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予算300万で中古車を買う:知られざる超プレミアム、トヨタ・オリジンなら「イイ大人」になれるかもしれない?

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「300万円の予算で中古車を選んでください」。年末恒例の「欲しいクルマ企画」、motor-fan.jpの編集部リレーコラムでお届けします。

幸か不幸か何十年も自動車雑誌の編集者という仕事を続けてきたため、かなりの数と種類の自動車--それこそ大型バスやトラック、スーパーカーから大型バイクやスノーモビル、電動セニアカーやロボティック一輪車にいたるまで--を運転させていただき、船のように巨大な鉱石運搬トラックや戦車など、とんでもない自動車にも乗せていただいたため、それで「お腹いっぱい」になってしまい、自分自身のクルマ選びとなると、かなり無頓着である。
自分のクルマとなると「壊れずに動けば何でもいいや」という道具感覚と合理化精神の方が強くなってしまうようで、告白すれば、現在の愛車は軽ワンボックスだ(とは言え、縦置きミッドシップのターボ4WDでキャンピングカー仕様だが…)。

しかし、リタイアの文字が目の前にぶら下がり、世間一般には「おじいちゃん」と呼ばれても仕方ないトシになってくると、「これから」の生き方が俄然、リアルに迫ってくる。そんなことを意識して、自分のキャラクターと生き方を勘案しつつ、あらためてクルマを選んでみるのも悪くないだろう。

無論、年齢や性別などで乗るクルマを規定するなどナンセンスなのだが、やはり世の中、TPOというものがあるらしい。どんなに功績を上げていても、まだまだ仕事が出来ようとも、いかに功徳を積んでいようとも、ある一定の年齢を超えた時には自動的に若い世代から「老害」認定されてしまうご時世だ。

かくして行き当たったのが、「出過ぎず、埋もれず」というキーワード。とは言え、これは決して「中庸」とか「平凡」といった意味ではない。具体的なキャラクターとして、ふと思い浮かんだのは、惜しくも亡くなられた女優の樹木希林さんだ。樹木さんと言えば、トヨタ・オリジンを愛用されていたことで、一部には有名だった。そうだ、トヨタ・オリジンなんかどうだろう…?

オリジンのモチーフとなった初代クラウン。まさに「ザ・日本車」である。
初代クラウンをリスペクトしてオリジンも観音開き。これだけでシビレる。

トヨタ・オリジンは2000年に発売された「完全限定車」だった。とりあえず「1000台限定」である。一般に「小さな高級車」を標榜して1998年に登場したプログレをベースに、初代クラウンをイメージしたパイクカー的な言われ方をするが、ただそれだけのクルマではない。
もともとのプログレ自体、当時のトヨタの技術開発責任者である和田明広副社長がこだわりつづけた「クルマ創り」の集大成であり、おそらく当時のトヨタの「プレミアム」の粋であった。
後に和田さんから伺ったが、プログレは決して不人気でも売れなかったわけでもなく、2001年に発売した姉妹車のブレビスと食い合ったのが直接の敗因である、と。これ以上、ブレビスの話を書くと一冊出来てしまうので、今回は(?)ここまででやめておこう。

さて、オリジンはプログレと同様に、今なおトヨタの最上級リムジンとして君臨するセンチュリーの生産ラインを担当する、マイスター・レベルの熟練工が製造を担当し、ほぼハンドメイドで造られているという恐ろしく贅沢なクルマなのだ。プログレやブレビスは「小さなセルシオ」などと呼ばれたが、実はオリジンは「小さなセンチュリー」なのである。

「1000台限定」という希少性と、当時のセルシオ(UCF20後期C仕様Fパッケージ)より高かった車両本体価格700万円というお値段から考えれば、中古車もプレミアがついてさぞや…と思いつつ調べてみると…。2020年12月28日現在、14台がみつかったが、なんとまぁ、お値段は意外とお手頃。そのうち「300万円以下」の本稿のルールに従うと5台もある。

トヨタ オリジン ベースグレード 【279.8万円】

年式 2001(平成13)年
排気量 3000cc
走行 7.5万km
車検 2022(令和4)年4月
修復歴 なし
車体色 ライトグレイッシュブルーマイカメタリックモリブデン

ハンドメイドならではの丸みがたまりませんね。

オリジンにはベースグレードしかないので、グレード選びに悩む必要はない。また、スタイリングもスタイリングなので、誰もシャコタンにしようとかイカツいエアロをつけようとか、あるいはビビッドな原色やド派手なメタリックや怪しいパールカラーで塗ってやろうなどと思いもよらないから、クラウン系やセドリック/グロリア系、あるいはセルシオやシーマあたりと違い、世間様を憚るような奇妙な改造車が中古車市場に出回ってはいない。基本的にはいずれもノーマルのままワンオーナーで大事に乗られてきた個体ばかりだ。

これなら「おじいちゃん」が運転していても、「出過ぎ」でもなく、かと言って「埋もれる」わけでもない。センチュリーを専属運転手ではなく自分で運転するというのはちょっとヘンだが、オリジンだと運転手が運転しても良し、自分で運転しても良し、だろう。

ルール違反かもしれないが、もう一台、同系統の気になるクルマがある。それはやはりトヨタが1996年にたったの100台(!)、限定受注生産したトヨタクラシックだ。

なんと100台(!)の限定受注生産だったトヨタクラシック。
トヨタクラシックのモチーフになったのは初代クラウンよりもさらに古い、トヨダAA型。

トヨタクラシックはトヨタの市販車生産60周年記念車で、なんと5代目ハイラックス(80/90/100/110系)をベースにしているが、ほとんど面影が残っていないというシロモノ。

トヨタの特装車を担当していたトヨタテクノクラフトが製造を担当し、これまた熟練工によるハンドメイドで造られたクルマである。当時の販売価格は実に800万円(!)。そのほとんどが長崎県のテーマパーク、ハウステンボスが送迎用に購入したと言われている。
これも気になって調べてみたら…。

トヨタ トヨタクラシック 【288万円】

年式 1997(平成9)年
排気量 2000cc
走行 3.7万km
車検 2022(令和4)年3月
修復歴 なし
車体色 ブラックⅡ

こちらも2020年12月28日現在、驚くことに5台もみつかった。そのうち300万円以下のルールに当てはまったのは3台。こちらも今が狙い目なのかも? まぁ、オリジンよりクラシカルなスタイリングなので、自分で運転する場合には、乗り手を選ぶかな? と思う。

でも、今の自分の経済状態で実際に買えるとしたら、中古のクライスラー・PTクルーザーなんだろうねぇ…。

これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。

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