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【東京モーターショー2017 プレスカンファレンス2日目全記事 サプライヤー・新技術編】

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第45回東京モーターショー2017会場から、2日目のプレスカンファレンスの模様をを速報でお伝えします!
テクノロジー、サプライヤーのプレゼンテーションが中心になっています。
(プレス発表終了後、随時記事をアップしていきます)

《プレスカンファレンス スケジュール》 10月26日(木)プレスデー

【08:30】日産
【08:30】カーメイト ドラレコ+アクションカムd’Action360開発秘話 [2017年11月5日更新]
【08:45】KDDI
【08:45】パイオニア 実証実験を進める3D-LiDARの試作機を披露 [2017年11月5日更新]
【09:00】環境省
【09:00】カルソニックカンセイ
【09:15】国土交通省
【09:15】豊田自動織機
【09:15】澤藤電機 「空飛ぶクルマ」と「H2ハーモニー」 [2017年11月7日更新]
【09:30】ブリヂストン
【09:45】住友ゴム
【09:45】日本発条(ニッパツ) 自動車用「バネ」の深淵![2017年10月27日更新]
【10:00】横浜ゴム
【10:00】ヨロズ サスSPECIALISTの匠を堪能![2017年10月27日更新]
【10:15】日本グッドイヤー
【10:15】ジェイテクト、高熱対応のリチウムイオンキャパシタを開発[2017年10月27日更新]
【10:30】オムロン
【10:30】NTN 未来型電動モジュール提案![2017年10月27日更新]
【10:45】矢崎総業
【10:45】アイシングループ 6社の総力結集![2017年10月27日更新]
【11:00】デンソー
【11:00】ボッシュ
【11:15】日立オートモーティブ
【11:15】マーレ
【11:30】三菱電機
【11:30】コンチネンタル
【11:45】トヨタ紡織は「VODY」と「MOOX」、2種類の車内空間コンセプトを公開[2017年10月30日更新]
【11:45】シュフラー
【12:00】豊田合成は次世代コックピット&フロントモジュール、歩行者や乗員の衝撃を吸収する「フレスビー2」を公開 [2017年10月31日更新]
【12:00】ジヤトコ 次世代変速機とは?[2017年10月27日更新]
【12:15】タチエスは自動運転レベル3-4を想定したシート「コンセプトX-3」を公開 [2017年10月31日更新]
【12:15】イケヤフォーミュラ
【12:30】高山自動車
【12:45】テイ・エス テック(TSテック)の「エクサライドシート」は運転しながらインナーマッスルが鍛えられる!? [2017年10月31日更新]
【12:45】愛知総合工科高等学校

【速報!! 東京モーターショー2017 プレスカンファレンス全記事】一日目はこちら

ニッパツ(日本発条) 自動車用「バネ」の深淵!

ニッパツ代表取締役社長・茅本隆司氏

自動車用懸架ばね、シート、内装、エンジン用部品、駆動用伝達部品の製造販売を事業の主体とするニッパツ。東京モーターショーへの出典にあたっては、ブースに向かって左側にいまのクルマに使われる部品、右側にこれからのクルマに役立つ製品として展示物を紹介している。

”いまのクルマ”展示ゾーンには、コイルばね/板ばね/スタビライザがいかにクルマの中で働いているのかを知ることができる作動モデル、ばねの開発力を応用した薄型サスペンションシート、各種の精密ばねなどを紹介。このほかにもニッパツが誇る世界トップシェアのHDD用サスペンション、吸音用ウレタンシート、金属ベースのプリント配線板など、多岐にわたる製品を並べている。

スタビライザの忠実〜中空厚肉〜中空薄肉の比較モデルでは、いかに軽量化が果たされてきたかを実物カットモデルで比べることができる。
”これからのクルマ”ゾーンには樹脂製の板ばねやFSD中空スタビライザを展示している。

フィラーにガラス繊維やカーボン繊維を用いた樹脂ばねは、金属製の同種に比べて著しい軽量化を果たせるのが何よりのメリット。ばね定数のコントロールも厚みを自在に変えることで成立するため、製品にしやすい。バインダにはエポキシ樹脂を用いている。

課題のひとつが耐破壊性。割れてしまうことをいかに防ぐか、研究開発が重ねられている。もちろん繊維には長いものを用いているし、剛性を高くとりたいなら積層時の繊維方向にも工夫を凝らしている。

