【一番乗り!】新型smart EQ海外試乗会レポート「ダイムラーの作る最後のスマート?」スマートEQフォーツー&フォーフォー|コンパクトEVインプレッション
- 2020/02/01
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MotorFan編集部
ダイムラーの電動化プロダクトを示すサブブランド「EQ」を高々と掲げ、BEV専用モデルとして登場した新型smart (スマート)EQ。その初乗りの機会となる国際試乗会がスペインはバレンシアで開催された。スマートは、今後は中国のジーリー(吉利汽車/Geely)とのアライアンスによって設立された新会社で開発や生産がなされることになる。つまり今回のスマートEQが、ダイムラー主導で生み出される最後のモデルになる可能性が高いのだ。
REPORT:渡辺敏史(WATANABE Toshifumi)
新型スマートは電気自動車専用モデル
2009年まで遡るスマートとBEVの歴史は、すなわちダイムラーのBEVの歴史と同義でもある。当時出資していたテスラから調達したバッテリーパックを搭載したフォーツー・エレクトリックドライブは、同社初の量産EVとして欧州域の大規模実証実験に導入され、12年からは本格的な市販へと移行した。
並行してダイムラーが手掛けていたカーシェアリングサービス「car2go」のコアモデルとしても活躍、性能の熟成とともに、今や世界の自動車業界を席巻するキーワード「CASE」の発信元でもあるダイムラーのポートフォリオにも影響を与え続けてきた。そして今年、スマートはダイムラーの電動化プロダクトを示すサブブランドであるEQの旗印のもと、全モデルをBEVとする方針を打ち出している。
加えて今後、スマートはダイムラーとジーリーとのアライアンスから生まれたスマート・オートモービル社から新たなコンセプトのもと、22年を目標に新型のBEVを投入される予定だ。
この会社ではダイムラー側は主に企画や開発のアドバイス的な役割を果たし、ジーリーが実質の開発や生産を担うことになるという。モデルは当然中国の事情を鑑みたものとなるわけで、今回、話を聞いたダイムラー側の担当者は、恐らくフォーツーのようなマイクロコミューターのコンセプトを継続するのは難しいのではないかという見解を示している。
ということは、さもすればダイムラーの意向が強く反映される最後のモデルともなるかもしれない、新型スマートEQはフォーツーとフォーフォーの2バリエーションで構成される。改められたデザインは前後の灯火類が特徴的で、ヘッドライト側は3連のLEDタイプを選ぶことが可能。そしてこれまでと印象を大きく変えたアンダーグリルは形状を違えており、フォーフォーは裾広がりとなっている。
内装は8インチのインフォテインメントシステムを標準として、Apple CarPlayやAndroid Autoといったスマートフォンとの連携をデフォルトとするほか、日本仕様においては独自のナビゲーションソフトウェアを用意し、最寄り充電ステーションなどへの誘導も可能となる予定だ。
また、本国仕様においてはコネクティビティも充実しており「スマートEQコントロールアプリ」を介して充電状態や可能走行距離などの車両情報を手持ちのスマートファンやApple Watchでも確認できるほか、充電中であれば空調の遠隔操作なども出来るようになっている。
さらに「Ready to」アプリを使えば充電ステーションへの誘導や予約、盗難時の探知や位置情報の通報のほか、所有するスマートをシェアリングするためのオペレーションを行うことも可能だという。
だが、残念ながらこれらの機能を日本仕様に反映するのは難しいと見られている。
スマートEQのリチウムイオンバッテリーは先出のメルセデスベンツEQCと同じく、ダイムラー傘下の独アキュモーティブ社が手掛けるものだ。3モジュール96セルからなるその容量は17.6kWh。後軸側に配されるモーターの最大トルクは160Nm、瞬間最高出力は60kW、連続最高出力は41kWとなっている。これはフォーツー、フォーフォーともに同じスペックだ。動力性能は0-60km/hが4.8〜5.2秒とBEVとしては標準的。それでも内燃機関車になぞらえれば充分にホットな瞬発力だ。
スマートEQの航続距離はNEDCモード計測値でフォーツーが147〜159km、フォーフォーが140~153kmとなる。WLTCモードであれば平均して一割近く減ることになるから、さらにエアコンなどを躊躇なく使って普通に乗れば、100km+αというのが実走行のイメージだろうか。
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