意外にまじまじ見ることのない車検証、保険加入や納車時以外で見たことありますか? 不携帯の場合は、50万以下の罰金!? じつはクルマのこと、よく知らなかったりする ~車検証~
- 2019/01/04
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MotorFan編集部 生江 凪子
クルマ関係の仕事に従事しているといって、全員が全員、エンジンの型式を空で言えたり、整備士級の知識を持って改造ができるわけではないのですよ……。わからないこともたくさんあったりするのです。いや、コレ、本当に。
そんなわけで新年早々、実家のクルマの車検証を引っぱり出してみた。日々是勉強、ということで。
TEXT:生江凪子(Naco NAMAE)
そもそも車検証ってナニ?
自動車検査証【じどうしゃけんさしょう】自動車の所有者・使用者や、自動車保安基準に適合していることを証明する公文書。通称、車検証。納車のときに見せられるか、保険加入時に写しを提出するものの、それ以外であまり世話になることはない。なんなら、クルマのなかで常日頃見ることもないもの堂々第1位になるであろう紙切れ。たいていは窮屈な車検証ケースに入っており、その材質によっては印字がケースのビニール面に移っていることもしばしば。だが、クルマの重要な身分証明証なため、大切に車内にて保管しなければいけない。
普段、あまり気にすることのない車検証。ちょっと取扱説明書に用があり、クルマから車検証ケース(結構高級感があってカッコよい)を引っぱり出した際に、フト思った。車検証をきちんと読解したことないかも……。
いや、そりゃね、ある程度はわかりますよ? 一応、クルマ業界の端っこにぶら下がってはおりますから。でも考えてみたら、きちんと向き合ったことはお恥ずかしながらなく、いままで所有したクルマは数台ありますが、すべての車検証をきちんと見ることなく、サヨウナラしているんですよ。
ということで、実家に帰ったついでに、車検証をまじまじと見てみることにした。
そもそも車検証は、自動車検査に適合していることを証明してくれる公文書。道路運送車両法で
(自動車検査とは)
自動車が安全・環境基準に適合しているかどうかを、国が 一定期間ごとにチェックするもの。この検査を受けて有効な自動車検査証の交付を受けていなければ運行することが出来ない。
(自動車検査証の備付け等)
第六十六条 自動車は、自動車検査証を備え付け、かつ、国土交通省令で定めるところにより検査標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない。
と制定されている。要は、車検証や検査商標がないと運転しちゃダメよってこと。ここで意外に知られていない重要なことは、第八章の罰則。
第百九条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
八 第六十六条第一項(第七十一条の二第四項において読み替えて適用する場合を含む。)の規定に違反して、自動車検査証若しくは限定自動車検査証を備え付けず、又は検査標章を表示しないで自動車を運行の用に供した者
とある。不携帯の場合は、50万以下の罰金が課せられますよ、というもの。もちろん、コピーなどの積載は認められません。車内以外で保管しようと思ったことがないので、少々、目から鱗。
とまぁ、これだけ大切なものなのよ、ということがおわかりいただけたかと思うので、大原則の硬いハナシはこれくらいにして……本題です。今回は、サンプルとして筆者の自宅車両(平成27年販売・マツダ CX-5 SKYACTIV-D 2.2)車検証を使用。
クルマの身分証・車検証の見方
まず ① の番号横、Aという文字に注目してほしい。車検証にはふたつの分類があり、Aタイプ自動車検査証/Bタイプ自動車検査証の二種類がある。これは、所有者の欄(今回のサンプルの場合、④⑤)があるかどうかで識別ができる。自己所有であれば、「A」となり、所有者・使用者(同一の場合は所有者欄のみ)名が記載される。個人所有でない場合には「B」となり、備考欄に所有者情報が記載される。Bタイプの場合は、手続きを行なう際に所有者の確認を取る必要がある。ちなみに、Aタイプでも、所有者と使用者が異なる場合には、各種手続きをする際に両者の書類が必要となることがあるため、注意が必要。ちなみに、アルファベット横の番号は交付番号。
その横、② は交付日が記される。③ は交付を受けた運輸支局長名が入る。筆者車両は長野は茅野で使用しているため、長野運輸支局長と記載されている。
さて、では表内赤丸数字へと説明を移そう。
1) 自動車登録番号又は車両番号(ナンバープレートの番号)
2)登録年月日/交付年月日(新規登録や名義変更をした日付)
3)初度登録年月(当該車両を日本国内で初めて登録した日付。これは変わることはない)
4)自動車の種別(小型と普通の2種類がある)
5)用途|事業用の別(乗用と貨物の2種類がある。重量税の決定はこの種類により決まります)
6)車体の形状(箱型・バンなどの種類が記載される。筆者車両はステーションワゴン、という形状になる。SUVではないのね……)
