【初試乗】DS 3 CROSSBACK(DS3クロスバック)は何もかも本気すぎて面食らった|SUVインプレッション
- 2019/08/05
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MotorFan編集部 小泉 建治
DS 7 クロスバックに続いて完全DS専用モデルとして開発された、言わば新生DSの第2弾「DS 3 クロスバック」がついに日本の道を走り始めた。なんと言っても魅力はアヴァンギャルドでエレガントなデザイン。街を走れば、凝視されたり、二度見されたり、とにかくその注目度はランボルギーニかブガッティかと言いたくなるほど。ただしこのクルマ、実際に乗ってみると、あまりにも本気すぎて、真面目すぎて、骨太すぎて面食らってしまうのだった。
REPORT&PHOTO●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
既視感のまるでないエクステリアとインテリア
まぁなにしろ洒落たデザインである。まるで現代彫刻のようなボディ全体の造形に始まり、縦に連なるLEDデイタイムランニングランプ、シャークフィン形状のBピラー、フラッシュサーフェイス処理されたリトラクタブル式ドアハンドル、ウェザーストリップを隠したサイドウインドウなど、まるでコンセプトカーのようなアピアランスで、前衛的というのはこういうことを言うのだろう。
そして何より評価されるべきは、とにかく何にも似ておらず、既視感がまるでないことだ。
メーカーでは一応SUVとしていて、なるほど最低地上高は185mmが確保されているが、だからといってこのクルマを既存のSUVと横並びで比較する人などいないだろう。
個人的にはこのクルマは4ドアクーペと呼ぶほうが相応しいと感じているが、言うまでもなく既存の4ドアクーペと比べるとユーティリティ性が飛躍的に高い。
つまり、このクルマはカテゴライズするのが難しいのだ。いや、カテゴライズなど無意味と言うべきかもしれない。
ヘッドランプは、外側の大きく3つに分かれているLEDユニットがロービームで、内側の長方形のLEDユニットがハイビームだ。
このハイビームには「DSマトリクスLEDビジョン」というテクノロジーが採用されている。これはカメラによって前方をモニタリングし、前走車や対向車などがいる部分だけ減光するようにするもので、ハイビームのままでも前走車や対向車のドライバーが眩しくなることがない。
今回は昼間のドライブだったので試すことはできなかったが、同じ技術が採用されている他ブランドのハイエンドモデルでテストしたことがある。対向車からどうやって見えるのかを体験してみたのだが、自分がいる場所だけロービームに切り替わってくれると言うより、そもそも最初からハイビームになっているとはまるでわからないほど自然な光に見えた。しかし当のハイエンドモデルのドライバーは「ずっとハイビームにしていて、遠くまで照らされているのがよく見えた」と言う。「本当に眩しくなかったのか?」と、彼も不思議そうだった。
キーをポケットに入れたまま車両に近づくと、ドアハンドルにあと1〜2秒ほどで手が届くという辺りでリトラクタブル式ドアハンドルがポップアップする。
降車の際には、ドアを閉めて1m50cmほど離れるとドアハンドルが格納されてドアパネルとツライチ───つまり完全にフラットになる。
これ、実際に使ってみるとかなり気分がいい。ボンドカーと言えばアストンマーティンかロータスだが、このDS3クロスバックのリトラクタブル式ドアハンドルにもハイテクな仕掛け満載のボンドカー的な匂いが漂う。
ちなみにこのドアハンドル、乗り込んで一定の時間が経つか、走り出すとすぐに格納されるが、格納された状態で乗り込む場合には、ハンドルを軽く押し込めばポップアップしてくれるので心配無用だ。
コクピットに乗り込む瞬間───それはDS3クロスバックを運転するという行為におけるひとつのクライマックスだろう。
先ほどエクステリアに既視感がないと述べたが、インテリアにもまた見事に既視感がない。
とりわけ菱形のオンパレードには目を奪われる。いったいどうすれば思いつくのだろう? 菱形のスイッチが菱形のエアコン吹き出し口と組み合わさり、さらにダッシュボードのラインに沿うように美しくラウンドしている。
これぞ「前衛的であること」を身上とするフランスの底力だと唸らされた。
忘れてならないのは、これだけ突き抜けたデザインながら何の説明の必要もなく直感的に操作できることだ。工業デザインというものは、形に理由があり、テクノロジーと結びついていなければならない。つまり自動車であれば、デザインが運転操作、居住性を阻害してはならないということだ。
2018年末、来日したDSオートモビルのデザイン担当シニアバイスプレジデントであるティエリー・メトローズが語った「エンジニアリングあってこその前衛的デザインである」という言葉の重みを噛みしめた。
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