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NEVクレジット売買で儲けたテスラ:テスラ初の4四半期連続黒字の裏側

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テスラの上海工場でも生産が始まったModel3

テスラが創業以来、初めて4四半期連続の黒字となった。注目すべきは莫大な「クレジット売却益」である。クレジットを他の自動車メーカーに売る、というのは、どういうことなのか?
TEXT◎牧野茂雄(MAKINO Shigeo)

創業以来、初めの4四半期連続の黒字の裏側

7月22日にウェブ上で発表されたBEV(バッテリー電気自動車)メーカー・テスラの2020年第2四半期(4〜6月)決算は、最終利益が1億400万ドル(約110億円)となり、創業以来、初めてテスラは4四半期連続の黒字を達成した。アメリカで「投資に適格な企業」として認められる条件は、4四半期連続で、つまり1年12カ月を通して黒字を続けることであり、テスラはこの基準を満たしたのだ。

しかし、これ以上に注目すべきは、第2四半期だけでテスラが中国で4億2800万ドル(1ドル=107円換算で約458億円)のクレジット売却益を計上していることだ。クルマを買ってくれたお客さんからではなく、ほかの自動車メーカーがテスラにお金を払ってくれる。この件について解説する。

中国政府はNEV(New Energy Vehicle=新エネルギー車)規制を実施している。BEV(バッテリー電気自動車)、PHEV(プラグイン・ハイブリッド車)、FCEV(燃料電池電気自動車)、の3カテゴリーがNEVに該当し、これらを1台生産するごとに政府からクレジット(買い物ポイントのようなもの)が与えられる。BEVを1台生産すると最大で6ポイントのクレジットを獲得できる。

中国・北京の街を走るテスラModel S。このナンバープレートはNEV用のもの。
一方、中国政府は年間3万台以上の自動車を製造または輸入する企業にNEV生産(輸入)台数目標を課している。これは全社一律であり、2019年は前年の全生産台数の10%、2020年は同12%、2021年は同14%、2022年は同16%、2023年は同18%だ。2024年以降はまだ決まっていない。2019年に50万台を生産した自動車メーカーは、今年2020年は6万台のNEVを生産しなければならない。これがNEV生産ノルマである。

2019年のテスラは、中国法人である特斯拉(上海)有限公司によるNEV生産台数は927台で、5,562クレジットを獲得している。NEV販売で得たクレジットは公表されていない。

中国政府が定めたBEV1台当たりの最高クレジットは6。テスラは全数が6クレジットを獲得した。これは「車両重量2000kg以下で航続距離400km以上のBEV」としてのベースクレジット5に「電費が16.59kWh/100km以下の場合の効率係数」である1.2を掛けた数字だ。この効率係数はボーナス係数とも呼ばれ、電費の悪いBEVでは0.5、一般的な電費の場合は1.0、優秀な電費の場合は1.2になる。

テスラはNEV専門メーカーなので政府ノルマの対象外であり、獲得したクレジットはすべて他社に売却できる。しかも全車が効率係数1.2のプレミアムクレジットだ。効率係数0.5のBEVを生産しても他社へのクレジット売買はできないが、テスラは全クレジットを売却できる。ことし第1四半期は3億3800万ドル、第2四半期は4億2800万ドル、合計で7億6600万ドルをクレジット販売で稼いでいる。邦貨換算で合計約820億円だ。

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