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連載コラム「酷道を奔り、険道を往く」Vol.9 落ちたら死ぬ!!『最凶酷道───国道157号線で温見峠を越える(酷道険道:福井県/岐阜県)』ジープ・レネゲード

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常にリスクを意識し続ける

果敢に川を渡っているように見えるが、これは洗い越しなのでSUVでなくても通ることは可能だ。温見峠の周辺では、こうした洗い越しが何度か現れる。
 国道157号線の酷道らしさ溢れる特徴として、洗い越しの多さも挙げられる。洗い越しとは道路と川が平面で交差している箇所のことだが、たいていは川というよりも水が道路に滲み出ているといった程度のものがほとんどだ。

 しかし温見峠周辺には左(モバイル版でご覧いただいている場合は上)の写真の通り、まるで本気の川渡りをしているかのように見える洗い越しが多い。とはいえ車体まで水に浸かってしまうような深さのものはないので、とくにSUVなどでなくても通過できる。

 落石注意の看板が多いのも国道157号線の特徴だ。実際、路上にはゴルフボール大からバスケットボール大まで、さまざまな石がゴロゴロと転がっている。こんなものが直撃したら......クルマももちろん心配だが、外に出て撮影する機会の多い我々は、生身の身体に一撃を喰らう可能性も高い。

 というわけでカメラマンと筆者は、今回バイク用のヘルメットを持参している。ヘルメットをかぶった男ふたりが路上でクルマを撮影している姿は異様かもしれないが、ここは安全最優先だ。

 実際、根尾黒津から根尾能郷の間(下写真の辺り)は、2005年11月に発生した岩盤崩落のために2012年10月まで7年にも渡って通行止めとなっていた。今回は筆者はヘルメットをかぶる機会はなかったが、備えあれば憂いなし。酷道険道とはそれほど危険な道であると、誰より自分に言い聞かせ続けたい。

 そんな最凶の酷道の旅の伴侶にジープ・レネゲードを選んだのは正解だった。ジープファミリーで最もコンパクトなサイズを持ち、狭隘な日本のクネクネ道でも持て余す場面は少ない。

 そしてなにより、コンポーネントを共有するフィアット500Xとの見事な作り分けに感心させられた。あちらは実際のサイズよりもコンパクトに感じられ、ワインディングでもついペースを上げてしまうのに対し、こちらはサイズ以上にガッシリと堅牢な印象で、「この中にいればとりあえず安心だ」と思わせてくれる。

 トレイルホークが積む2.4ℓ自然吸気エンジンのキャラクターもあるが、飛ばす気にはあまりならず、のっしのっしと歩を進めるサマがなんとも頼もしい。

ついにあの看板と対面! そして旅もフィナーレへ

一部の酷道マニアの間では名物にもなっている「落ちたら死ぬ!!」の看板。そのストレートな表現と強烈なインパクトには清々しさを感じるほど。
 滑落、落石、対向車、洗い越し......酷道険道ならではのあらゆるリスクに神経を尖らせながら走り続けること約3時間、ようやく酷道区間の終焉を示唆するものが現れた。

「落ちたら死ぬ!!」の看板である。

 ここにあるということは岐阜県側からアプローチする人のために掲示されていたわけで、ここから本格的に酷道が始まる───つまり福井県側からやってきた我々から見れば酷道はここまでということである。

 この看板に妙な魅力を感じていた筆者にとっては、温見峠よりもこの場所のほうが目的地というに相応しく、カメラマンが撮影している横で臆面もなくスマートフォンを取り出してパシャリ。気がつけば電波は圏内を示している。

「落ちたら死ぬ!!」の上にある落石注意の看板も味わい深い。岸壁に顔があり、その顔が口から石を吹き飛ばしている。その顔───いわば落石くん───の顔はかなり凛々しい。一方のクルマくんのビビリようもなかなかのもので、落石くんとの力関係が一目瞭然だ。

