内燃機関超基礎講座 | F1:エンジンパーツの精度が勝敗を分ける
- 2021/04/10
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世良耕太
レシプロ系は超高速で回転、あるいは往復運動を長時間行なうため、ほんのわずかな精度の狂いが重大なトラブルを招く。F1エンジンの製造プロセスを追ってみる。
TEXT:世良耕太(SERA Kota)
*本記事は2007年2月に執筆したものです
必要のない肉を削って可能な限り軽量化したい。ミクロンオーダーの寸法精度を一桁上げれば、余分な重量を払わなくて済む。1万9000rpmを超える(2007年はここが上限)高回転域では、ほんのわずかな誤差が大きなトラブルのもとになるだけに、部品の公差はできるだけ小さくしたい。だがそれには精度の高い工作機械が必要だ。また、クランクシャフトのような複雑な形状の部品について、さまざまな方向の寸法精度をきちんと測るには、古い機械で測ったり人手に頼ったりでは効率が悪い。そこで精度の高い自動寸法計測マシンも必要となる。
エンジンコンストラクターが自前の製造施設を整える流れが加速しているのは、部品の精度向上と品質管理のためだ。ホンダは開発の流れに支障を来さないよう2002-2003年のシーズンオフと2003-2004年のシーズンオフの2回に分けて、栃木にある製造設備を刷新した。これにより、クランクシャフトやヘッド、ブロックの加工が従来より一段高いレベルでできるようになったという。トヨタも本社工場生技部などとの連携を強め、部品の内製率を徐々に引き上げている。
シーズン中に何度もアップデートをしないと競争力を保てないF1では、部品の設計変更から完成までのリードタイムが短いことも戦略上重要。近年、この領域にも多くのエネルギーが注ぎ込まれている。
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