ペダル踏み間違いを考察する:アクセルペダルとブレーキペダルは「脚」ではなく「足」で操作する
- 2019/04/26
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Motor Fan illustrated編集部 萬澤 龍太
ペダル踏み間違いに起因すると思われる痛ましい事故があとを絶たない。なぜ踏み違えが起こってしまうのかを考えてみた。
TEXT●萬澤龍太(MANZAWA Ryuta)
クルマに乗せてもらったとき、こんなことを言うのもなんだが、発進停止のたびにカックンカックンすると気にならないだろうか。なぜカックンカックンするのかなと観察してみると、ペダルを脚で踏んでいる人が多いことに気がついた。
アシで踏むなんて当たり前じゃねえか、お前は手で押すのかと言われそうだ。いやいやそうではない。足ではなくて脚、もう少しきちんと説明すればくるぶしから下の「足」ではなくて、大腿部を含む「脚」全体でペダルを操作しているように見受けられるのだ。
もはやはるか昔のことになってしまったが、自身が教習所でクルマの操作を習ったときには「アクセルペダルを操作するときはかかとを床につけてペダルを踏みましょう。繊細な操作が可能になります」というように言われた記憶がある。加えて、「ブレーキペダルを奥まで思い切り踏み込んだときに膝に余裕がある程度でシートスライドを調整しましょう」とか「減速して停車する寸前にはちょっとブレーキを緩めるとクルマがカックンとしません」などとも教えられた。それらを踏まえ、右足(右脚ではなくて)のホームポジションはこのようになった。
着席したときの右足のホームポジションはブレーキペダルに対して直角でかかとは着地、アクセルペダルを踏むときはかかとはそのままに右に倒してアクセルペダルを操作する。足が弧を描くようなイメージだ。「アクセルペダルに対して直角、ブレーキを踏むときに左に倒す」という置き方も考えたのだが、大前提として止めることが最優先(自然な足の角度がブレーキ)というように考えてこのようにした。
このように足を置くと何がいいかといえば、先述のようにペダルをとても細かく操作できるのだ。踏み増し方向はもちろんのこと、とくに踏み戻し方向で決めたところでピタッと止められる。このように足を置いていたから、マツダがオルガンペダルを採用したときに「そうそう、そうだよね」と納得できた。足の軌跡とペダルプレートの動きが同じだからだ。
対する「乗せてもらってカックンカックン」の人を見ていると、脚全体でペダルを踏み替えているように見受けられた。踏み替えたあとの「足」は結果としてかかとが着地しているのかもしれないが、基本的には2カ所を踏み込むイメージ。脚全体を動かしているので「足」だけを動かすのに対してどうしても時間がかかり、かつ重く、だからどうしても急なペダル操作になりがちである。
——とそこではたと気がついた。これがもしかするとペダル踏み間違いの遠因なのではないかと。
「足」で操作するときのアクセルペダルとブレーキペダルの踏み感覚はまったく違う。アクセルのときはくるぶしから下をひねっているからだ。別な操作をしているというのが、無意識下でも体が認識している。
しかし「脚」で操作しているときのペダル感覚は「踏んでいる場所が違うだけで脚の感覚は同じ」。アクセルペダルとブレーキペダルが数十センチも離れていれば腿の角度から脚を大きく動かすので違う操作と思えるかもしれないが、せいぜい10cm程度の違いではそれも難しい。だからブレーキと間違えてアクセルを踏んだときにも「ブレーキを踏んだはずなのに!?」とパニックになってしまうのではないかと思ったのだ。ましてバックのときに体をひねってうしろを向いたとき……コンビニに突っ込んでしまうのはこんなところに原因はないだろうか。
あくまでも筆者の場合、である。これが正しいというつもりはまったくない。けれど、「アクセルもブレーキも同じ『ペダル操作』だから踏み間違えが起きるのだ」とか「いっそのことアクセルはペダルじゃなくてレバーにすべき」という論が展開されると、彼らの言いたいところはつまり、アクセルペダルとブレーキペダルの操作をまったく異らせるべきだということなんだろうと思い、「『脚』じゃなくて『足』の踏み換えだったらそのとおりになるんだけどな」などといつも思うのだ。ということで日産のワンペダルというのは非常に有意義な操作方法だと感心するのである。
皆さんはどんなふうにアクセル/ブレーキペダルを操作していますか。ぜひお聞かせください。
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