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シトロエンC3エアクロスSUV試乗記「最新のシトロエンには、古典的なシトロエンの喜びがあった」

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この極上シートのためだけにC3エアクロスを買ってもいい

「路面の荒れ」すら快感になってしまう……

「路面の荒れ」すら快感になってしまう……

 だがなんといってもC3エアクロスの白眉は、コンベンショナルな金属ばねながら、どこかふんわりとしていて、しかし腰砕けにはならないシトロエンならではのサスペンションだろう。

 画期的なPHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッションズ)を備えるC5エアクロスを体験した後だと、C3エアクロスの乗り味はごく普通である。街中や高速道路において、C5エアクロスほどソフトでゆったりとした乗り心地を味わえるクルマはそうそうない。

〈試乗:シトロエンC5エアクロスSUV〉極上の乗り心地……もう、それだけで十分だ

2019年、シトロエンは創立100周年を迎えた。その記念すべきアニバーサリーイヤーに、彼らは極めて“らしい”シトロエンを繰り出してきた。「魔法の絨毯のような乗り心地」をキーワードに開発されたC5エアクロスSUVの上陸である。

広大な電動グラスルーフは、前側の半分が開閉可能。全面を覆う電動シェードも備わる。
ドアトリムにはシート表皮と同じファブリックが張られる。肘の当たる部分で、ほのかに気持ちがいい。
ダッシュボードにもシート表皮と同じファブリックが張られている。このセンスはさすがと言うほかない。

 しかし5分も走れば、C3エアクロスもクラスの水準と比べるとかなりふんわりとした乗り味であることに気づく。試乗した河口湖周辺は路面が荒れている部分も多い。しかしC3エアクロスの場合、サスペンション、ボディ、そしてシートを通して(あくまでイメージ)、少しずつ衝撃を濾過してくれる。結果的にドライバーには必要な手応えのみが伝わるから不快に感じることがないばかりか、むしろちょっとした路面の荒れが快感になってくるほど。

 それでいて、前述の快活なパワートレインを駆使してハイペースでコーナーに突っ込んでいっても、けっして腰砕けにはならない。ある程度のロールを許容しつつも、そこから不思議と踏ん張ってくれるのだ。

 これぞフランス車ならではの悦楽だ。

 クロスオーバーSUVという極めて現代的なスタイルを得たC3エアクロスだが、これほどまでに古典的なフランス車の味を楽しめるとは思わなかった。うれしい誤算とはこのことである。

リヤシートにはスライド機構が備わり、前方にスライドさせれば5名乗車でも520Lのスペースが得られる。
リヤシートは6:4の分割可倒式で、4名乗車+長尺物を収めたいときはこのようなレイアウトになる。
6:4の分割可倒式とはいえ、後席中央部のみをアームレストのように倒すこともできる。
リヤシートをすべて倒せば、1289Lもの広大なラゲッジスペースが生み出せる。
さらに! 助手席まで倒せば、2.4mものスペースを得ることもできる。
助手席はこのように前方に倒れる。レバーひとつで簡単に操作可能だ。
倒したリヤシートとラゲッジスペースはほぼフラット。フロアボードの下にも収納スペースがある。
ラゲッジスペースのフロアは二段式になっていて、このようにボードを下段にセットすることもできる。

 C3エアクロスは、その商品性から見ても、これまでフランス車にはとくに興味がなかった層を多く取り込める新世代のフランス車と言えるだろう。

 しかし長年フランス車に乗り続けた筆者に言わせれば、熱狂的なマニアにこそ味わっていただきたい一台なのである。

C3エアクロスSUV SHINEパッケージ
全長×全幅×全高:4160×1765×1630mm
ホイールベース:2605mm
車両重量:1310kg
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
総排気量:1199cc
ボア×ストローク:75.0×90.5mm
圧縮比:10.5
最高出力:81kW(110ps)/5500rpm
最大トルク:205Nm/1750rpm
トランスミッション:6速AT
燃料タンク容量:45L
WLTCモード燃費:14.7km/L
駆動方式:FF
乗車定員:5名
ハンドル位置:右
サスペンション形式(前/後):マクファーソンストラット/トーションビーム
タイヤサイズ:215/50R17
車両価格:297万円

【初試乗】DS 3 CROSSBACK(DS3クロスバック)は何もかも本気すぎて面食らった

DS 7 クロスバックに続いて完全DS専用モデルとして開発された、言わば新生DSの第2弾「DS 3 クロスバック」がついに日本の道を走り始めた。なんと言っても魅力はアヴァンギャルドでエレガントなデザイン。街を走れば、凝視されたり、二度見されたり、とにかくその注目度はランボルギーニかブガッティかと言いたくなるほど。ただしこのクルマ、実際に乗ってみると、あまりにも本気すぎて、真面目すぎて、骨太すぎて面食らってしまうのだった。

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