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最新スポーツシリーズの600LTにハンガロリンクで乗った 史上最高に楽しめるマクラーレン! 600LTは速さだけではなく操る喜びがある。

  • 2018/10/05
  • GENROQ編集部 吉岡 卓朗
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試乗の場はハンガロリンク

 関係者にF1ハンガリーGPの開催地を選んだ理由を訊くと、コース幅が広く、コーナーがバリエーションに富んでいるからだという。なるほど、たしかに大小様々な曲率で、ステアリングの正確性や、しかも最近のサーキットではないから(1986年)適度に路面が荒れていて、スリッパリーでバンピーなコーナーリングが試せる。
 
 試乗はまず570Sから。マクラーレンはサーキット試乗の場合、必ず比較となる近似モデルを用意してくれるのがありがたい。専用のピレリPゼロコルサは適度なグリップを持つが、改めてサーキットで試すとドリフトコントロールも容易でフレンドリーな性格のクルマだと感心する。570Sによる5周の慣熟走行を終えて、いよいよ600LTだ。6周を2セッションする。

マクラーレンの美点は確実に生きている

 600LTの見た目は、正直ロングテールと言うほど長くない。これは675LTに対しても同様の印象を持っているが、象徴としての“LT”ということなのだろう。570Sから乗り替えてすぐに感じたのはコントロールしやすいエンジンということ。もちろん最高出力はエンジンマネージメントをさらに高度化し、ボディ後端上部にエキゾーストパイプエンドをレイアウトしたことなどで、30ps上乗せされた600psである。
 
 ところがアクセルペダルの感触がとてもリニアなため、一発で思った速度に調整できる。無理してピークパワーをたたき出したわけではない。マクラーレン全モデルに通じる美点は600LTにも確実に生きていた。

 富士スピードウェイを彷彿させるタイトな1コーナーは200m手前で減速するように言われたが、例によって重たいブレーキを左足で思い切り蹴飛ばすと、まったく余ってしまった。255km/hからなら180m手前で減速開始がちょうどいい。もちろんタイヤも違うが、減速時のスタビリティは570Sよりも圧倒的に高い。570Sと同じPゼロだが、570Sはコルサで、600LTが履くのはサーキット志向のトロフェオRなのである。

すべてが高性能だが、楽しい

 1コーナーの先、下りながら左に巻いていく2コーナーでは、高いスタビリティに驚かされた。570Sではドリフトさせる余裕もあったが、同じ速度で600LTはまったく動じることがない。トロフェオRのハイグリップも奏功しているだろう。そこで、車速を周回ごとに高めていくと、リアが流れながらも斜めに加速するタイヤのコントロール幅が感じられた。
 
 たしかに限界は高いが、コントロールできないレベルではない。ステアリングから伝わる感触は非常に純粋で、ステアリングポストの剛性感も高く、心からスポーツ走行を楽しめた。

はっきりとピュアな性格

 試乗の後半ではフラットなS字でドリフトを楽しむ余裕も出てきた。そんなことをしていたら、メーターに備わる4輪のタイヤ温度は108℃に達していた。以前参加したセナの試乗では36℃のエストリルで90℃程度だったから、外気温33℃のハンガロリンクでどれだけコーナーリングを楽しめたかよくわかる。
 
 試乗中、唯一気になったのがシートだ。セナにも採用されるオプションのレーシングシートはシェルの内側に薄いクッションパッドが貼り付けられた簡素なものだが、セナ試乗の際には快適にスポーツ走行できた印象だったが、今回用意されたシートは背もたれが立ち気味で、ハンガロリンクのようなアップダウンのあるサーキットでは上を見る際、ヘルメット後頭部がヘッドレストに当たってしまった。エンジン全開時のヘッドレストの振動は相当激しく、エンジンマウントを強化したという説明があったのを思い出した。

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