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Audi RS 4 Avant試乗記 アウディRS 4アバントこそ最強ワゴンの理想型だ!

  • 2019/04/07
  • GENROQ編集部
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アウディが精力的に推し進めるスポーツモデルの充実。クワトロ社時代から連綿と受け継がれてきたRSモデルは、その象徴ともいえる存在だが、このRS 4こそ、その中核である。上陸したばかりの最新RSシリーズでアウディスポーツの今を分析する。

REPORT◉渡辺敏史(WATANABE Toshifumi) 
PHOTO◉平野 陽(HIRANO Akio)

※本記事は『GENROQ』2019年4月号の記事を再編集・再構成したものです。

元祖たるRS2を彷彿させる佇まい

 アウディにおけるRSとSの立ち位置というのは、BMWでいえばMとMパフォーマンス、メルセデスAMGでいえば63ラインと53ラインになぞらえればわかりやすいだろう。つまりはサーキット走行も視野に入れた究極のパフォーマンス指向と、日常性とのバランスを重視したスポーティ指向の2グレードで、走りにこだわるユーザーを囲い込むという算段である。

新開発2.9ℓV6ツインターボエンジンを搭載。先代の4.2ℓV8と最高出力は同値ながら、最大トルクでは170Nm上回る。

 そこに標準車と合わせての三段構えのラインナップ構成に先鞭をつけたのはアウディだ。2003年に登場したRS 6は00年に登場していたS6に110㎰のパワーを上積み、450㎰&560Nmという当時としては破格の火力をワイドトレッドで支えるという過激な仕立てとなっていた。その別物感は1994年に80アバントをベースにポルシェが開発を担当したRS2を思い起こさせるが、RS 6を開発したのはアウディが100%出資するクワトロGmbH。アウディのレース活動全般を支える傍らで市販車のRSシリーズの開発から生産までを手掛け、ラインナップをコツコツと拡張してきたこの会社は、16年にアウディスポーツGmbHと社名を変更。初代のマネージング・ディレクターにランボルギーニから移籍したステファン・ヴィンケルマンが就いたことで、スーパーカー愛好家には知られるところとなった。

試乗車は275/30ZR20のコンチネンタル・スポーツコンタクト6を装着していた。
フロントグリルはRSモデル専用。

 アウディスポーツGmbHが手がけるモデルはR8を筆頭に、RSのエンブレムをいただく9バリエーションに及ぶが、中でも最も新しい日本導入モデルとなるのがRS 4アバントだ。00年には初代RS 4が登場しており、この新型は4代目のモデルということになる。さらに車格的にルーツを遡ればRS 2との関係も濃いわけで、最も精神的源流にあるRS銘柄といっても過言ではない。

 新型RS 4アバントはB9系アウディA4アバントをベースとしており、サイズ的には全長が45㎜、全幅が25㎜拡大している。標準車との違いは一目瞭然というエクステリアを目の当たりにすると、その程度のサイズアップで収まっているのかというのが正直な印象だ。もちろん高性能化に起因する、荷室容量や居室空間の変化はない。


随所に奢られたカーボン製エアロパーツがいかにもRSモデルだ。
 アウディのRSと聞けば身構えるほどの狂気がクルマに宿っていても当然だが、ワイド感を強調するルックスを除けば、過剰な演出はそれほど多いわけではない。始動音も必要以上の威嚇はなく、この手のモデルとしては常識的な範疇だ。しかし、この手のプレミアムモデルにとって悪目立ちをしないというアンダーステートメント性は重要な項目でもある。言い換えればRS 4アバントは双方の意を汲む際のキワ的なところにいるのではないだろうか。

 低回転域を多用するタウンスピード領域では、2000rpmも回れば十分というほどにATが素早く高いギヤを捕まえて600Nmのトルクに任せたイージードライブが可能だ。ギヤの刻みの多いがゆえのビジー感を覚えることはまずないだろう。また、この域での乗り心地は引き締まったがゆえの突き上げや横揺すり感は若干残るものの、エンジンやドライブトレインの音もほとんど気にならず、快適性は担保されている。

RSモデル専用のフラットボトム革巻きスポーツステアリングは小径だが握り心地は抜群。品質の高さをうかがわせる。
メーター右には出力とトルクが表示される。

 搭載されるエンジンはアウディの設計開発となる2.9ℓV6直噴ツインターボで、タービンはVバンク内に2つ収められるホットVレイアウトを採用。アウディではRS 5に搭載されるほか、ポルシェでもカイエンやマカンなどが採用するそれは450㎰&600Nmを発揮する。このパワースペックは件の4.2ℓV8ツインターボの初代RS 6をも上回るものと聞けば、時代の変化を感じることになるだろう。

 パワーもさることながら強大なトルクを受け止めるべく、組み合わせられるミッションは8速ティプトロニック、つまりトルコンATとなる。クワトロシステムは基本的に40対60の前後駆動配分を持つフルタイム式となるが、ドライブモードやグリップ状況に応じて最大でフロントに70%、リヤに85%まで駆動配分を調整可能だ。加えて後軸側にはメカニカルな増速制御も行うスポーツデフを日本仕様では標準装備。足まわりについても電子制御可変レートダンパー=DRC付スポーツサスペンションプラスが装着されるなど、走りの性能にまつわるものはほぼフルスペックとなっている。唯一のオプション扱いはカーボンセラミックブレーキくらいなものだろうか。

ファインナッパレザーのスポーツシートはホールド性と快適性を両立した優れもの。

 踏めば速いことは当たり前だが、その速さの質に小排気量のエンジンが無理繰りパワーを絞り出しているような必死さは皆無だ。どこからでも力が湧き上がるという低回転域からの感覚のまま、6000rpmオーバーまで山谷感もなく達してしまうという加速の質は、古いにしえからのRSモデルのイメージにほど近い。

 一方で、古とは大きく異なるのはその馬鹿力を受け止める脚さばきや実際の路面伝達感が、より柔らかく綿密に変貌しているということだろう。かつては路面を掻きむしるようにトラクションを全面に押し出し、乗り心地を泣かせてでも足を路面に押し付けていたRS流の必死なセットアップは洗練され続け、今では強烈な速度域に至るまで、路面に染み入り同化するようなフィードバックをドライバーに伝えてくる。標準車と等しく変わらぬとっつきやすさをもって、上側の性能をどこまで高められるのか。RSが歩んできた進化の到達点は、走る曲がる止まるの全能をどこまでシームレスな肌触りにするのかという、機械における悟り的な境地なのかもしれない。

RSのエンブレムが輝くセレクタレバーゲート、カーボンパネルのダッシュボードがスポーティだ。

SPECIFICATIONS アウディRS 4アバント
■ボディサイズ:全長4780×全幅1865×全高1435㎜ ホイールベース:2825㎜
■車両重量:1840㎏
■エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ 総排気量:2893㏄ 最高出力:331kW(450㎰)/5700~6700rpm 最大トルク:600Nm(61.2㎏m)/1900~5000rpm
■トランスミッション:8速AT
■駆動方式:AWD
■サスペンション形式:Ⓕ&Ⓡダブルウイッシュボーン
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ275/30ZR20
■パフォーマンス 最高速度:280㎞/h (リミッター作動) 0→100㎞/h加速:4.1秒
■環境性能(JC08モード):11.2㎞/ℓ
■車両本体価格:1196万円

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