Cadillac CT6試乗記 from editor's room 「民主主義の高級車」キャデラックCT6は最もリーズナブルなハイエンドサルーン
- 2018/10/07
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MotorFan編集部 小泉 建治
日本上陸からすでに2年が経過したが、まったく新鮮さを失わないどころか、
デビューしたての如き鮮烈なイメージを放ち続けているキャデラックCT6。
いま、あらためてCT6に乗ることで、その魅力を再確認してみたい。
TEXT&PHOTO●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
自分にも似合うかも知れない……と思わせてくれる
のっけから結論めいていて恐縮だが、とにかくいろいろと驚かされたクルマだった。発売から2年も経っているとはいえ、実は筆者はCT6に乗るのは初めてだった。好意的な評判はあちこちから耳にしていたから今回の試乗をとても楽しみにしていたのだが、予算1000万円でサルーンを買うのなら、もはやCT6の一択しかない、と確信するまでに至ってしまったのだ。
まず見た目だが、全長5m越えの立派な体躯ながら、オッサン臭さとか、権威主義的な匂いがまったく感じられない。しっかり稼いで、オマエもいつかここまで来いよ、と言われているような気になってくる。
GMジャパンの若松社長が「階級社会の欧州ではなく、自由と平等のアメリカならではの、いわば『民主主義が生んだ高級車』がキャデラックなのです」と仰っていたが、まさに言い得て妙だなと思った。
個人的な話になってしまうが、メルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズなどには、経済的な壁だけでなく、どこかしら精神的な壁というものを感じている。「仮に買えても、どうしたって自分には似合わない。自分ごときが買うべきではない」と。しかしこれだけのフルサイズ高級サルーンでありながら、CT6には「仮にお金持ちになったらこいつに乗ればいい。けっこう似合うかも、俺」なんて勘違いも甚だしい想像を膨らませてしまうのである。
妄言はこれくらいにして、もう少し冷静に車両を観察していこう。
まずディメンションだが、全長は5190mmとかなり長いが、全幅は1885mmと、今どきのハイエンドサルーンとしてはほどほどに抑えられている。かつて筆者が乗っていた(もちろん中古で購入)フルサイズ2ドアクーペのエルドラド(1995年式)は全長が5110mmで全幅が1920mmだったから、ほとんど変わっていない。つまり肥大化が著しい欧州車と違って、キャデラックは適正なサイズを守り続けているのである。
そして「全長はそれほど長くないのに全幅はビックリするほど広い」ことが当たり前の欧州勢と比べると、わりと縦長なプロポーションであるとも言える。これが高級車らしい伸びやかなフォルムであると日本人である筆者に感じさせているのかもしれない。トヨタ・クラウンも全長4910mmに対して全幅1800mmと縦長プロポーションを守り通している。
全長と全幅の比率に関して欧州と日米で考え方の違いがあるのは、それぞれの交通事情に大きな理由があるのだが、冗長になるのでここでは割愛させていただく。
縦長のテールランプはキャデラックの伝統だ。1990年代に日本でも人気を博したフルサイズ2ドアクーペ、エルドラドの美しいリヤビューは今でもハッキリと脳裏に浮かぶ。
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