BMW8シリーズ カブリオレ試乗記 BMW8シリーズ カブリオレは豪華で快適なオープンカーなのに走りもこなせるよくばりなクルマだった
- 2019/08/17
- GENROQ編集部
昨年のLAショーで初披露されたBMW 8シリーズのカブリオレがほとんどタイムラグなく日本に導入された。ラグジュアリーオープンモデルに相応しいソフトトップは、優雅な8シリーズをさらに洗練させて見せるか?
REPORT◉島下泰久(SHIMASHITA Yasuhisa)
PHOTO◉難波賢二(NANBA Kenji)
※本記事は『GENROQ』2019年8月号の記事を再編集・再構成したものです。
ゴージャスなその雰囲気に、はじめ思わず気圧されてしまった。新生BMW 8シリーズ、まだクーペが走り始めたばかりだというのに、続いてはカブリオレの矢継ぎ早の登場である。
試乗車はその最高峰に位置するM850i xドライブ カブリオレ。対面した時にはクローズドの状態だったが、その眺めは上々だった。閉じられたソフトトップは天地に薄く、リヤウインドウも寝かされていて、美しいルーフラインを描き出している。Aピラー沿い、そして開口部をぐるり一周するように配されたクロームのトリムも良いアクセント。巧みに演出されたラグジュアリーな雰囲気には、思わず魅入られてしまう。
わずか15秒で開閉できるソフトトップを開いた姿も、エレガントという言葉が相応しい。低く抑えられたリヤデッキが伸びやかさをさらに強調しているし、試乗車のドラバイト・グレーと呼ばれる鈍く光るボディカラーと、アイボリーホワイトのインテリアの対比も美しい。従来の6シリーズよりも明らかに上級という雰囲気を、クーペ以上に雄弁に醸し出している。
メカニズムはクーペと基本的に共通だ。4.4ℓV型8気筒ツインターボエンジンは最高出力530㎰、最大トルク750Nm。トランスミッションは8速ATで、駆動方式は電子制御式4WDとなる。前輪の可変ギヤレシオと、最大2.5度まで切れる後輪操舵を組み合わせたインテグレーテッド・アクティブステアリング、可変スタビライザーを含むアダプティブMサスペンション・プロフェッショナル、Mアクティブ・ディファレンシャルなども装備される。
まずクローズドの状態で走り出すと、想像以上にソフトな乗り心地に驚いた。クーペも相当に快適性重視という印象だが、感覚的にはそれ以上と言える。
フットワークも、やはりシャープだクイックだという感じではない。決してダルなわけではなく、操舵応答性は上々だし後輪操舵のおかげもあって想像以上によく曲がるのだが、シャキシャキ歯切れ良いというよりは、しなやかな身のこなしという感じだ。
もちろん、クーペの130㎏増となる2120㎏の車重、相応に落ちているボディの剛性感も影響しているのは間違いない。時折、内装のどこからか擦れるような音が聞こえるのも、そのせいだろう。まあ、メイン市場はアメリカだろうし、こういう乗り味もアリ。そんな風に考えていた。
ところが、そんな印象は、ソフトトップを開ければ一瞬で消え去る。すべてがオープン状態前提で開発されていたかのように何もかもがしっくり来て、実にいい感じで走らせることができるのだ。
フットワークは軽快感が際立ち、頭上に何もなくなることもあってミズスマシ的なコーナリングを楽しめる。遮るものがないぶん、V型8気筒らしいエンジン音、排気音が直接的に響いてくるのも気分を盛り上げる。正直、街中ではSPORTモードは少々品がないかなと思うが、今回訪れた海沿いのワインディングロードのような舞台だと、このぐらいでも悪くない。
メルセデス・ベンツSクラス・カブリオレのエアキャップのような飛び道具はないが、室内への風の巻き込みは、一般道を流している限りは大きくない。エアキャップは確かに効果絶大だが、見映え的にはこの伊達なクルマには似合わなかっただろう。ウインドディフレクターも用意されるが、軽く髪をそよがせながら走るのが、このラグジュアリーなクルマには相応しい。
その辺りも含めて、乗りこなすというか着こなすのが容易なクルマではないのは確かだ。正直、個人的にも最後まで借り物感を拭い去ることは叶わなかった。そうした意味でも、決して従来の6シリーズの発展形ではなく、8シリーズという名に相応しいクルマに仕上がっていることは間違いない。
もっともそれは当然で、プライスタグには1838万円という数字が掲げられている。840d xドライブ カブリオレなら1334万円まで近づくが、それでも間違いなく、どこを取ってもゴージャスな1台の登場である。
BMW M850i xDriveカブリオレ
■ボディサイズ:全長4855×全幅1900×全高1345㎜ ホイールベース:2820㎜
■車両重量:2120㎏
■エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ 総排気量:4394㏄ 最高出力:390kW(530㎰)/5500rpm 最大トルク:750Nm(76.5㎏m)/1800~4600rpm
■トランスミッション:8速AT
■駆動方式:AWD
■サスペンション形式:Ⓕダブルウイッシュボーン Ⓡマルチリンク
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ245/35R20(8J) Ⓡ275/30R20 (9J)
■パフォーマンス 最高速度:250㎞/h 0→100㎞/h加速:3.9秒
■環境性能(JC08モード):9.3㎞/ℓ
■車両本体価格:1838万円
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanweb自動車業界 特選求人情報|Motor-FanTechキャリア
東証プライム上場、軽自動車に強みを持つ完成車メーカー
グローバル・アドミニストレーター(管理・登録者)<アフターパーツの部品表>
年収
450万円〜650万円
勤務地 静岡県湖西市
この求人を詳しく見る
世界トップクラスの日系自動車部品メーカー
製品原価管理
年収
400万円〜600万円
勤務地 東京都北区本社での勤務になります
この求人を詳しく見る
東証プライム上場、軽自動車に強みを持つ完成車メーカー グローバル・アドミニストレーター(管理・登録者)<アフターパーツの部品表>
年収 | 450万円〜650万円 |
---|---|
勤務地 | 静岡県湖西市 |
世界トップクラスの日系自動車部品メーカー 製品原価管理
年収 | 400万円〜600万円 |
---|---|
勤務地 | 東京都北区本社での勤務になります |
これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費...
- 2021/03/26
- インプレッション
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形...
- 2021/04/03
- インプレッション
日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に...
- 2021/02/20
- インプレッション
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこ...
- 2019/08/11
- インプレッション
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4と...
- 2021/06/28
- インプレッション
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ
フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報
マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事
マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー
ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー
林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー
マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー