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カローラがエンスー的とは、こりゃ驚いた! 〈試乗記:新型カローラ&カローラ ツーリング〉マニアも唸る! 意外なほどのエンスーさにトヨタの変貌を見た

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エンスーとはエンスージアストの略で、つまりは熱狂的カーマニアのこと。かつては80点主義とも揶揄され、万人受けの優等生的なクルマとして知られていた「カローラ」の名とは結びつかない言葉だが、新型カローラの走りには思わずマニアも唸ってしまうような地道な煮詰めの跡が随所に見て取れる。ひとあしお先にデビューしていたカローラ スポーツ(ハッチバック))に加え、今回カローラ(セダン)とカローラ ツーリング(ステーションワゴン)が登場したことで、「本気の」カローラのフルラインナップが完成した。

REPORT●佐野弘宗(SANO Hiromune)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)/井上 誠(INOUE Makoto)/中野幸次(NAKANO Koji)

カローラ (セダン)

カローラ ツーリング(ステーションワゴン)

ボディ形式によって補強を変える“ボディコントロール”の妙技

 昨年に先行発売されていたスポーツ(=ハッチバック)に、今回セダンとツーリングが追加デビューして、新型カローラシリーズはこれでひとまず完成だそうである。新型カローラは北米、中国、欧州でのローンチもすでに終えており、この秋には南米生産も立ち上がった。そしてこうして日本でも発売となって、まずはひと段落らしい。

 グローバルでのカローラはハッチバックのみがホイールベース2640mmで、セダンとツーリングのそれは2700mm……とパッケージ(とおそらく走り味)も明確なキャラクター分けがなされている。一方、5ナンバーだったアクシオ/フィールダーの後継機種となる日本のカローラセダンとツーリングは、ご承知のようにグローバルとはサイズの異なる日本専用ボディとなる。

 具体的には日本仕様のみが全ボディ形式でホイールベースを2640mmに統一されて、セダンとツーリングはリヤオーバーハングも削られて全長をさらに短縮。また、セダンとツーリングは全幅もグローバルモデル比で35〜45mmナロー化された1745mmとなっているが、それはフェンダーやドア、サイドパネル、さらにセダンではトランクリッドも専用化して実現したもの。フロントまわりで日本専用なのはバンパーだけで、ヘッドライトやグリル、ボンネットフードなどの基本意匠や幅は海外と変わりない。もちろん、室内空間も後席レッグルームと荷室以外はグローバルで共通である。

 コクピットからの眺めは当然ながら、すでに発売済みのスポーツと基本的に同じ。セダン/ツーリングの発売に合わせてスポーツにも一部改良の手が入って、7インチのディスプレイオーディオ(DA)が新型カローラ全車に標準となった。

 このDAは日本の四輪・二輪メーカーを中心とした国際的なメーカー連合が、アンドロイドオートやアップルカープレイに対抗できるスマートフォン連携システムとして普及を目指している国際標準規格「スマートデバイスリンク」に準拠するものだ。先ごろ発表された「LINEカーナビ」のアプリケーションをダウンロードしたスマホを接続すれば、そのままナビが使える。もちろん現時点では従来型メモリーナビをDA上で使えるユニットもオプションで用意されるのは当然として、アンドロイドオートやアップルカープレイまでがオプションでないとカローラのDAでは使えないという。この方面でもトヨタの覇権ねらいは本気らしい。

 今回の試乗会では全ボディ共通で用意される1.8リッターハイブリッドと、セダン/ツーリング専用の1.8リッターガソリンのみの試乗となったが、べったりと路面にへばりつく低重心かつフラットな身のこなしは、既存のハッチバックも含めて全車に共通している。ただ、各ボディのハードウェアの特性や、それぞれが想定する顧客層の違いもあってか、そのセッティングや味わいは、結果的な部分でも、また意図的な部分でも少しずつ微妙に差がある。

 たとえば日本仕様のカローラでは唯一、グローバルと同じワイドボディとなるスポーツは、明らかに最も安定して落ち着きがある。開発陣は「実際にもスポーツが最もスポーティな仕立てです」といい、なるほどセダンやツーリングより上屋の動きも抑えが効いているが、踏ん張りが効くディメンションもあってか、他のカローラより明確に硬いわけではない。

 これと比較すると、セダンのフットワークは柔らかく、ある意味でシニア層を意識した味わいともいえる。加えてボディ形式のおかげか、静粛性はロードノイズもパワートレインノイズも明らかに静かである。

 日本のカローラで最量販ボディになるはずのツーリングはセダンよりハッキリと引き締まって、パリッと軽快なフットワークである。代わりに、あくまで3種のカローラのなかでは、ロードノイズや乗り心地面で他の2種に譲ってしまっているのは否定できない。

 ただ、新型カローラではボディ形式やグレードに応じて、ボディ補強ブレースを変えて味つけを整える“ボディコントロール”という芸の細かい新しい手法も取り入れているという。

 今回は全車に用意される1.8Lハイブリッドとセダン/ツーリング専用となる1.8Lガソリン+CVTの2機種のパワートレーンを試すことができたが、今回のような市街地や都市高速で、ハイブリッドはいい意味で重厚。さらにアクセル操作によるリニアリティもより煮詰められたようで、右足のわずかな力加減による荷重移動もより正確になり、あらゆる場面でブレーキペダルに足が伸びる頻度が減ったのは素晴らしい。対する1.8Lガソリン(コンベンショナル)は軽快。絶対的な動力性能やキビキビ感は意外なほどハイブリッドに近かった。

 ……といったボディやパワートレーンごとの細かい差異はあるものの、今回のカローラが、プリウス、C-HR、そして昨年のカローラスポーツといった歴代のGA-Cプラットフォーム車と較べても、最も良く走り、最もスポーティで、最も正確で直進性が高かったのは事実である。

 聞けば、今回のセダン/ツーリングの開発からシャシーに新しい知見を導入して「走行中の乗員頭部の動き抑制、接地感と荷重移動のフィードバック増強」のために、既存のスポーツを含めてサスペンションのセッティングを見直したという。とはいっても単純に硬くする、柔らかくする……ではなく、路面入力が人間に伝わるタイミングを微調整することで、クルマよりも人間が動かないフラットライドや接地感を追求したという。

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