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マクラーレン600LT スパイダー試乗記 シートのすぐ後ろに排気管!? マクラーレン600LT スパイダーはサウンドの刺激に溢れていた

  • 2019/08/15
  • GENROQ編集部
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降り注ぐ音のシャワー

 ところがオープンの状態で走り出した600LTスパイダーは驚くべきことにまったく別のクルマになっていた。その最大の特徴は頭上から盛大に降り注いでくる音のシャワーだ。マクラーレンはこれまで排気音に対する評価が芳しくなかったのだが、600LTスパイダーのそれは、このモデルの特徴でもある上方排気も手伝って、コクピット内に素晴らしい音が充満する。これはまったく予想していなかった600LTスパイダー特有の美点といえる。

 3.8ℓのV8ターボはアイドリング付近では不機嫌そうなブツブツという音を奏でているが、そこから中間域まではNAエンジンのように音色が艶を増し、さらにトップエンドに向かう道中では高圧のスプレー噴射のような音が加わって、8500rpm付近のフィナーレへと突き進む。

 しかもパドルスイッチによるシフトダウンの操作ひとつで音の塊が不規則に切り刻まれ、刺激的な不協和音が生成される。それはフェラーリやポルシェのような澄んだ美声ではなく、レーシングカー的な力のこもった肉声なのである。

 一方コーナリングにおいてもオープンモデルのメリットが感じられた。というのも、オープンにしたことで重心が下がった効果をはっきりと体感できたからである。サイドとリヤの窓も下ろしてフルオープンの状態にすると、いよいよ重心が低くなり、ロールが減ってコーナーの切り返しがはっきりと軽快になる。そんな一部始終をはっきりと指摘できるのも、カーボン・シャシーの伝達能力の高さなのだと思う。

 ヘルメットを被ってサーキットをストイックに攻め込むのであれば600LTクーペを選ぶのが正解だが、ワインディングや高速道路といった公道で遊び尽くそうというのであれば、選ぶべきは600LTスパイダー以外にはないだろう。クーペではもたらせない音の強刺激が、LTの称号にさらなる伝説性をプラスしようとしているのである。

シート調整機能はすべて電動だ。背後のウインドディフレクターは電動で上下し、屋根を閉めていても開閉できる。
オープン時は乗り降りがやりやすいというメリットもある。エアコンの効きが強力なのはオープンカーにとってはありがたい。

マクラーレン600LTスパイダー
■ボディサイズ:全長4604×全幅1930×全高1196㎜ ホイールベース:2670㎜
■車両重量:1404㎏
■エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ 総排気量:3799㏄ 最高出力:441kW(600㎰)/7500rpm 最大トルク:620Nm(63.2㎏m)/5500rpm
■トランスミッション:7速DCT
■駆動方式:RWD
■サスペンション形式:Ⓕ&Ⓡダブルウイッシュボーン
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ225/35R19(8J)Ⓡ285/35ZR20(11J)
■0→100㎞/h加速:2.9秒
■最高速度:324㎞/h
■価格:3226万8000円

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