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正月の風物詩「デトロイト・モーターショー(NAIAS)」はなぜ2020年から6月開催になったのか? 東京モーターショーのような復活劇はあるのか?

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モーターショーからモーターフェスティバルへ

 そのひとつが「かつては情報の入手しづらかった」ことだ。かつて自動車メディアもモーターショーに行かなければ写真はもちろん諸元が記載された資料を手に入れることすらできなかった。筆者もプレスカンファレンス後に配られる重く大きなプレスキットを手に入れるために大きなバックを抱えて回ったものだ。それは一般の来場者も同じで、つまり、現地に行く人しか“情報”をすぐに入手することはできなかった。

 しかし、現在はプレスキットや現地撮影の写真はもちろん、各メーカーでプレスカンファレンスのLIVE放送まで行なっているので、一次情報だけなら無理して現地に行く必要はなく誰でも簡単に入手可能だ。ただ、筆者は今でも現地に行かなければ手に入れられないコトやモノはまだあると考えている。

かつてはその強大な力を誇示していたビッグスリーの展示スペースも年々縮小の一途を辿っていった。

 もうひとつは出展メーカーのモーターショーの「選択と集中」だろう。これまではほとんどのメーカーは、皆勤賞の如くどのモーターショーにも出展していたが、最近はモーターショーを絞るケースが増えている。

 また、出展したとしても世界初公開モデルはゼロでプレスカンファレンスも行なわない(=メーカー首脳陣が来ない)状況も……。モーターショーに出ない理由は各メーカー様々だが、その多くは「費用対効果が得られない」が多いと聞く。

 あるメーカー関係者は「海外モーターショーの出展料は年々増加傾向で、中堅メーカーでも最低5〜10億円と言われています。しかし投資に対する効果があまり出ていないのも事実であり、PRの場を絞っているのも事実です」と語っている。

 その一方で、「CES(アメリカ)」、「グッドウッド」、「ペブルビーチ・コンクールデレガンス」といったモーターショー以外のイベントや独自イベントを行なうメーカーも増え始めている。つまり、不特定多数ではなくターゲットカスタマーに向けてピンポイントでPRの方が効果はある……という判断であり、まさに“モーターショー”の在り自体を問われているのだ。

欧州メジャーメーカーもデトロイトは外せないモーターショーだった。世界最大の市場であり、アメリカの自動車産業の中心地がデトロイトだったのだから。

 そんなモーターショーの改革を真っ先に実践したのが東京モーターショーだ。各メーカーの車両展示に加えて他の産業も巻き込んだ様々なコンテンツを用意。その結果、前回の77万人を大きく超える130万人を呼ぶことに成功。「モーターショーはオワコン」と言われる中、従来の枠にとらわれない新しい挑戦が一つの結果として表れたと言えるだろう。

 デトロイトショーの開催月変更の理由は、東京と同じようにモーターショーの今後を危惧した上での改革だ。では、なぜ6月に変更なのか? それはアメリカのモーターショーのスケジュールがヒントとなる。1月のCES(ラスベガス)、2月のシカゴショー、4月のニューヨークショー(トレンド要素の高いモデルが中心)、11月のLAショーと年初に集中する一方で、NYショーからLAショーまでは半年以上も期間が空いている。

 デトロイトショーを1月から6月に移動させると、年初のモーターショーのバッティングを防ぐことが可能となる。さらにアメリカではその年の第3四半期(9月くらい)から次のイヤーモデルの販売がスタートするが、その直前にニューモデルを公開したほうがニュース性も高まる上に、来場者も期待できる。

 また、北米では日本以上にワンクリックで翌日にモノが自宅に届く「ネット購買」が増えている。もちろん、クルマもそれに近い買い方が可能になりつつあるが、それでも「購入前に現物を見ておきたい」という意見も多いそうだ。そういう人たちにとっては、ディーラー以外で各メーカーのクルマをしがらみなくチェックできるモーターショーが見直されているそうだ。それならば、何もマイナス10度以下の極寒の時期にやる必要はない……ということだろう。

 ちなみに6月のデトロイトは外で過ごすには絶好の季節だ。となると、これまでの屋内展示に加えて屋外展示や自動運転、オン/オフロード試乗などの体験も可能となる。また、様々なイベント(例えばクラシックカー展示やフェスなど)と組み合わせることも計画中だとも聞いている。さらにデトロイトショー直前には5/30-31に「インディカーシリーズ」の第6/7戦がデトロイトで開催されるが、そことのコラボレーションも期待されているようだ。つまり、デトロイトショーはこれまでの「モーターショー」の枠を超える「モーターフェスティバル」へと生まれ変わる。

 果たして東京モーターショー以上に大胆な変更は功を奏するのか? その答えを確かめるために、筆者は6月にデトロイトに向かうことを決めた。

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