メイク・イット・シンプルの内外装意匠に回帰「ホンダ・ステップワゴン」 22年にリリースされた6代目「ホンダ・ステップワゴン」の解説【最新ミニバン 車種別解説 HONDA STEP WGN】
- 2024/06/12
-
MotorFan編集部
登場するや大ヒットとなった初代から四半世紀が経ち、22年にリリースされた6代目「ホンダ・ステップワゴン」はまさに原点回帰のシンプルさが際立つデザイン。一方未来的なコクピットや開放感が向上した居住空間などインテリアや装備は今求められている十分なパッケージとなっている。
REPORT:石井昌道(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:佐々木萌香
シリーズ初3ナンバーボディ 走行性能や開放感が向上
1996年に登場した初代モデルは、他が商用車ベースのキャブオーバーだったのに対して、FF乗用車ベースでパッケージングが良く、大ヒットとなった。もともと商用車を持っていないホンダが、乗用車用の生産工場でつくれる工夫として生まれたのだが、後にライバルも追従し、2000年代にはFF乗用車ベースが常識になった。
エクステリア
現行モデルは22年に発売された6代目。それまでは標準車とスポーティな装いの「スパーダ」というラインナップだったが、新たに標準車が「AIR」(エアー)と呼ばれることになった。ミニバンは、ギラギラとしたいかつい顔つきのモデルの人気が高く、ステップワゴンでも「スパーダ」がそれに対応しているが、新型の「AIR」はアンチテーゼであり、しかもセンスが抜群にいい。メイク・イット・シンプルという今のホンダデザインの良さが存分に生きているのだ。いかつい顔つきに辟易としている人が増えてきているようで、「AIR」の注目度は想像以上に高く、ミニバンユーザーの成熟度を思わせるが、電動開閉式リヤゲートやブラインドスポットインフォメーションといった装備が「スパーダ」でしか選べないというのが課題で、結局は「スパーダ」を選択するケースが多いという。デザイン的に優れているのに装備で差をつけられてしまうのが残念だ。
乗降性
ボディサイズは拡大されて初の3ナンバーとなったが、衝突安全性の向上が主な目的で、室内空間はそれほど大きくなってはいない。それでもAピラーの角度を立てて取り付け位置を手前に引いたことで視界が開け、シートの改良などで2列目、3列目の開放感も上がったので、広々と感じる。
インストルメントパネル
パワートレインは先代と同様にe:HEVと1.5ℓターボのエンジン車の2種類が用意される。エンジンが発電に徹してモーターで駆動するシリーズハイブリッドを基本としながら、高速/低負荷域ではエンジンが直接駆動して燃費を高めるモードをもつe:HEVは、先代よりもエンジンのフリクションを低減。下り坂などで減速度が強くなるBレンジが加わった。走らせてみると発電制御なども変わっていて、エンジン音が急に高まることがなく、自然なフィーリングになっている。
居住性
日産e-POWERとは違って、エンジンの存在を抑えるのではなく、加速時にはあえて快活なエンジン音を聞かせることで気持ちのいいフィーリングとしているのがホンダらしい。エンジン車もターボラグが減らされて扱いやすくなった。CVTの悪癖であるラバーバンドフィールも、軽くはないボディの割にはよく抑えられている。パワートレイン以上に進化を感じるのがシャシー性能だ。サスペンションのフリクションが少なくスムーズに動くので、乗り心地が快適。それでいて背高なボディでも安心できる安定性が確保されている。先代よりもソフトなのだが、リヤの踏ん張り感があるので、快適性と安定性の両立が果たせているのだ。
うれしい装備
1列目シート背面のポケットは、スマートフォンを収めるのにぴったり。すぐ脇に充電用USBポートがあるのもうれしい。クラス最大級となる15.6インチのリヤ用モニターが純正アクセサリーとして用意される。圧倒的な迫力でムービーを楽しめる。
Bピラーに備わるスライドドアの開閉スイッチ。力のない子どもや手首の動きが制限される高齢者でも扱いやすい装備だ。電動リヤゲートは動作中に任意の場所で簡単に止めることができる。スマートキーのリモコンスイッチでも操作が可能だ。
月間販売台数 3937台(23年5月~10月平均値)
現行型発表 22年5月
WLTCモード燃費 20.0 ㎞/ℓ※「e:HEV AIR
ラゲッジルーム
デザインと乗り味が大いに洗練されたステップワゴン。抜群の人気を誇った初代や2代目を彷彿とさせる出来映えなのだ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.155「2024 最新ミニバンのすべて」の再構成です。
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebこれが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費...
- 2021/03/26
- インプレッション
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形...
- 2021/04/03
- インプレッション
日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に...
- 2021/02/20
- インプレッション
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこ...
- 2019/08/11
- インプレッション
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4と...
- 2021/06/28
- インプレッション
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ
フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報
マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事
マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー
ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー
林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー
マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー