マーチとは行進する、3月などの意味がある。1981年から82年にかけて車名を公募した結果、565万1318通、26万6458種類の応募作のなかから選んだ名前。プロトタイプを81年10月の第24回東京モーターショーに参考出品、その後、車名公募を開始した。初代は82年10月発売。エンジンは新開発の1L・57psだけ、ミッションは4速、5速MTと3速AT。スタイリングは.G・ジウジアーロ氏のイタル・デザインに依頼。ベーシック・トランスポーテーション的なクルマにイタリアン・デザインを導入した、ということで当時話題となった。最初は2ドア+ハッチバックタイプだけだったが、83年9月に5ドアハッチバック車を追加。85年2月にはターボ付きも登場、88年8月にはラリー用ベース車としてRというモデルを設定した。このクルマはターボとスーパーチャージャーの両方を組み込んだ930ccエンジンを載せ、競技規則ではルール上排気量を1.7倍と計算したため、1.6Lまでのクラスに入った。この年、キャンバストップ車の追加もあった。89年1月、グリルとヘッドランプ、前後バンパーなどを変更。このとき、Rと同じエンジンを搭載したモデルを一般向けに発売した。5速MTと3速ATを設定。5速車にはフロントにビスカスLSDを装備。92年1月、フルモデルチェンジで2代目に。丸っこいスタイルが注目となった。エンジンは新開発のアルミ製1Lと1.3Lの2本立てとなり、3ドアと5ドア車をそろえた。ミッションは5速MTと新たに4速ATを加え、1.3L車にはCVTも導入した。93年1月、CVTを1L車にも展開、11月にはスポーティなアウトストラーダを追加した。97年8月、カブリオレを設定。99年11月のマイナーチェンジでは、5ドアワゴンのBOXを追加した。リヤのオーバーハングを240mm延長し、全高も25m高くなっていた。CVTは新ハイパーCVTに進化。一部グレードにはステアリングスイッチで変速操作を行い、6速MTになるタイプがあった。2000年10月、全グレードの一部改良を行うと同時に、5ドアのコレットをベースとしたミア(イタリア語で私の、の意)というモデルを追加した。2002年3月、10年ぶりにフルモデルチェンジした3代目が世に出た。ヘッドランプとその上にちょこんと突出したマーカーが特徴の、3ドア、5ドア車。ルノーと共同開発した新プラットフォームを使う。全長は従来型より25mm短縮(3695mm)したが、ホイールベース(+70mm・2430mm)、全幅(+75mm・1660mm)、全高(+100mm・1525mm)は大きくなった。エンジンは直4のCR型1L、1.2L、1.4L(5ドア車だけ)を採用する。全車がU-LEV認定をクリア。ミッションは4速E-ATxが基本だが、1.2L車だけルノー製5速ATを追加設定。12色のボディカラーと3色のインテリアカラー。6つのエアバッグ採用(1.4Lモデル)なども注目ポイント。3ドア車が2グレード、5ドア車が3グレード。価格は95万3000円~132万円。9月には1.4L5ドアモデルに、電動4駆・e-4WD車を追加した。この日産システムは、車体後部のモーターで後輪を駆動するため、プロペラシャフト、トランスファーが不用というのが特色。構成部品はモーターとクラッチ、減速ギヤからなる後輪駆動ユニット、モーター駆動用電源のジェネレーター、駆動を制御するコントロールユニットからなる。e(150万円)と、c(127万5000円)の2モデルがある。2003年7月にはスポーティな14sを追加設定した。
-大車林