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航空自衛隊:ナマの戦闘機を見学できる「浜松広報館 エアーパーク」、リニューアルされた展示機や設備が楽しい

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展示資料館の現在のF-2モックアップ(実物大模型)展示。従来は1992年当時のFS-X(XF-2)を再現した塗装だったが、2021年3月のリニューアル時にそれまでの白と赤を基調とした試験機塗装から、この現用機と同じ洋上迷彩塗装に塗り替えられた。

陸海空の自衛隊は各々で広報施設を持っている。航空自衛隊「浜松広報館 エアーパーク」もその広報施設のひとつだ。退役した機体や現用機の一部がほぼそのまま展示されていて、接近して見ることができる。資料や物品の展示、動画映像の上映などもあって、見どころは多い。

TEXT & PHOTO◎貝方士英樹(KAIHOSHI Hideki)

浜松広報館エアーパークの外観。向かって左が全天周シアターと展示資料館、右が展示格納庫。展示格納庫の前には初代ブルーインパルスの機体が置かれている。

航空自衛隊の広報施設「浜松広報館 エアーパーク」は浜松基地(静岡県浜松市)の敷地内にある。基地の入り口とは別なので基本的に誰もが入場可能だ。オープンしたのは平成11年(1999年)4月。もう22年も経っており「自衛隊観光情報」としては今さらな感もあるが、この春にリニューアルされている。展示する機体の一部を替えたのだ。

エアーパークはF-2戦闘機の展示があることで有名だった。もっともこれは実機ではなく、モックアップ(実物大模型)を塗装したものだ。このモックアップは次期支援戦闘機「FS-X」開発当時の機体を再現していた。

これは技術研究本部(現在の防衛装備庁)が平成4年(1992年)6月に報道公開した当時の仕様で、のちに「XF-2」試験機としての実機が三菱重工により造り上げられ、平成7年(1995年)10月、初飛行した。モックアップは白を基調に赤いラインが施された試験機カラーである。精悍なフォルムのF-2がさらに際立つ塗装の試験機展示には航空機ファンからの共感と支持を集めていたように思う。

リニューアル以前、白を基調として赤ラインが鮮烈な試験機塗装だった頃のFS-X(XF-2)モックアップ。

この「FS-X (XF-2)」モックアップが今年3月のリニューアルで現用機と同じ洋上迷彩塗装に変更された。濃淡の青で塗られた現用機カラーだ。しかしこの塗装変更にはファンの間で賛否両論があった。施設側としては、リニューアルするのだから目新しさを求めるし(さほど目新しいわけでもないが)、現用機と同様の塗装でアピールし国民への理解促進を図りたい、塗装変更はそんな広報PRによる理由だろうと思われる。

リニューアルされた現在の展示格納庫内部。展示機数が少なくなった印象だ。

試験機時代の姿より、現役戦闘機としての姿を見せ、世間の認知をより求め広めたい。それはわかる。しかしプロトタイプに特別なものを感じるファン層の気持ちもわかる。筆者もそうだが航空機ファンとはそういう生き物だ。難しい判断だと思う。

しかし結局予定どおり青色の現用カラーで塗装され、「XF-2」モックアップは今も展示されている。ちなみにこの機体の周囲には実物大の空対空・空対艦ミサイルなどの実物大模型が展示されている。これも見どころだ。F-2はこれほど多くのものを搭載することができるということを実感できる展示手法だからだ。

2021年春のリニューアル、展示機の入れ替えや設備の更新が実施され、新たに展示されたブルーインパルス仕様のT-4。

今回のリニューアルでは他にも展示機の入れ替えや設備の更新が行なわれた。新たな展示機として加わったのは「ブルーインパルス仕様T-4」、そして先ごろ全機が退役した「F-4EJ改(ファントムⅡ)」だ。この2機は最近まで現役だった機体で、インパルスとして曲技飛行のフライトを行ない、空自戦闘機として防空任務に就いていた機体である。排気口の焼け具合や清掃されているとはいえ滲むオイルの痕跡などを見つけると感慨も倍加するはずだ。

同じく新展示機のF-4EJ改。「440」の機体番号から「シシマル」との愛称で呼ばれたあの機体だ。

エアーパークは大きく3つの要素で構成されている。展示資料館と全天周シアター、展示格納庫だ。展示資料館は空自のヒストリーや各種の資料が豊富に展示されている。全天周シアターはいわゆる映像劇場で、観客の頭上全周に映像が映し出され、パイロットの感覚を体験できる。展示格納庫は過去に空自が運用した各種航空機の実機が置かれ、間近に見ることができる。全体を順路に沿って見学することで、空自の仕事を把握し、最後に生の航空機に触れるという寸法だ。

展示変更で惜しくも姿を消した機体も多い。その一例のDH115バンパイア。大戦末期の戦闘機を、国産練習機開発用の参考器材として1956年に購入されたもの。

浜松基地の敷地内にあるという利点を生かし、基地と連動したイベントも過去には行なわれたそうだ。浜松基地所属部隊の航空機をエアーパークのエプロン地区で展示したり、エンジン試運転のイベントが行なわれたことがあるという。

イベントごとを運営しにくいコロナ禍であるから、この先同じような催事が可能か否かは不明だ。施設の開閉館やその時間帯などの営業状況も、感染拡大の変動により左右されることも私たちは承知している。施設利用情報などはホームページで事前確認しておきたい。館内混雑状況の告知情報などは認められないが、感染数の変動や様子を見ながらうまく利用したいと思う。

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