また、リサイクル性も無視できない課題のひとつである。説明してくれたエンジニア氏によれば、樹脂ばねの盛り上がりは30年ほど前にもあったという。そのときにリサイクルの観点から収束してしまったそれが再び脚光を浴びたのは、軽量化による低燃費性能向上のため。とはいえ、シボレーやボルボではすでに市販車に樹脂ばねを投入済みだ。今後も採用は増えていくことと思われる。

FSD中空スタビライザも、軽量化を図った開発品。FSDとはFully Stressed Designのこと。”いまのクルマ”ゾーンで確認できるように、スタビライザの曲げ応力は屈曲点に集中しがち。そこでストレスのかかりにくい直線部と、高い剛性を保ちたい屈曲部の肉厚を変化させることで、軽さを追い求めた。

→【東京モーターショー速報】ニッパツ 自動車用「バネ」の深淵!

ヨロズ サスSPECIALISTの匠を堪能!

ヨロズ代表取締役社長・志藤 健氏

サスペンションを主体とする自動車部品メーカー・ヨロズ。開発から生産まで一貫したトータルプロダクションシステムが特長である。東京モーターショーの出典ブースには、最新の市販車に採用されたサスペンション用部品を数多く持ち込んでいる。

サスペンションと周辺部品を一体システムとして、サスペンションシステムメーカーへの成長を目指すヨロズ。開発から生産まで手がけるヨロズ生産方式:YPWの具体化第一弾として、無人化ラインを実現したヨロズオートモーティブアラバマの取り組みをプレスカンファレンスで披露した。YPWの推進により、どこの拠点においても同じ生産方式、同じ生産管理、同じ品質実現を狙う。

さまざまな新型車採用品がブースに並べられている。トピックは下のふたつ、新型リーフと新型N-BOXのリヤサスペンション:トーションビームである。

新型リーフのトーションビーム

リーフのトーションビームには”カール工法”と称する生産方式を採用。写真でご覧いただけるように、丸形のスイングアーム部は板材を丸めた構造。訊けば、鋼管を用いるよりもコスト低減が図れるという。新型リーフのサスペンションシステムは基本的に先代の流用と聞いているが、先代も同様の生産方式だったのかと問うたものの、わからないとの答えだった。機会を見つけ確かめてみたい。

新型N-BOXのトーションビーム

N-BOXのトーションビームの特長はテイラードブランク工法。厚みの異なる板材をレーザー溶接で連続接合し、そのあとプレスして部材に成形する。剛性の必要なアーム部としなりが必要なビーム部の厚さを異ならせることで、軽量化を果たす。この場合の板厚はアーム部が2.6mm、ビーム部が2.3mm。フランジまで続く溶接痕が接合部だ。

→【東京モーターショー速報】ヨロズ サスSPECIALISTの匠を堪能!

ジェイテクト、高熱対応のリチウムイオンキャパシタを開発

ジェイテクト取締役社長・安形哲夫氏

電動パワーステアリングのナンバーワンサプライヤ・ジェイテクト。ベアリングの光洋精工と工作機械の豊田工機が2006年に合併し誕生した会社である。「思い通りって楽しい」をコンセプトに東京モーターショーに出典、主力製品であるEPSに加え将来技術の提案もブース内で紹介している。

レクサスLC500の二枚おろしに仰天するジェイテクトブース。同社の製品がクルマの中でどのように用いられ、動作しているのかがよくわかるカットモデルだ。このほか、将来技術を各種装備した”Future Concept Vehicle”を展示。ステアバイワイヤやインホイールモータなど、自動運転時代を見据えたコンセプトとして、次世代のクルマのあり方を紹介している。

EPS用補助電源システムaaaa
プレスカンファレンスで安形氏が何気なく話した「ベンチマークになるくらいの高性能品ができた」というのが気になり、ブースの展示品をエンジニア氏にご紹介いただいた。

電動パワーステアリングの性能と車重は比例関係にある。軽自動車から小型車にはコラム型EPS、中型車となるとピニオンアシスト型EPS、デュアルピニオン型EPS、大型車や重量車となるとラックアシスト型EPSと、モーターアシストする部位がどんどん下流へ移動していく。さらに大型SUVやピックアップトラックとなると電動油圧式のパワーステアリングが用いられていた。

大きく重くなると、EPSが必要とする電流が増大する。レクサスLSが用いるラックアシストEPSでは瞬間的に数十アンペアもの大電流が要される。SUVやPUTにEPSを用いたいと考えれば、さらなる電力が必要。しかし、電気を使うのはパワーステアリングだけではない。クルマ全体が電気貧乏なのだ。

