャレンジ 2017」だ。これまでの最高記録は、なんと3644.869km! 北海道札幌市から沖縄那覇市までの直線距離は約2200kmなので、いかにその記録がとてつもないものかがおわかりいただけるだろう。ここでは、10月1日にツインリンクもてぎで決勝レースが行われた第37回全国大会のなかから、二輪クラスの参加マシンをピックアップしてご紹介しよう。

Honda エコ マイレッジ チャレンジでは、参加者に180ccのガソリンが与えられる。このガソリンは円筒形のガラス製燃料タンクに入れられており、各自が取り付けステーを製作して車両に装着することになる。

走行場所は、ツインリンクもてぎのオーバルコースを使用する。エンジンを始動させてスタートし、速度が乗ったらエンジンを切って惰性走行、そしてまたエンジンを始動させて…といった走り方を繰り返してゴールを目指す。規定周回数はクラスによって異なるが7周(16389.68m)もしくは3周(6856.72m)で、平均速度25km/h以上で走行し、その際の燃料使用量から燃費を算出する。

二輪車クラスはスーパーカブが主力!

Honda エコ マイレッジ チャレンジは、全7クラスに分かれて争われる。ホンダ製50cc4ストロークエンジンを使用したオリジンルマシン(四輪)を用いるのが、グループI(中学生)/グループII(高校生)/グループIII(大学生など)/グループIV(一般)/2人乗りクラスの計5クラス。ホンダ製150cc以下の4ストロークエンジンを使用するニューチャレンジクラス(四輪)。そして、ホンダ製50cc4ストロークエンジンを搭載する市販二輪車が対象となる二輪車クラスだ。

今回、注目するのは二輪クラスだ。四輪のクラスはオリジナルマシンということで、どこから見ても燃費スペシャルという出で立ちで、ちょっと現実離れしたオーラをまとっている。その分、燃費性能も驚異的で、冒頭で紹介した「3644.869㎞/ℓ」の大記録が達成されたのも、四輪の方だ。

一方、二輪クラスは市販車で争われるので、その辺の道路を走っていても違和感のない、身近な雰囲気を漂わせている。ホンダの4ストローク50ccエンジンを搭載した市販車ならばどの車両でも参加可能で、レギュレーションも比較的緩やか。灯火類の取り外しもしくはテーピングの義務化、風防・カウル類の装着が禁止されていることが明文化されている程度だ。

そんな二輪車クラスで人気となっているベース車両は、やはりスーパーカブだ。もともと低燃費が自慢のスーパーカブだが、その燃費をさらにアップするための工夫が参加者によって施されている。では、会場で見つけた注目の参加車両をピックアップしてご紹介しよう。

【No.702 横浜テクノ BREAK/1位:297.298㎞/ℓ】

横浜テクノオート専門学校の生徒・先生によるチーム。前回大会でも優勝(360.343㎞/ℓ)しており、今年はその記録を更新することはできなかったものの、見事に二連覇を果たした。
エンジンはキャブレターのセッティングがキモで、メインジェットを75番に変更したりニードル位置を変更したりして、燃料をできるだけ薄くしている。冷間時ではかけるのが難しいくらい、とのこと。

マフラーにバンテージが巻いてあるのは、惰性走行中にできるだけエンジンを冷やさないようにするため。
自転車用のスピードメーターを装着。これは走行抵抗になる純正のスピードメーターのケーブルを取り外しているためだ。
シートは前後に長いダブルタイプに変更。走行時にライダーがお尻を後ろいっぱいまで下げて、伏せやすい姿勢をとることで空気抵抗を減らすのだ。
制限時間(3周を16分27秒36以内)をできるだけギリギリまで使うのが、勝利の鍵。そこでコースの各ポイントをどれくらいの時間で通過すればいいか、その目安が貼られている。

【No.712 Super CubS’55/2位:282.268㎞/ℓ】

今年で17回目の出場となる常連選手。スーパーカブの有名なオーナーズクラブ「水戸藩カブ」のメンバーで、愛車にはデータよりもフィーリングを重視した「勘ジニアリング(笑)」による独自のモディファイが多数施されている。
今回は3位に入り、記録も自己ベストを更新。ただ、「最後、エンジンをかけている時間が少し長かったかも…」とのことで、若干悔いが残っているそうだ。

マフラーは極細! 軽量化と低速トルクアップを狙ったものだ。黄色の車体色はホンダ・ビート純正色を缶スプレーで塗装。
カウルにはきれいに電圧計が埋め込まれている。FI(フューエルインジェクション)なので、電圧も気にしているそうだ。その下は、サイクルコンピューター。

【No.738 HCMC Aチーム/5位:257.779㎞/ℓ】

こちらのスーパーカブもFI車両。キャブ車と比べると、燃調のセッティングがほぼ不可能な一方、気温に対して自動的に燃料量を補正してくれるので安定している、とのこと。ユニークなのがトランスミッションで、2速ギヤを抜いてカラーに差し替えている。走行中は3速もしくは4速を使うことが多いのだが、3速で走行している状態からエンジンを切って惰性走行に移る際も、1回シフトダウンすればすぐニュートラルに入るようになっているのだ。

FI車の場合、一般的な燃料ポンプではなくエアー加圧式ダイヤフラムポンプシステムを使用することが可能(二輪車クラス以外は義務)。これはエアータンクに貯められた圧縮空気を利用し、ダイヤフラムポンプを介してインジェクターに燃料を供給するというものだ。
タイヤはやすりで削って溝をなくすとともに、空気圧を4.5キロまで高めて走行抵抗を低減。

【No.727 ちーむこっしー推し/32位:106.027㎞/ℓ】

このように、街乗り仕様のリトルカブで登場するチームも。本格的なレースとは異なり、気軽に参加できるのもこの大会の魅力の一つなのだ。

全国大会で見つけたトピックスあれこれ

大会当日には、燃料密度が発表される。消費した燃料重量とこの数字を割り算して、さらに走行距離と割り算することで当日の燃費が算出されるのだ。
コース脇では、クルーが無線を使ってライダーに時間や風向きなどを逐次連絡。この連携作業も重要なのだ。
レース終了後は、燃料タンクを取り外してオフィシャルが厳密に重量を計測する。
ホンダの八郷社長も来場。参加者とともに記念撮影。

これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。

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