内燃機関超基礎講座 | BMW×ボッシュの水噴射システム:エンジンに水を噴いて大丈夫? 何が起こる?
- 2021/03/19
- Motor Fan illustrated編集部

エンジンに水を噴射するというBMWとボッシュのシステムとは、何を狙うものなのか。
BMWの水噴射システムは、吸気のサージタンク内に3本の水噴射インジェクターを配置し、全負荷運転時に最大10bar(1MPa)の噴射圧で水をスプレーし吸気温度を下げるというもの。全負荷時のみの使用を想定しているようで、水噴射で、8%前後の燃費低減効果があるという。効果を燃費に振るかパフォーマンスに振るかの自由度もあるという。
全開時の吸気温度を水噴射によって効果的に下げることで、過給圧を上げられたり、点火時期を早められたりする効果がある。もちろん、ノッキングの回避にも有効だ。RON98ではなく低いオクタン価のE10燃料の使用も可能になるという。水噴射システムが市販車で搭載されてこなかった理由は、システムの重量と錆の問題が大きい。今回のBMWの場合は、水タンクの容量は5ℓ。エンジンを切るたびにホース内の水をタンクに戻すという。水の補給の他に追加のメインテナンスは必要としない、とBMWは言う。
ウォーター・インジェクション・システム(水噴射)と言えば、かつては主にレースフィールドでターボエンジンに使われてきた技術だ。全開時にシリンダー内に水を噴射してその気化潜熱で筒内温度を下げる、あるいは、ラジエーターやインタークーラーに直接水を噴射して冷却する、というような技術だ。
この水噴射をBMWは近い将来Mモデルに採用する。現在は、MotoGPのセーフティカーであるM4に搭載してテスト中だ。基本的に全負荷運転時にメリットのあるシステムだが、実際どうだろう。登場が楽しみである。




|
|

自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費が劇...
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形往復...

日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に洗練...
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこそ光...
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4とリフ...
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計ってみた...
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ

フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chapter2...

マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善手法...

マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエンジン...

ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態

林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えてくだ...

マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレインだ...
3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説

3分でわかる! スーパーカブのエンジンが壊れない理由……のひとつ...

3分でわかる! マツダのSKYACTIV-X(スカイアクティブ-X)ってな...

スーパーカブとクロスカブの運転が楽しいのは自動遠心クラッチ付...

ホンダCB1100の並列4気筒にはなぜV8のようなドロドロ感があるのか...

ホンダ・シビック タイプRの謎、4気筒なのになぜマフラーが3本?
