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フィオラーノで走りを確かめると…… これは楽しい! まるでレーシングカーのようなフェラーリ488ピスタに試乗(前編)

  • 2018/07/08
  • GENROQ編集部 永田 元輔
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488GTBをベースに、エンジン、エアロダイナミクス、軽量化などあらゆる箇所に手が加えられた488ピスタ。フェラーリのモータースポーツのノウハウを注ぎ込んだ、究極のV8ミッドシップといえる存在だ。フィオラーノ・サーキットと一般道でその実力を試した。

 今までもフェラーリはV8ミッドシップモデルにモータースポーツのテクノロジーを大幅に取り入れたスペチアーレモデルを発表してきた。2003年の360チャレンジストラダーレ、2007年の430スクーデリア、そして2013年の458スペチアーレ。488ピスタは、そんな流れのもと、生まれたモデルだ。そして過去のスペチアーレモデルがいずれもモデルライフの最後を飾る存在であったことを考えると、488もまもなくモデルチェンジを迎えるということになるはずだ。

 488ピスタにはワンメイクスレースの488チャレンジ、そしてFIA世界耐久選手権のGTEカテゴリーに参戦する488GTEのテクノロジーがふんだんに盛り込まれている。エンジンは基本的には488シリーズと同様の3.9ℓV8ツインターボだが、 新設計のインテーク、リフト量を1mm増やしたIN/EXカム、43%の軽量化を実現したチタン製コンロッド、488チャレンジ用に開発したターボチャージャー・スピードセンサー、強化ピストン、インコネル製のタコ足、クランクシャフト、フライホイール、そしてシリンダーライナーも新設計で軽量化を図るなど、488GTB用に対して実に50%が新設計されている。720psというパワーは488GTBより50psも大きい。そしてトルクも10Nm大きい770Nmをマークしている。

 さらに大きいのはエアロダイナミクスの進化だ。フロントバンパー下部から取り入れたエアをボンネットから排出するフェラーリ特許のSダクトをはじめ、独自の形状となるフロント&リヤバンパー、大型化されたリヤスポイラー、もちろんアンダーボディ形状も見直され、ダウンフォース量は488GTB比で20%も向上している。

 軽量化にも注力されている。フロントフードや前後バンパー、リヤスポイラー、インテーク・プレナム、シートをカーボン製とするなど、様々な軽量化対策を施した結果、車両重量は488GTBより90kgも軽い1385kg、パワーウエイトレシオは実に1.78kg/ps(488GTBは2.13kg/ps)という驚異的な数字を実現している。

3902ccのV8ツインターボは720ps/8000rpm、770Nm/3000rpmを発揮する。
 他にも488チャレンジ譲りのレーシングブレーキ、フロントの冷却レイアウトの改善、サイドスリップを予測してブレーキに介入、直感的な操作を可能とするFDE(フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー)の採用など、フェラーリ最新鋭のテクノロジーも導入されている。このスペチアーレモデルに対するフェラーリのこだわりは、もはや執念と呼ぶべきだろう。

 まずはフェラーリ本社の敷地内にあるフィオラーノ・サーキットにコースイン。1コーナー手前でブレーキを踏み、シフトダウンをしてステアリングを右に切った瞬間、488GTとは明らかに異なる軽快さに驚いた。まるでクルマのサイズが小さくなったかのような感覚だ。ステアリングは決して過敏ではない。だが切った量に合わせて、まるで身体の一部であるかのようにクルマが向きを変える。

 立ち上がりでアクセルを踏むとタコメーターは一気に8000rpmまで一気に到達する。すかさずパドルを引いてアクセルを踏みつけると、その直後にもうステアリングのインジケーターが点灯している。もはや息つく暇もない。そしてアクセルの僅かな動きに対するエンジンの反応も素晴らしい。これほど繊細なレスポンスを示すターボエンジンは、他にないのではないか。

 ストレートでは路面にピッタリと張り付くような感覚で、高速コーナーでもクルマは驚くほど安定している。この高速スタビリティの高さ、そして絶対的に強力なブレーキにより、488ピスタは安心してサーキットを楽しめるクルマとなっている。

 マネッティーノをRACEモードに切り替えると、エンジンの反応はさらにダイナミックになる。E-Diff、F1-Trac、そしてフェラーリ・ダイナミック・エンハンサーなどのビークル・ダイナミクス・システムはバージョン6となったSSC6が統合制御する。だが何かが介入するような違和感はない。ヘアピンでステアリングを切り込み、アクセルを開けていくとクルマの挙動が手に取るようにわかり、狙ったラインをたやすく乗せられる。これはこのSSC6の恩恵だろう。タイトなコーナーでも実にコントローラブルだし、トラクションのかかり方も完璧だ。

 アマチュアのドライバーでも臆することはない。488ピスタの高性能は誰にでも開かれている。フィオラーノの次は、ストリートで488ピスタを味わって見ることにしよう。

フェラーリ488ピスタ
■ ボディサイズ:全長4605×全幅1975×全高1206mm ホイールベース:2650mm ■車両重量:1385kg ■エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ 総排気量:3902cc 最高出力:530kW(720ps)/8000rpm 最大トルク:770Nm(78.5kgm)/3000rpm ■トランスミッション:7速DCT ■駆動方式:RWD ■サスペンション形式:Fダブルウイッシュボーン Rマルチリンク ■ブレーキ:F&Rベンチレーテッドディスク(カーボンコンポジット) ■タイヤサイズ(リム幅):F245/35ZR20(9J) R305/30ZR20(11J) ■パフォーマンス 最高速度:340km/h 0-100km/h加速:2.85秒 0-200km/h加速:7.6秒■環境性能(EU複合モード):燃料消費率11.5L/100km CO2排出量263g/km ■価格:3940万円

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