7)車名(製造メーカー名。車種名ではない)
8)乗員定数(当該車両に乗れる最大の人数の表示。記載人数以上は乗ることができない)
9)最大積載量(貨物車の場合に表記される。よって筆者車両には未記載。貨物車の場合は車両後部に最大積載量表示ステッカーが貼付されるので、車検証と異なっていないかを確認しよう)
10)車両重量(当該車両の重さ。車検時の重量税を割り出すときに確認される)
11)車両総重量(乗用車の場合:車両重量+乗車定員数×55kg/商用車の場合:車両重量+最大積載量+乗車定員数×55kgで計算される。日本では乗員ひとりあたりの重量が55kgと定められているが、これは国によって違うという)
12)車台番号(すべての車両に割り当てられる固有番号。アルファベットと数字の組み合わせで構成される。生産時にボディフレームやエンジンルーム内に打刻されたものと同番号が記載されている。車検証のなかで、もっとも重要な番号)
13)長さ(当該車両の全長)
14)幅(当該車両の全幅。ミラー部は含まない)
15)高さ(当該車両全高)
この後の軸重はタイヤの本数によって見方が変わるので、まとめて説明をしよう。乗用車の場合は(通常タイヤは4本)「前輪2本で1軸」「後輪2本で1軸」となり、それぞれ前は「前前軸」、後ろが「後後軸」となる。その軸にかかる重さが「軸重」となるのだが、トラックなどの貨物車の場合、タイヤが6本、8本というものが珍しくないのはご存知のとおり。その場合、それぞれ前から数えて1番目が「前前軸」、2番目が「前後軸」。後ろから数えて1番目が「後後軸」、2番目が「後前軸」となり、その軸にかかる重さが「軸重」として記載されるのだ。それを理解した上でサンプルの筆者車両車検証を見てみると……
16)前前軸重(前輪の軸重が1000kgだということがわかる)
17)前後軸重(乗用車のため、未記載)
18)後前軸重(同じく未記載)
19)後後軸重(後輪の軸重が640kgということがわかる)
では、さらに続けていこう。
20)型式(車種・エンジン・駆動方式ごとに割り当てられる記号。車両を特定するこちらも重要な記号。LDA-KE2AWという型式でSKYACTIV-D 2.2を搭載していることがわかる。これは違う車種であっても同じエンジンを積んでいる場合は記載内容が同一となる)
21)原動機の型式(どんなエンジンを積んでいるかの記載。SHという記載で、ディーゼルエンジンだということがわかる)
22)総排気量又は定格出力(車両排気量。ガソリン・ディーゼル・ハイブリッド車の場合は、総排気量がℓで記載され、電気自動車の場合は定格出力がKw記載される)
23)燃料の種類(当該車両の使用燃料が、ガソリン・軽油・水素・LPガスそして電気のどちらかであるかの記載がされる)
24)型式指定番号(自動車製造者=メーカーなどが新しい自動車を生産または販売開始前に国土交通省に申請または届出を行ない認可時に付与される番号。この番号から製造メーカー、車種、グレードがわかる。試してみると、あっさりわかった)
25)類別区分番号(メーカーオプションなどの装備内容により決められた番号が記載される)
④ 所有者の氏名又は名称
⑤ 所有者の住所
⑥ 使用者の氏名又は名称(通常は「✳︎✳︎✳︎」と記載されているが、使用者と所有者が別の場合に記載される)
⑦ 使用者の住所(⑥と同じく)
⑧ 使用の本拠の位置(こちらも通常は⑥と同じで「✳︎✳︎✳︎」と記載されているが、所有者又は使用者の住所と自動車を使用する場所が違う場合に、使用する住所が記載される)
⑨ 有効期間の満了する日(車検の有効期間が満了する日が記載されている。満了日の1ヵ月より車検を受けることができる)
そして、下の備考欄には手続きの種別(新規登録・継続検査・移転登録など)や走行距離計表示値などが記載される。
また、欄外にはQRコードが。これは2004年の車両検査証改定に基づき、つけられるようになったもので、「自動車登録番号」「登録年月日」「車体の形状」などを始めとした車検証記載の内容がデータとなっている。現在は普通乗用車で8つ、軽自動車には3つのQRコードが記載されているのだ。もちろんこのQRコードは、自分のスマートフォンで読み取って確認することも可能。
どうでしたか。車検証……紙切れ一枚とはいえ大層重要なものだということがおわかりいただけましたでしょうか。
さて、この車検証ですが、国土交通省が2018年に行なった有識者会議で、2022年度を目処として紙を廃止し、ICチップ入りのカードなどに置き換えて電子化するという基本方針を示したことをご存知でしたか。これにより、各種手続きがインターネット上で即日更新可能となり利便性が増すと期待されているのです。が、そもそも携帯するものではないので、なくしそうで怖いと不安感を覚えるのは、古い人間だからでしょうか。
紙じゃないの、なんとなく寂しい……。
※法律条項などは総務省が運営するサイト:e-Gov(http://www.e-gov.go.jp)を参照した。
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