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アルピーヌA110開発責任者ジャン-パスカル・ドース氏インタビュー「あれをやっておけば……そんな後悔はしたくなかった」

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今後のエボリューションモデルの追加はある?

───今後、エボリューションモデルの追加などの予定はあるのでしょうか?

JPD:答えられないとわかっていながら聞いていますよね(笑)? もちろんモデルサイクルの中で、バリエーションを増やしていく必要はあるでしょう。これはあくまで個人的な考えですが、私はパワーの向上ではなく、さらなる軽量化の方向が好ましいと考えています。今でも十分に軽量なのですが、サーキットに特化してストイックな仕様にするというのはアリだと考えています。ただ現時点では、カスタマーからそういう要望は上がっていません。

───MTの追加はあるのでしょうか?

JPD:よく聞いてくれました(笑)。結論から言えばノーなのですが、ここに至るには苦しい決断があったので説明いたします。

 まず、当初は開発陣の中で「機械式のサイドブレーキが欲しい」という意見がありました。利点は言うまでもなく「サイドターンができる」というものです。一方、欠点は「コクピット内にレバーのスペースが必要になるし、ケーブルを取り回すことで重量増につながる」ことが挙げられます。

 結局、ブレンボがリヤキャリパーそのものに電子制御のアクチュエーターを組み込む斬新なシステムを完成させたことで、議論に決着がつきました。A110は電子式パーキングブレーキを採用し、さらなる軽量化を手に入れました。

 そして次がMTかDCTかの問題です。A110は新生アルピーヌの最初のクルマです。ゼロからシャシーを造りましたから、当然ながらお金が掛かります。となれば、選択と集中が求められます。欧州はともかく、北米はATの販売比率が98%、日本を含むアジアは95%です。そして今やパフォーマンスもMTよりDCTのほうが高い。となればDCTに絞るしかありませんでした。

 というわけで、A110はDCT専用設計です。しかし最高のDCTに仕上げたつもりです。もちろん私を含め、開発陣はMTの楽しさも十分にわかっています。将来的には、MTとDCTの両方を提供できるブランドになりたいと思っています。

2010年、筆者がパリ郊外にあるルノー・スポールを訪れた際、取材に対応してくれたドース氏。当時はルノー・スポールのコンペティション部門ダイレクターを務めていた。

───ところでジャン-パスカルさんは、初代A110を所有されていましたよね?

JPD:もちろん今も持っていますよ。手放すことは考えられません。新型A110も、そうやってみなさんに愛され、大事にされるスポーツカーに育ってほしいと望んでいます。

Jean-Pascal Dauce(ジャン-パスカル・ドース):航空機メーカーであるエアバス社でエンジニアとしてのキャリアをスタート。すぐにルノーに入社し、10年間ほどシャシーエンジニアとして経験を積む。その後、ルノー・スポールでクリオV6や二代目メガーヌR.S.などのプロジェクトリーダーを務め、ルノーF1のエンジニアとしてイギリスへ渡る。3年後にルノー・スポールに戻り、コンペティション部門ダイレクターを務める。2012年からアルピーヌA110のプリプロダクト(商品の方向性を決める行程)の責任者を任される。14年の夏に一旦ルノー・スポールに戻り、18年にアルピーヌのチーフ・ビークル・ダイレクターに就任する。

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