レンジを埋める目的ゆえのエキセントリックな設計:VW 4.0ℓ W8 W型8気筒という奇策:狭角VをさらにV型に(フォルクスワーゲンのW型エンジン)
- 2019/04/28
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世良耕太
新しい高級車像を提唱するには、新しいエンジンがふさわしい。そしてフォルクスワーゲンには新しい狭角V6があった。これを2気筒切り落として2基向かい合わせにしたのが縦置きエンジンのW8。V4+V4=W8という訳である。
TEXT:世良耕太(Kota SERA)
B4型パサートの最上級モデルが積むエンジンは2.8ℓ・V6だったが、B5型パサートの登場に伴いパワートレインは縦置きに。その最上級グレードとして2001年に追加されたのが排気量4ℓのW8だ。当時のフォルクスワーゲンは、メルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズに伍するアッパーミドルクラスへの進出を狙っていた。グループのアウディにはV8がある。他ブランドとの差別化を図るため、フォルクスワーゲンの独自性を打ち出すために、エキセントリックな“W”を選んだのである。
直列エンジンを3基並べたWではなく、狭角V型エンジンを組み合わせてWを構成。基本はVW初の狭角V型エンジンVR6で、この6気筒をふたつ組み合わせるとW12になる。W12はメルセデス・ベンツSクラス、BMW7シリーズと競合すべく産み落とされたフェートンが搭載。そのフェートンのW12の下がパサートV6では落差が大きすぎる。この穴を埋めるべく企画されたのがW8だった。
VR6に端を発するモジュラーエンジンの一員で、前後長は短く420mm。バンク角を72度と狭めにしたため幅は710mm。高さは683mmで、3ℓ・V6並みのサイズに収まった。
エンジンタイプ 72度バンクW型8気筒(15度VR型4気筒×2)
エンジン配置 フロント縦置き
総排気量 3998cc
バルブ数/気筒 4バルブDOHC
ボア×ストローク 84.0×90.17mm
シリンダーブロック素材 アルミ合金
シリンダーヘッド素材 アルミ合金
点火順序 1-5-2-6-4-8-3-7
圧縮比 10.8
最高出力 202kW/6000rpm
最大トルク 370Nm/2750rpm
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