【試乗記:スズキ・スペーシア】もっと楽しく便利に、そして安全に進化した
- 2019/07/03
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岡本 幸一郎

見た目からしてどこかへ出掛けたくなるような雰囲気。そして新プラットフォームによって広くなった室内と軽初採用を含む多くの先進安全装備により新型スペーシアは最激戦区のスーパーハイトクラスで存在感を示す。
REPORT●岡本幸一郎(OKAMOTO Koichiro)
PHOTO●神村 聖(KAMIMURA Satoshi)/平野 陽(HIRANO Akio)/宮門秀行(MIYAKADO Hideyuki)
先行くライバルを追撃すべく異なるアプローチで進化

限られたサイズの中でより広い室内空間を実現した初代ワゴンRの出現により、軽自動車の流れは大きく変わった。それが四半世紀も前のこと。そして21世紀を迎えてほどなく、さらに車高を高くしたタントをダイハツが送り出して人気を博すと、競合他社もそれにならったニューモデルを続々と投入し、軽自動車のメインストリームはすっかりそちらに移行した。スペーシアの前身であるパレットも、その中の1台であることは周知のとおりだ。
2017年の販売ランキングを見ると、ダントツの1位が21万8478台を販売したN-BOXで、2位に14万1373台のムーヴをはさみ、僅差の3位が14万1312台のタントとなっている。対するスペーシアは10万4763台を販売して66位と、月販8000台という目標こそ計算上はクリアしているものの、直接的に競合する2モデルにやや水をあけられた感があるのは否めない。
要因としては従来型の見た目の第一印象が競合車ほど広さを感じさせないこともあったと思われるが、実際にも開発関係者によると、パレットや初代スペーシアでは、ワゴンRの車高を高くした版と位置付けていたのだが、新型を開発するにあたっては、違うジャンルのクルマであることを念頭に置いたという。
そうした基本アプローチの変化は、見た目の第一印象にも表れている。フードの天地高やベルトラインを高くし、ボディの厚みを強調したことで、目にした瞬間にいかにも広そうだと感じるフォルムになった。従来型では、むしろボディを薄く見えるようにしていたり、ルーフにかけて絞り込んでいたのとはずいぶん異なる。そして、実際にも非常に広く使い勝手に優れた室内空間を実現していることを、後ほど詳しくお伝えしたいと思う。
スーツケースをモチーフにしたという、これまでとはガラリと変わったエクステリアデザインも、実にユニークで印象に残るものだ。競合車はいずれも現行型が従来型のキープコンセプト路線であるのに対して、スペーシアはとても新鮮味を感じさせるところが良い。さらにはスタンダードと言える標準車とカスタムで同じクルマがベースとは思えないほど差別化されているように見えるのも、新型スペーシアの特徴といえる。
全体的に丸みを帯びた愛らしい標準車は、コンセプトどおりワクワクさせるような遊び心と、“道具感”が上手く表現されている。ハイトワゴンとしては珍しくルーフレールが設定されているのも特徴的だ。

一方のカスタムは、より押し出しの強いフェイスが好まれる近年のユーザーの志向に応えるべく、「圧倒的な迫力と存在感」が与えられている。軽自動車でここまでやったクルマなど、ほかに即座に思い浮かばないほどの強面ぶりだ。
パワートレーンでは、全車にマイルドハイブリッドを搭載したことにも要注目。走り出しや加速時にクランクをモーターがアシストしてくれるので軽やかな感じがするのは、このシステムの美点のひとつ。むろん燃費向上にも貢献してくれているはずで、新型では最大で10秒間もモーターのみでクリープ走行し続けるようになったのも特筆できる。
R06A型エンジンは、カスタムではターボ付きも選べる。自然吸気とターボではそれなりに違いはあり、ターボのほうが圧倒的にパワフルなのは当然ながら、市街地を主体に使うのであれば自然吸気でも動力性能に大きな不満はない。対するターボは、軽自動車のような小排気量ではなおのこと、過給が安定しない低回転域において応答遅れを感じるものが多い中で、このエンジンは比較的レスポンスも良いことに加えて、ISGがそこを上手くカバーしてくれているようで、ストレスを感じさせることもない。
静粛性もまずまず。パワートレーン系の遮音は軽自動車としてはハイSUZUKI SPACIAレベルで、安っぽい騒々しさはない。カスタムのみに設定されたターボでは、あえて低音を聴かせる味付けとしたようにも感じられる。
また、スズキ初となるパワーモードを新たに設定したのも特徴として挙げられる。これはユーザーの中で高速道路の合流や上り坂でもアクセルを強く踏み込むのが怖いという人が少なくないことが判明したため、アクセル全開にしなくてもしっかり加速するようにとの思いから採用に踏み切ったという。
ONにするとISGのアシストをトルクアップしたり、エンジン回転数を高めにキープするなど特性が変わるのだが、確かに走りの印象はパワフルになる。特にターボのほうが違いがわかりやすい。しかも、こうした類いの機構は過度にゲインが高く、ギクシャクして運転しにくくなるものが多いように思うが、こちらはそんなこともない。
常時ONにしてもよいのではと思ったほど良く出来ていたのだが、それではせっかくの低燃費や静粛性が落ち込むことになるので、いざというときに使うほうが賢明だろう。


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