レーシング・コンストラクター「ダラーラ」初のロードカーの世界とは? 【独占レポート】ダラーラが放つ”本物のリアルスーパースポーツカー”に初試乗!
- 2018/05/07
- GENROQ編集部

レーシング・コンストラクターとして名を馳せるイタリアの「ダラーラ」。これまで数多くのレーシングマシンやフェラーリをはじめとするスーパースポーツカーの開発に携わるなど表立った活動はしていなかったが、ついに自らのブランド名を冠したロードカーを製作、「ストラダーレ」という直球のネーミングをもってリリースを開始した。果たしてその完成度とは?
REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)
ダラーラ製だからこそ価値がある。

ダラーラ製のロードカーをドライブすること。それがいかに高い価値があるのかは、現在同社によって供給されている、アメリカのインディカーシリーズや日本のスーパーフォーミュラなどに投じられるマシンの存在を知る者には多くの説明を必要としないはず。ダラーラはこれらのトップカテゴリーともいえるモータースポーツにマシンを独占供給するコンストラクターである。インディカーは2018年から全車共通のユニバーサルエアロキットを導入。スーパーフォーミュラも2019年には新型シャシーの「SF19」を採用するが、これらはいずれもダラーラによるものだ。それらと同じダラーラ製のロードカーを手に入れ、公道やサーキットで自由にその走りを楽しむチャンスが、600人のカスタマーに与えられたのだ。それを価値あることと表現するのは当然だろう。

このようなシステムを可能としているのは、ダラーラの誇る軽量で高剛性なCFRP製モノコックを基本構造体とするからであり、走行中のストレスはすべてこのモノコックが負担する構造であることが直接の理由。CFRPで成型されるボディパネルはカウリングに過ぎないのだ。このモノコックの前後にはアルミニウム製のサブフレームが接続され、リヤのサブフレーム上にパワーユニット一式が搭載される。

組み合わされる6速ギアボックスは、オーソドックスな3ペダル・マニュアルのほかに、2ペダル・ロボタイズド式のセミATを選択することが可能だ。駆動方式はもちろんRWD。ダラーラの発表によれば、このストラダーレのウエイトは、最もスタンダードな仕様で855kg。この軽量性とエアロダイナミクスによって、0→100km/h加速はわずか3.25秒で、そして280km/hの最高速度が達成されるという。
参考までにこの最高速時にストラダーレが得るダウンフォース量は820kg以上。空力効率は2.4以上と、これも非常に魅力的な数値が実現されている。前後のサスペンションはダブルウイッシュボーンで、3ウエイのアジャスタブルダンパーが標準装備となるほか、サーキット走行用には車高調節機能も設定されている。
感動のエアロダイナミクスとスタビリティ!

できるだけシンプルな構造を実現するために、左右のドアすら持たないストラダーレだが、シートクッションのセンター前方には、乗車時にまず足を置くスペースが設けられているからコクピットへのアクセスはさほど難しくはない。ホールド性に優れるフルバケットタイプのシートに身を委ねると、モノコックのデザインをそのまま使用したキャビンのデザインに“マン・マシン”の一体感を視覚的にも感じることができる。
ハンドリングコースで試乗したモデルは、ロボタイズド型の6速ギアボックス仕様。ダラーラによれば、現在までのオーダーでは、ほぼ8割のカスタマーがこちらを選択しているというが、コーナリング時にブレーキとステアリングの操作に専念できるという点では、確かにそのメリットは大きい。

ハンドリングの楽しさも圧巻だった。特に驚かされたのは、ストレートエンドでの車速が240km/hほどに達した後、そのまま進入する高速コーナーで感じたスタビリティで、それはまさに強大なダウンフォースを発生するエアロダイナミクスによって得られる感動的な瞬間でもあった。エアロダイナミクスを徹底的に追求した最新世代のスーパースポーツでは、十分なダウンフォースが得られない速度域では逆にコーナリングに難しさを感じるような場面も多いのだが、このストラダーレに関しては、どのような速度域でもコーナリング時のスタビリティは絶対的だ。
試乗中にその限界など微塵も感じさせなかったモノコックの剛性感、そして前後サスペンションの正確な動きも、このような印象を抱かせる直接の理由と考えていいだろう。ジャン・パオロ・ダラーラは、昨年このストラダーレを発表する席において、「自分自身がサーキット走行した際でも、十分に楽しく感じられること」をコンセプトとしたと、今回のテストドライブ・プログラムに姿を見せたダラーラ社の現CEO、アンドレア・ポントレモリが語ってくれた。まさにそのダラーラの言葉こそがストラダーレの魅力を象徴している。
意外にも乗り心地は”快適”

キャビンにもある程度のラゲッジを収納できるスペースを見つけることは可能だが、実はストラダーレのエンジンルーム後方には、独立したラゲッジスペースが用意されている。このハンドリングの楽しさと快適性があれば、カスタマーはこのストラダーレをどこまでもドライブしたいという衝動にかられることだろう。そしてそれを実現するために、ストラダーレはロードカーとして必要十分な実用性を持ち合わせていることも最後に付け加えておかなければならない。
ちなみにこのダラーラ・ストラダーレのプライスは、バルケッタのベーシック仕様で15万5000ユーロ。世界最高峰のレーシングカー・コンストラクターが生み出した限定生産のロードカーであることを考えれば、コストパフォーマンスは相当高いといえるだろう。
【SPECIFICATIONS】
ダラーラ・ストラダーレ
ボディサイズ:全長4185×全幅1875×全高1041㎜
ホイールベース:2475㎜
乾燥重量:855㎏
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:2300㏄
最高出力:294kW(400㎰)/6200rpm
最大トルク:500Nm(51㎏m)/3000~5000rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
パフォーマンス 最高速度:280㎞/h 0→100㎞/h:3.25秒




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