そこでジェイテクトは、充放電装置としてキャパシタに目をつけた。瞬間的な大電力の入り/出しに優れるキャパシタは、軽薄短小の性質が好まれる。しかし大きな課題がひとつ、耐熱性が要件に満たなかった。

一般的にクルマに求められる熱要件はマイナス40度から85度。しかしキャパシタは60度程度までしか性能を担保できなかった。数あるメーカーに高熱要件を満たしてくれる製品開発を頼んで回るが、いずれも不可。仕方なく、ジェイテクトは自分たちで作ることを決めた。

先の5月に開催された「人とくるまのテクノロジー展」のジェイテクトブースでは、スロットカーが走り回る様子が映し出されていた。コースの中央には沸騰するポットと、その中に収まるリチウムイオンキャパシタ。100度を超える中に浸かっているのに電気を供給しているその姿に目を剥く人多数、電池メーカーからライセンス生産させてほしいと依頼を受けるほどの高性能を確保している。

→【東京モーターショー速報】ジェイテクト、高熱対応のリチウムイオンキャパシタを開発

NTN 未来型電動モジュール提案!

NTN常務執行役員・亀高晃司氏

軸受、ドライブシャフト、精密機器商品の製造および販売を事業とするNTN。NTNといえばベアリングと等速ジョイント、というイメージどおり、各種の製品が展示されている。さらに将来を見据えた電動モジュール商品の数々も提案している。

2017年3月期に6833億円の売上高(連結)、そのうちの70%が自動車関連。そんなプレスカンファレンスに少々戸惑ったのは、NTNのこれからをしっかりと訴えるためだった。

「EVになるとエンジンがなくなるからベアリングが使われなくなる、変速機も減るからベアリングの数が減っていく」

そんなふうに思われていると、亀高氏は説明する。しかし調査会社の結果を続けて開示、2040年までの世界の車両生産台数が現在の2倍に達する見込みのうち、そのほとんどはエンジンを搭載する車両であることを説明、ベアリングの需要が先細りではないことを図示した。

さらに、それだけの台数が生産されるとするならドライブシャフト/プロペラシャフトはエンジン車だろうと電動車だろうと必要であることを説明、世界ナンバー2のシェアを誇るドライブシャフト部門も盤石であることをアピールした。

eHUB

さらに将来技術の提案も。eHUBと称する本品は、従動輪で駆動アシストと回生を可能とする製品。ハブベアリングとモータジェネレータを一体化し、従来のハブ部に収められるよう外径をブレーキロータの内径以下とした。48Vシステムと組み合わせることを想定し、発進時のアシスト、走行中の回生を担う。車両全体では25%の、モータ単体では10%の効率改善を図る。

インホイールモータシステム

さらに積極的な電動化デバイス。電動モータを減速機と組み合わせパッケージとして、ホイール内に収められるサイズにした。適用する車両のサスペンション形式を変えずにインストールできることを目標としている。

インホイールモータにすることで、(コア事業のドライブシャフトは売れなくなってしまうが)車両のパッケージングは劇的に変わる。また、前輪/後輪駆動ならふたつの、全輪駆動なら4つのモータそれぞれを独立制御することで、車両運動に飛躍的な改善を与えられる期待もある。旋回時の積極的なヨー運動の負荷、直進時の微調整などはもとより、極論すればその場で回転などという芸当も視野に入る。

→【東京モーターショー速報】NTN 未来型電動モジュール提案!

アイシングループ 6社の総力結集!

アイシン精機取締役社長・伊原保守氏

アイシン精機、アイシン高丘、アイシン化工、アイシン・エィ・ダブリュ、アイシン・エーアイ、アドヴィックスの各社は、アイシングループとして東京モーターショーに出典。クルマのほぼすべてを構成する部品を取り扱う総合自動車部品サプライヤーとして、各種の最新製品を展示した。

アイシングループは、パワートレイン/走行安全/車体部品/情報電子の4つを事業とし、一貫生産を特徴とする世界第6位のサプライヤーである。さらにパーソナルモビリティから住生活用品、エネルギー製品に至るまで、間口の広さをも併せ持つ。