 これだけ印象深いということは、注意看板としては成功と言っていい。

 落石くん看板から3分ほど走り、左手に小さな発電所が見えるとセンターラインが現れ、“酷道”としての157号線は終わる。温泉施設や食堂も姿を見せ、沿道は一転して観光地の様相を呈してくる。何も知らなければ、この先に最凶の酷道が待ち受けていようとはなかなか予想できない。だからこその「落ちたら死ぬ看板」と「落石くん看板」であろう。

 国内最凶との呼び声高い国道157号線は、期待に違わぬ酷道っぷりだった。だが、これぞ日本ならではの醍醐味、とも思う。

 細長い国土に険しい山々が連なる日本、とりわけ本州や四国では、かつてこうした酷道険道は当たり前の存在だった。度重なる改修や道路網の発達によって徐々に姿を消しつつはあるものの、まだまだ我が国は酷道険道の宝庫である。

 もちろん道路にはライフラインという役目もあるわけで、改修や道路網の整備は進める必要があるが、一方で酷道険道をもっとポジティブに楽しむ文化があってもいい。

 最凶の酷道を走破した今、自分の酷道険道への想いがさらに強まったのを感じたのである。

〈国内最凶の酷道区間は約40km!〉岐阜県岐阜市から石川県金沢市を結ぶ国道157号線だが、国内最凶と言われる酷道は根尾から県境の温見峠を越えて越前大野に至る約40kの区間だ。言うまでもなくこの間には飲食店や商店は皆無だから、食事をすませるか食料を持参して向かうべし。ほとんどのエリアで携帯電話はつながらないので、事故や車両トラブルにはくれぐれも注意を。岐阜県側は東海環状自動車道の関広見IC、福井県側は北陸自動車道の福井ICからのアクセスが便利。

タフなクロカンAWDながらボディサイズはコンパクト。ジープ・レネゲードほど最凶の酷道に相応しいクルマもないだろう。今回の旅に供されたのは、最上級グレードのトレイルホークベースとした限定モデルのビーツ・エディションで、直列4気筒2.4ℓ自然吸気ユニットに9速ATを組み合わせる。

【ジープ・レネゲードトレイルホーク・ビーツ・エディション】
▶全長×全幅×全高:4260×1805×1725mm
▶ホイールベース:2570mm
▶車両重量:1560kg
▶エンジン形式:直列4気筒SOHC
▶総排気量:2359cc ボア×ストローク:71.0×75.6mm
▶最高出力:129kW(175ps)/6400rpm
▶最大トルク:230Nm/3900rpm
▶トランスミッション:9速AT
▶サスペンション形式:F&Rマクファーソンストラット
▶ブレーキ:Fべンチレーテッドディスク Rディスク
▶タイヤサイズ:215/60R17
▶車両価格:345万6000円

Vol.1「酷道険道は日本の宝である!【顔振峠から秩父へ(酷道険道:埼玉県)】」はこちら!

Vol.2「恐怖! クルマで渡れる驚きの吊り橋!【井川湖、そして接岨峡へ(酷道険道 :静岡県)】」はこちら!

Vol.3「フィアット・パンダで本格ダート林道を走ってみる【中津川林道へ(酷道険道:埼玉県)】」はこちら!

Vol.4「日本のトンネル技術が敗退!? 険しく長すぎる国道152号線を完全走破!【酷道で南アルプス越え!(酷道険道:静岡県/長野県)】」はこちら!

Vol.5「トンネルだと5分、旧道だと最大10時間! 【安房峠を越えて(酷道険道:長野県/岐阜県)】」はこちら!

Vol.6「東京都にもこんな酷道険道が!【陣馬街道から多摩源流の里へ(酷道険道:東京都/神奈川県/山梨県)】」はこちら!

Vol.7「房総半島は素堀りトンネルの宝庫!【房総トンネル紀行(酷道険道:千葉県)】」はこちら!

Vol.8「酷道を知りたければ299を走れ!【酷道にして王道──国道299号線(酷道険道:埼玉県/長野県)】」はこちら!

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