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メイク・イット・シンプルの内外装意匠に回帰「ホンダ・ステップワゴン」 22年にリリースされた6代目「ホンダ・ステップワゴン」の解説【最新ミニバン 車種別解説 HONDA STEP WGN】

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登場するや大ヒットとなった初代から四半世紀が経ち、22年にリリースされた6代目「ホンダ・ステップワゴン」はまさに原点回帰のシンプルさが際立つデザイン。一方未来的なコクピットや開放感が向上した居住空間などインテリアや装備は今求められている十分なパッケージとなっている。
REPORT:石井昌道(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:佐々木萌香

シリーズ初3ナンバーボディ 走行性能や開放感が向上

1996年に登場した初代モデルは、他が商用車ベースのキャブオーバーだったのに対して、FF乗用車ベースでパッケージングが良く、大ヒットとなった。もともと商用車を持っていないホンダが、乗用車用の生産工場でつくれる工夫として生まれたのだが、後にライバルも追従し、2000年代にはFF乗用車ベースが常識になった。

エクステリア

スパーダは16インチアルミホイールが標準装備。「AIR」系のホイールも同形状で、塗装を変えた仕様となる。「PREMIUM LINE」のFF車のみ17インチ。
大ヒットした初期のステップワゴンを彷彿とさせるスタイリングだが、ボディは余裕の3ナンバーサイズに拡大している。リヤゲートも長くなっており、全開にする際には後方に気をつけたい。運転席からノーズ先端位置が把握しやすいボンネット形状としたほか、助手席側ドアミラーにサイドアンダーミラーを装備するなど狭い場所でも運転しやすくなっている。

現行モデルは22年に発売された6代目。それまでは標準車とスポーティな装いの「スパーダ」というラインナップだったが、新たに標準車が「AIR」(エアー)と呼ばれることになった。ミニバンは、ギラギラとしたいかつい顔つきのモデルの人気が高く、ステップワゴンでも「スパーダ」がそれに対応しているが、新型の「AIR」はアンチテーゼであり、しかもセンスが抜群にいい。メイク・イット・シンプルという今のホンダデザインの良さが存分に生きているのだ。いかつい顔つきに辟易としている人が増えてきているようで、「AIR」の注目度は想像以上に高く、ミニバンユーザーの成熟度を思わせるが、電動開閉式リヤゲートやブラインドスポットインフォメーションといった装備が「スパーダ」でしか選べないというのが課題で、結局は「スパーダ」を選択するケースが多いという。デザイン的に優れているのに装備で差をつけられてしまうのが残念だ。

乗降性

乗降性が気になるレベルではないものの、前後とも数値以上にフロアが高く感じられる。Bピラーのアシストグリップも短めで、幼児や高齢者の乗降時には気をつけたい。3列目への動線は十分なスペースを確保している。

ボディサイズは拡大されて初の3ナンバーとなったが、衝突安全性の向上が主な目的で、室内空間はそれほど大きくなってはいない。それでもAピラーの角度を立てて取り付け位置を手前に引いたことで視界が開け、シートの改良などで2列目、3列目の開放感も上がったので、広々と感じる。

インストルメントパネル

10.2 インチのフル液晶デジタルメーター、11.4 インチの大画面ナビ(純正アクセサリー)によるコクピットは未来的。ドリンクホルダーはスライド格納できるのもスマートだ。

パワートレインは先代と同様にe:HEVと1.5ℓターボのエンジン車の2種類が用意される。エンジンが発電に徹してモーターで駆動するシリーズハイブリッドを基本としながら、高速/低負荷域ではエンジンが直接駆動して燃費を高めるモードをもつe:HEVは、先代よりもエンジンのフリクションを低減。下り坂などで減速度が強くなるBレンジが加わった。走らせてみると発電制御なども変わっていて、エンジン音が急に高まることがなく、自然なフィーリングになっている。

居住性

乗降性に有利な座面形状となっているが、クッション性も確保された1列目シート。アクセルペダルも大きく、運転しやすい環境となっている。シートヒーターも装備される。2列目はオットマン付きキャプテンシートと豪華だが、LLクラスに比べるとシートサイズは小振りな印象。3列目は十分なスペースが確保され、中央に座ってもガマン感はない。

日産e-POWERとは違って、エンジンの存在を抑えるのではなく、加速時にはあえて快活なエンジン音を聞かせることで気持ちのいいフィーリングとしているのがホンダらしい。エンジン車もターボラグが減らされて扱いやすくなった。CVTの悪癖であるラバーバンドフィールも、軽くはないボディの割にはよく抑えられている。パワートレイン以上に進化を感じるのがシャシー性能だ。サスペンションのフリクションが少なくスムーズに動くので、乗り心地が快適。それでいて背高なボディでも安心できる安定性が確保されている。先代よりもソフトなのだが、リヤの踏ん張り感があるので、快適性と安定性の両立が果たせているのだ。

うれしい装備

ドアハンドルのロック解除ボタンで電動スライドドアを開閉させる機能は珍しくないが、ステップワゴンは静電タッチ式となっているので、ネイルを楽しんでいるユーザーでもスマートに操作できる。

1列目シート背面のポケットは、スマートフォンを収めるのにぴったり。すぐ脇に充電用USBポートがあるのもうれしい。クラス最大級となる15.6インチのリヤ用モニターが純正アクセサリーとして用意される。圧倒的な迫力でムービーを楽しめる。

Bピラーに備わるスライドドアの開閉スイッチ。力のない子どもや手首の動きが制限される高齢者でも扱いやすい装備だ。電動リヤゲートは動作中に任意の場所で簡単に止めることができる。スマートキーのリモコンスイッチでも操作が可能だ。

月間販売台数 3937台(23年5月~10月平均値)
現行型発表 22年5月
WLTCモード燃費 20.0 ㎞/ℓ※「e:HEV AIR

ラゲッジルーム

ステップワゴンの伝統といえる「マジックシート」は3列目を床下格納できる機能のこと。スマートな荷室を生み出すが、3列目格納時には荷室高が実測1170㎜へと低くなる点は留意しておきたい。キャプテンシートはスライドによるラゲッジ拡大しかできないため、数字上は奥行きが短く見えるが、シート中央スペースを利用すると実測2350㎜の長尺物が積載できる。

デザインと乗り味が大いに洗練されたステップワゴン。抜群の人気を誇った初代や2代目を彷彿とさせる出来映えなのだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.155「2024 最新ミニバンのすべて」の再構成です。

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