1モータ式ハイブリッドトランスミッション

ゼロエミッション、自動運転技術、コネクテッドカーなど、カーシェアリングの普及など、自動車に求められる要件が急激に変化する昨今、アイシングループはグループの一体感を強め、変化に柔軟に対応している。今後は会社の壁にとらわれることなく、ゼロエミッション、自動運転、コネクテッド分野の3つに注力していく。

ゼロエミッションについては、グループで開発した新製品である1モータ式ハイブリッドトランスミッションを展示した。トヨタとの共同開発である2モータ式ハイブリッドトランスミッション(THS)は優雅でしなやかな性格であり、市街地における燃費の良さが特長。いっぽうで1モータ式ハイブリッドトランスミッションは、ダイレクト感と高速走行時の燃費の良さを追求、商用車やSUVなど、大トルク車との相性の良さを訴える。2018年度中の量産化を目指している。

自動運転で目指すのは、車両運動統合制御。サスペンション、ステアリング、ブレーキ、シャシー部品それぞれに長けているグループ各社の知見を集める。車両位置と走行状態を把握することで高度な制御を実現、心地よく安全で安心な走行環境を提供する。目指すひとつが自動バレー駐車機能。インフラストラクチャとの協調から、専用駐車場におけるサービス提供を目指す。実用化は2020年の目標。

コネクテッド分野ではおもてなしの提供と運転支援を開発中。乗員のセンシングと位置情報から、たとえば自動バレー駐車機能で車両搬送中にドライバーのシートポジションにあらかじめ合わせておく先読みシートアレンジ機能、走行中に旋回路にさしかかる前、あらかじめシート背面のサポート部をコントロールする先読みオートサイドサポートシート、ドアを開ける際に後方から走行車が近接しているときにロックとアラートを用いる見守り安心ドアシステムなど、多くのサービスを想定している。

→【東京モーターショー速報】アイシングループ 6社の総力結集!

ジヤトコ 次世代変速機とは?

ジヤトコ代表取締役社長・中塚晃章氏

「グローバルNo.1 のオートマチックトランスミッションメーカー」を目指すジヤトコ。中塚氏は東京モーターショーのテーマである“BEYOND THE MOTOR”について、同社にとっての“BEYOND THE MOTOR”とは何かを訴える。次世代の変速機は、次世代のクルマに何を与えていくべきなのだろうか。

2017年はジヤトコにとっていろいろ節目な年になったという。ステップATを生産し始めて50年、同じくCVTで20年、そして3月にはATとCVTの累計生産台数が1億台を超えた。そのうちの8割以上がCVT、3800万台を数える。押しも押されもせぬ世界ナンバーワンCVTメーカーとしてのこれからをどのように考えるか。

電動化に自動運転技術、コネクテッドが著しく進む昨今、トランスミッション専業メーカーとしてどこへ向かうかが課題のひとつ。それには3つの方向性が考えられると中塚氏は言う。

CVTの技術を磨く、EVに新しい価値を提供する、そして自動運転技術をサポートする、である。

CVTの技術を磨くにあたっては、今後も堅調なトランスミッション需要に対してしっかりとした価値を提供していくことを強調、具体的には小型で軽量な燃費向上を図れるフューチャーコンセプトを想定している。これらが実現した暁には、ステップATにも恩恵があると述べた。

EVへの新価値提供については、モータ+トランスミッションという現在のかたちに加えて、モータの使い方をより広範に高効率に高められる用い方を具体的に説明。変速機を備えることでローレンジとハイレンジの両立が可能になると説明した。

自動運転のサポートを考えると、CVTとEVとのマッチングは良好だと中塚氏は説明。なめらかさと違和感のなさを美点として訴えた。また、センシングによってどのような駆動が必要になるかを予測することで、自動運転時に乗員のさらなる快適さを提供できるという。

トルクの小ささをカバーするためにレシオカバレッジ(変速比幅)の拡大に努めてきたジヤトコのCVT。しかしトルクの大きなモータと組み合わせることでレシカバを追求しなくてよければ、サイズも、効率も、劇的に変えられる期待がある。ラバーバンドフィールなんて言葉にいつまでもとらわれる事なかれ。これからのCVTの進化に要着目である。

【東京モーターショー速報】ジヤトコ 次世代変速機とは?

