STマイクロエレクトロニクス:環境にやさしく安全なEVを実現する革新的なバッテリ・マネージメントICを発表
- 2020/03/04
- Motor Fan illustrated編集部

STマイクロエレクトロニクスは、電気自動車(EV)の信頼性、安全性、航続距離、およびコスト効率を向上させる新しいバッテリ・マネージメントICのL9963を発表した。
EVは2030年までに従来の内燃エンジン自動車と同等の価格となり、販売台数では2038年までに上回ると予想されている(*1)。 STは、自社技術を活用し、自動車メーカーをサポートすることでEVの普及に貢献している。今回発表した先進的なバッテリ・マネージメントICは、業界最高レベルの電圧測定精度により航続距離とバッテリ寿命を延長すると同時に、温度モニタ用の入力の追加により安全性を向上させている。
L9963は、STのバッテリ・マネージメント・システム(BMS)プログラムにおける最新世代の製品。同プログラムでは、EV用バッテリを開発する主要な機関・企業と協力し、これまでにも先進的な製品を開発してきた。2008年に開始され、現在も進行中のLG Chem社との共同開発や、2017年に発表された、中国の研究開発機関であるIMECASおよびEV用バッテリ技術を開発するEPOCH社との共同開発などが挙げられる。
STのオートモーティブ & ディスクリート製品グループバイスプレジデント 兼 スマート・パワー・ソリューションMACRO事業部ジェネラル・マネージャであるAlberto Poma氏は、次のようにコメントしている。 「STは、電子技術の専門性を最大限に広げ、より環境にやさしいモビリティの実現に貢献しています。新しいバッテリ・マネージメントICは、EV用バッテリ・マネージメント技術における主要パートナーとの10年以上にわたる協力により実現しました。同製品は、EVのバッテリ・マネージメントにおけるあらゆる側面を強化し、市場訴求力と信頼性を高めてユーザ体験の向上に貢献します」
一般的なBMSアプリケーションでは、STのSPC5をはじめとする高性能かつ安全性に優れた車載用マイクロコントローラによって制御される複数のL9963を使用して、バッテリ・スタック内の複数のセルをモニタする。
L9963は現在量産中。詳細および価格については、STのセールス・オフィスまたは販売代理店まで。
(1) https://about.bnef.com/electric-vehicle-outlook/
L9963は、スタックされたバッテリ・セルを14個までモニタでき、1.7V~4.7Vの範囲において±2mV以下の誤差で電圧を測定してセルの状態を保全する。電圧の測定値は、すべて測定と同時にデジタル化されるため、セルの同期遅延をなくすことができ、このタイプのバッテリ・マネージメントICでは初の機能と考えられている。
また、外付けの温度センサを7個までモニタできるため、システムによる変動の検知と安定性の維持を強化できる。
L9963はISO 26262規格に基づくASIL-Dに準拠し、完全な冗長性を持つセル測定回路が内蔵されているため、安全性の向上に加えて「リンプ・ホーム」モードにも対応可能。また、自動車の安全要件を満たす包括的な異常検知および通知機能も搭載されている。
シリアル・ペリフェラル・インタフェース(SPI)に加え、絶縁型のシリアル通信インタフェース(2.66Mbps)を備えており、バッテリ・スタック全体をモニタする複数のL9963間での高速通信に対応する。これにより、8個のL9963で96個のセルの測定 / 変換を4ms未満で実行することができる。さらに、トランスによる絶縁と容量性絶縁を組み合わせた動作も可能。
また、優れた堅牢性により、外付けのツェナー・ダイオードなしでホット・プラグに対応することができる。通常、バッテリをオフにすることができないため、BMS保護用にツェナー・ダイオードが必要だが、L9963によってこれらの部品が不要となり、コスト削減が可能。
|
|

自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
自動車業界 特選求人情報|Motor-FanTechキャリア
「自動車業界を支える”エンジニアリング“ 、”テクノロジー”情報をお届けするモーターファンテックの厳選転職情報特集ページ

日系大手電機メーカー系列の自動車部品・計測機器メーカー 購買・調達
年収 | 461万円〜567万円 |
---|---|
勤務地 | 神奈川県座間市 |
日産自動車株式会社 品質検査・保証及び3次元測定検証<開発試作車体>
年収 | 380万円〜577万円 |
---|---|
勤務地 | 神奈川県厚木市岡津古久560-2,神奈川県... |
これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費が劇...
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形往復...

日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に洗練...
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこそ光...
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4とリフ...
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計ってみた...
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ

フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chapter2...

マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善手法...

マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエンジン...

ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態

林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えてくだ...

マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレインだ...
3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説

3分でわかる! スーパーカブのエンジンが壊れない理由……のひとつ...

3分でわかる! マツダのSKYACTIV-X(スカイアクティブ-X)ってな...

スーパーカブとクロスカブの運転が楽しいのは自動遠心クラッチ付...

ホンダCB1100の並列4気筒にはなぜV8のようなドロドロ感があるのか...

ホンダ・シビック タイプRの謎、4気筒なのになぜマフラーが3本?
