プジョー508SW 「一見クールで、その実ホット。そして、とことん乗員にやさしい」| プジョー508SW GT BlueHDi
- 2020/05/21
-
世良耕太
装備表の「脚周り」の項には「アクティブサスペンション」と記してあるが、完全油圧制御でフラットライドを目指すシステムではなく、電子制御でダンパーの減衰力を可変制御するシステムである。詳細は不明だが、センサーの情報から「これから車体が動く」と検出し、先回りして減衰力を可変する(オイルの流路を広げたり、狭くしたりする)仕組みだろう。センターコンソール前方にある「ドライブモード」のスイッチを「エコ」または「コンフォート」に切り換えると、アクティブサスペンション(その実、電子制御減衰力可変ダンパー)はソフトに切り替わり、「Sport」に切り換えると、スポーツに切り替わる。
アクセルレスポンスやトランスミッション、それにパワーステアリングが「スポーツ制御」に切り替わる「Sport」は実にワインディングロード向きで、「さっきまで大人しかったのに、こんなワイルドな一面も持ち合わせているのか」と、新たな魅力を発見してお得な気分になる。変速時はシフトショックを明確に感じるが、変速時間を短縮する意図での採用ではなく、スポーティな味つけを体感させるための「演出?」と疑いたくなる(確かに、気分は盛り上がる)。
後席に乗った際に「ものすごく静か」であることは触れたが、前席でも同様だ。低速走行時も、高速走行時も、印象は変わらない。風切り音やロードノイズの遮断も行き届いている。そもそも、2.0ℓ直4ディーゼルエンジンの回転数が2000rpmを超えるシーンはほとんどない。低回転域から力があるので、上の回転まで引っ張る意味はあまりない(ただし、引っ張れば猛然とダッシュする)。だが、エンジンを掛けたまま外に出てみると、508は遮音が徹底していることに気づく。なかなか騒々しい。
都内の一般道を平均車速20km/hで53km走ったときの燃費は、トリップメーター上で12.1km/ℓだった。軽くはない(車重1700kg)ので「こんなもの?」と思ったが、高速走行時の燃費を確かめたくなり、『Motor Fan illustrated』の『博士のエンジン手帖』で定点観測する区間を走った。小田原厚木道路の小田原西IC〜厚木IC間である(ターンパイク箱根出入り口交差点で燃費計をリセット)。約32kmのこの区間(制限速度70km/h)を、左側車線を基本に走るのがいつものパターンだ。
プジョー508 SWの小田厚燃費は19.6km/ℓだった。過去に『手帖』で取り上げたディーゼル車の記録をいくつか引っ張り出してみると、次のようになる。
M・ベンツ220d AVANTGARDE Sports(2.0ℓ直4、1800kg) 20.0km/ℓ
マツダ・CX-8(2.2ℓ直4、1830kg) 19.5km/ℓ
アルファロメオ・ステルヴィオQ4(2.2ℓ直4、1820kg) 19.0km/ℓ
三菱エクリプスクロスG Plus Package(2.2ℓ直4、1680kg) 20.0km/ℓ
プジョー308 Allure BlueHDi(1.5ℓ直4、1330kg) 27.7km/ℓ
308の好燃費ぶりが印象に残っていたので「こんなもの?」という印象を抱くに至ったのだが、508の車格を考えれば妥当であることがわかる。508は8速AT(アイシン・エィ・ダブリュ製)を搭載しているが、小田厚で左側車線を走っている状況ではほぼ6速で、エンジン回転数は1500rpm以下だった。厚木ICで東名高速・上り(制限速度100km/h)に入り、中央車線を基本に前に詰まったら追い越し車線に出る走り方に転じると、ATは7速〜8速がメインになる。
それでも、ほとんどの状況でエンジン回転数は1500rpm以下だった。東京料金所でメーターを確認したら、平均燃費は19.6 km/ℓで変わりはなかった。ペースを上げても燃費が悪くならないのはありがたい。静かで、安定しており、移動は快適である。FOCALのオーディオは耳あたりが良く、控え目なボリュームでも音楽がしっかり楽しめる。ボリュームを上げると迫力と臨場感が増すのみで、わずらわしくならないのがいい。
顔にも尻にも特徴的な爪痕を残すプジョー508 SW GT BlueHDiは、一見クールで、その実ホット。そして、とことん乗員にやさしい。
プジョー508SW GT BlueHDi
全長×全幅×全高:4790mm×1860mm×1420mm
ホイールベース:2800mm
車重:1670kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rマルチリンク式
エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
エンジン型式:BLUE HDi
排気量:1997cc
ボア×ストローク:85.0mm×88.0mm
圧縮比:16.7
最高出力:177ps(130kW)/3750rpm
最大トルク:400Nm/2000rpm
過給機:ターボチャージャー
使用燃料:軽油
燃料タンク容量:55ℓ
WLTCモード燃費:16.9km/ℓ
市街地モード 12.9km/ℓ
郊外モード 16.4km/ℓ
高速道路モード 20.1km/ℓ
車両価格○526万6000円
プジョー508SW ディーゼル搭載のフレンチDセグ・ワゴンの実力をマツダのMAZDA6ワゴンと比べてみる | プジョー508SW GT BlueHDi
プジョーのフラッグシップ、508のワゴンボディ、SWに試乗する機会を得た。エンジンは2.0ℓ直ディーゼルターボである。フレンチ...
- 前へ
- 2/2
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費...
- 2021/03/26
- インプレッション
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形...
- 2021/04/03
- インプレッション
日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に...
- 2021/02/20
- インプレッション
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこ...
- 2019/08/11
- インプレッション
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4と...
- 2021/06/28
- インプレッション
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ
フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報
マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事
マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー
ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー
林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー
マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー
Motor-Fanオリジナル自動車カタログ
自動車カタログTOPへMotor-Fan厳選中古車物件情報
プジョー 508
SW GT ブルーHDi 純正ナビ ドライブレコーダー PEUGEOTミラースクリーン(Appl...
中古価格 449.1万円
プジョー 508
GT PEUGEOTミラースクリーン(AppleCarPlay/AndroidAuto) アクテ...
中古価格 372.1万円
プジョー 508
GTライン Premium Leather Edition 認定中古車 ETC バックモニター ...
中古価格 342.9万円
プジョー 508
GT 禁煙車/ACC/衝突軽減B/AppleCarplay/AndroidAuto/革S/ナビT...
中古価格 317.2万円
プジョー 508
SW GTハイブリッド Bカメラ ACC シートヒーター 衝突軽減B LEDヘッドライト Pシー...
中古価格 378万円
プジョー 508
GT ブルーHDi プレミアムレザーエディション ナッパレーザーシート パワーシート シートヒー...
中古価格 329.8万円