Volvo S60試乗記 ボルボはセダンがかっこいい!と思わせる造形美 ライバルのCクラス、3シリーズ、A4はうかうかできない! ボルボS60の見逃せない実力
- 2020/01/31
- GENROQ編集部

ボルボのミドルサイズセダンS60が3代目へと生まれ変わった。日本ではステーションワゴンのイメージが強いボルボだが、S60はそんな固定概念を覆しそうなセンスと走りの資質を有している。
REPORT◉吉田拓生(YOSHIDA Takuo)
PHOTO◉神村 聖(KAMIMURA Satoshi)
※本記事は『GENROQ』2020年1月号の記事を再編集・再構成したものです。
ボルボといえば、何といってもステーションワゴンである。少し古めのボルボをアシにしたいなぁ、なんて思って中古車情報をチェックするときでも、出回っているのはほとんどワゴンである。ワゴンとセダンの比率は8対2くらいだろうか。
その理由は、古くからボルボのワゴンはスタイリングと実用性等々が他ブランドのそれより優れていたからに他ならない。さらにその長所のおかげで他社とのシェア争いに食い込むことができたのである。だが世紀が変わる頃から「ボルボ・イコール・ステーションワゴン」といった流れが変わりはじめている。ボルボが変わったというより、他がこぞってクロスオーバーSUVに手を出してきたという感じだろうか。
現代をときめくクロスオーバーSUVは2つの流れから出て来ている。ひとつはクロカン4駆であり、もうひとつはステーションワゴン。セダンから派生したワゴンを少しリフトアップするとクロスオーバーが完成するという図式である。
一方、今回の新型S60から、ボルボ・セダンの流れも変わりそうな匂いがプンプンとしている。何しろ新世代ボルボは調子がいいし、その流れの中で生まれた新型S60はとびきりスタイリッシュだからだ。
新型S60の前半半分は先にデビューしているV60と同じと言っていい。そもそも、新セダン・ボルボの顔は「北欧のワゴン」という牧歌的な響きとは無縁で、精悍で攻撃的なものだった。ビシビシッとプレスラインが走る精悍なマスクは、S60のためにデザインされていたのでは? というくらいにマッチしている。

S60のリヤボディは横から見るとマセラティのような色気があり、真後ろから見ると、他の何物にも似ない個性がある。リヤドア付近で膨らみはじめ、キックアップした鋭いラインがテールエンドで複雑に交じり合い、フロントマスクと符合する。
リヤのボリューム感がFRを想起させるのだが、エンジン横置きのSPAプラットフォームのお約束で駆動方式はFFか4駆となる。今回導入されるモデルはFFのT4モメンタムとT5インスクリプションのみ。試乗できたT5は2.0ℓ直4ターボと8速ATを備える後者の方。ちなみにPHVと4駆のT6ツインエンジン等も後から追加されるという。
V60を試乗した時にはワゴンらしからぬスポーティーなフィーリングに驚かされたが、今回のS60ではそれ以上に感じられた。S60がライバルと想定しているのはすべてのドイツ産Dセグセダンということになるず。それらライバルに対してどんな仕上がりになっているのか? という点が最も重要といえる。
ドイツ車とS60を乗り比べてわかるのは、クルマ全体に宿る軽快さだと思う。これはもう、クルマの知識が何もない人でもわかるはずだ。新世代ボルボはすっきりとした造形、明るめの室内の雰囲気にマッチした軽快感のあるドライブフィールを特徴としている。一方「軽いクルマ」というと、パッシセーフティに不安を覚えるものだが、そこはもう言わずもがなのボルボなのである。
セーフティという大命題を担保したうえで、新型S60は走りに応えてくれる。インスタならば#一人乗り、#ターンバイクと言ったハッシュタグが付くであろう今回の試乗においてS60はドライビングに集中できる、箱根ターンバイクをおかわりしたくなるスポーツセダンだった。



こんなボルボは過去にはなかった。235幅の19インチタイヤを違和感なく履きこなし、シュンシュンッとターボ・パンチを炸裂させる。試乗車にはFOUR-Cアクティブパフォーマンスシャシーと呼ばれるオプション設定の可変ダンパーが装備されていたのだが、アシも一切の無駄な動きが感じられなかった。
一方、普段使いで考えた場合にも、ドライバーからの視界は低められた印象のボディとは裏腹に良好で、立体的なシートの座り心地もいい。後席も足元にちゃんと余裕があり、ヘッドクリアランスも窮屈な感じがしない。トランクは開口部の形状こそ大きいとはいえないが奥行き、深さともにあって実用的。セダンの必要要件をちゃんと満たしたうえで、新世代ボルボらしさを入れ込むことに成功しているのである。
そろそろ「ドイツのセダンは重くない?」という奥様がいても不思議ではない時代だ。ここで言う「重い」とは物理的ではなく「存在が重い」みたいなニュアンスである。それでも実用性、安全性、プレミアム感等々を犠牲にしたくないとなれば、じゃあボルボ? じゃあ新型S60? となるような気がする。新しい風は長年ボルボに情熱を燃やしてきたマニアではなく、新たな方角から吹いてくる? そんな気がしてならない。

SPECIFICATIONS ボルボS60 T5インスクリプション
■ボディサイズ:全長4760×全幅1850×全高1435㎜
ホイールベース:2870㎜
■車両重量:1660㎏
■エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1968㏄
最高出力:187kW(254㎰)/5500rpm
最大トルク:350Nm(35.7㎏m)/1500~4800rpm
■トランスミッション:8速AT
■駆動方式:FWD
■サスペンション形式:Ⓕダブルウイッシュボーン Ⓡインテグラル
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ235/45R18
■車両本体価格:614万円
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