Alfa Romeo Stelvio Snow Drive Impression from Editor's room アルファロメオ・ステルヴィオで北海道の雪道を激走してみる〈Alfa Romeo Stelvio雪上試乗記〉
- 2019/02/13
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MotorFan編集部 小泉 建治
アルファロメオ初の本格SUV「ステルヴィオ」。この最高にスタイリッシュで、驚くべき運動性能を誇るSUVで、厳寒の北海道を激走した。もちろん路面は全域に渡って完全なスノーコンディションだ。ワインディングロードでも、サーキットでも、まるでスポーツカーの如き振る舞いを見せるだけに、こうしたサバイバルな状況下でのパフォーマンスにはたいした期待をしていなかったのだが……。
TEXT●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)
ラングラーよりもスゴイかもしれない
FCAが擁するオフローダーおよびSUVの雪上試乗会が北海道の千歳空港近郊のオフロードコースを舞台に行われた。用意された試乗車は、ジープの各モデル&ステルヴィオである。
当然ながら主役はジープで、とりわけデビューしたばかりの最高峰モデル「ラングラー」に注目が集まったのは言うまでもない。
試乗の舞台となった千歳周辺の気温は、氷点下1〜8度ほどで、こうした極限の状況下では、さすがにステルヴィオの存在感は霞む。どうしたってジープのほうが逞しく、頼もしく見える。
それを逆手に取り、あえて人気がなく、パフォーマンスも低いと予想されるステルヴィオから試乗を開始した。始めにイイヤツに乗ってしまうより、ダメな方(失礼!)からイイ方に乗り換えていく方がありがたみを感じやすいからだ。
そんなわけでステルヴィオに乗り込む。コースは4種類が用意され、ひとつはラングラー専用の難関コースでアップダウンも激しい。残りの3種類の特徴を簡単に言うと、低速コース、中速コース、高速コースといったところで、どれも起伏はほとんどなかった。
まずは中速コースに挑む。ドライブモードセレクターである「アルファD.N.A」は真ん中のN(ノーマル)のままだ。筆者にとって、今シーズン初のスノードライブであり、感触を掴むために慎重に走り出したのだが、とにかくフツーに走れてしまう。どうやら雪がほどよく踏み固められていて、意外とミューが高いようだ。試乗車はピレリのスタッドレスタイヤ「アイス・アシンメトリコ」を履いていたが、こいつのグリップも相当に高いらしい。
続いて走った低速コース、高速コースでもとくに印象に代わりはなく、なんだか拍子抜けである。
「これならジープを引っ張り出すまでもないんじゃないか?」
そしてラングラーに乗り換えて驚いたのである。
先ほどの中速コースにて、ステルヴィオと同じ調子でコーナーに入っていくと、見事に、それはもう見事なまでのアンダーステア……というより、新聞記事なんかでよく見る「スピードの出し過ぎでカーブを曲がりきれず……」みたいな感じだ。
おかしいなと思い、今度はしっかりコーナー手前でアクセルを緩め、フロントタイヤが雪を掴んだのを感じてからステアリングを切る。当然ながらラングラーはのっしのっしとステアリングを向けた先に歩を進めてくれた。
後に乗ったコンパスでも同じであった。ステルビオと同じようにコーナーに飛び込んでいくと、だらしなく外に膨らんでしまう。ステルヴィオのときと比べて、路面コンディションが変化した?
そしてもう一度ステルヴィオに乗り込む。今度は慎重にコーナーに入っていく。すると予想以上にインベタでするりと曲がれてしまった。そこで最初のときのように、もう少しスピードを保ったまま入っていくと、やはりグイグイと鼻先がコーナー出口のほうを向いてくれるではないか。シープ兄弟とはまったく動きが異なり、なんだかクルマがとても軽く感じられるのだ。
つまりこれは、ステルヴィオが持つSUVらしからぬスポーツカーとしての基本構成がなせるわざなのではないだろうか?
ステルヴィオのプラットフォームはスポーツサルーンのジュリアと同じ「ジョルジオ・アーキテクチャー」で、サスペンションも基本的にジュリアと同じである。もちろんセッティングは変更されていて、着座位置は190mm、最低地上高は65mm高くなっているが、ロール軸の角度はジュリアとまったく同じである。
エンジンフードをはじめボディ各所にアルミニウムを使い、カーボン製ドライブシャフト(!)を採用するなど徹底して軽量化に取り組んでもいる。
そして前後重量配分は50:50で、前後トルク配分は基本的にフロントが0、リヤが100……つまりFRである。そして必要が生じたときだけ、フロントに最大60%のトルクが配分される。さらには12:1という、もはやSUVとは思えないクイックなステアリングレシオを持っている。
こうしたスポーツカー的な成り立ちがもたらす物理的な優位性が、雪道でも軽快さとして現れ、意のままに操れる運動特性を生み出しているのだろう。もちろん急坂や新雪路などにおける走破性という意味ではジープ勢、とくにラングラーにはとうていかなわない。これについてはラングラーの試乗記として別記事であらためて述べるが、ことフラットな圧雪路であれば、ステルヴィオはジープを凌ぐポテンシャルを発揮する。いや、ことによると世界中のあらゆるクルマのなかでも一位二位を争うほどのスノーマシンと言えるのかもしれない。
フラットな雪道で、優れたスタッドレスタイヤを履いていれば、ステルヴィオの操安性は恐ろしく高い。試乗前、ステルヴィオを脇役と決めつけていた自分の見識のなさを恥じるばかりだ。
アルファロメオ・ステルヴィオ ファースト・エディション
全長×全幅×全高:4690×1905×1680mm ホイールベース:2820mm 車両重量:1810kg エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー 総排気量:1995cc 最高出力:206kW(280ps)/5250rpm 最大トルク:400Nm/2250rpm トランスミッション:8速AT フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン リヤサスペンション:マルチリンク タイヤサイズ:255/45R20 車両価格:689万円
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