トヨタ紡織は「VODY」と「MOOX」、2種類の車内空間コンセプトを公開

プレスブリーフィングで出品内容を説明するトヨタ紡織の石井克政社長

10月27日より11月5日まで東京ビッグサイトで開催されている「第45回東京モーターショー2017」で、トヨタ紡織は東6ホールにブースを構えている。その中で同社は、「VODY」と「MOOX」、2種類の車内空間コンセプトモックアップを公開。「QUALITY OF TIME AND SPACE」を出展コンセプトとし、モビリティ環境が大きく変革する中で同社が目指すモビリティの快適価値 「より豊かで上質な時空間」を提案している。

VODYのドライブモード。サイドサポートが大きく張り出し、背もたれも起きた状態

VOID(空間)とBODYを合わせた造語で、人と繋がることで完成する空間を意味する「VODY」は、人とクルマが繋がることで、人に寄り添い進化する移動空間。人の体型や気分に応じて、シート形状や空間がドライブモード、リラックスモード、瞑想モードに変化する。

トヨタ紡織・MOOX

MOBILEとBOXを合わせた造語で、移動時間を自在に活用できる個室を意味する「MOOX」は、完全自動運転を想定し、自由自在なシートレイアウトで移動や駐車時間を多様な用途に使える個室空間。カラーセラピーやアロマ、音楽や健康促進で心と体をメンテナンスしてくれる。
 さらに、トヨタ・ヴィッツGRMNに装着予定の「TBスポーツシート」と、同車による林道でのラリー走行をVR体験できるコーナーも設置。身体全体をバランス良く支えるホールド性とソフトな感触を両立したセミバケットシートの感触を確かめることができる。

→トヨタ紡織は「VODY」と「MOOX」、2種類の車内空間コンセプトを公開【東京モーターショー2017】

テイ・エステック(TSテック)の「エクサライドシート」は運転しながらインナーマッスルが鍛えられる!?

プレスブリーフィングで出品内容を説明するTSテックの井上満夫社長

10月27日より11月5日まで東京ビッグサイトで開催されている「第45回東京モーターショー2017」で、シートメーカーのテイ・エステック(TSテック)は東4ホールにブースを構えている。

その中で同社は、「Touch“座”Dream」をコンセプトに、運転しながらエクササイズできるシート「エクサライドシート」と、“まるで浮いている”ような着座感覚を目指した「やすらぎ空間シート」を参考出品している。

エクサライドシート

超高齢社会における健康寿命延伸を視野に開発したという「エクサライドシート」は、座ると背もたれの形状を自動調整するとともに、日常的に座ることで理想的な姿勢を取るよう促進。

さらに、骨盤を効果的に動かすエクササイズ機能を座面部に内蔵。身体の深部にあるインナーマッスル、主に腹横筋を刺激して体感運動を促す。

なお、アイドリングストップ時などの停車時には大きく動く「ツイストモード」、高速道路などの安定走行時は運転に支障がないよう小さく動く「スイングモード」で作動する。

同社によれば、これらの運動は運動強度レベル3に相当し、65kgの成人男性の場合は30分の運転で約100kcalを消費することを確認済み。井上社長はさらに「自動運転時代が到来した際には、車両側からの走行状況信号などを受け取ることで、さらに運動の機会を増やすことが可能になります」と述べている。

やすらぎ空間シート

「やすらぎ空間シート」は、走行中に受ける様々なストレスを取り除き、乗っている人に“究極のやすらぎ”を提供することを目指したシート。やすらぎを妨げる大きな要因を疲労と位置付け、「それを軽減する方法を肉体的観点から着目したのが無重力状態で、その脱力状態が疲労軽減に効果的であることを確認した」(井上社長)。

そこで、まるで浮いているような感覚を目指し、脱力状態が最大化する角度を設定。さらに、個人ごとの体格差を圧力センサーで微調整することで、重力化でありながら浮遊感を味わえる姿勢を確立した。

そのうえ、精神的な観点から、副交感神経に作用する光の強さや心地よい音を発生させる機構や、着衣のまま心拍を測定できるセンサーを内蔵。この心拍値を「やすらぎ度合い」の目安のひとつにしている。

→テイ・エステック(TSテック)の「エクサライドシート」は運転しながらインナーマッスルが鍛えられる!?【東京モーターショー2017】

タチエスは自動運転レベル3-4を想定したシート「コンセプトX-3」を公開

プレスブリーフィングで出品内容を説明するタチエスの島﨑満雄常務

10月27日より11月5日まで東京ビッグサイトで開催されている「第45回東京モーターショー2017」で、シートメーカーのタチエスは東5ホールにブースを構えている。

その中で同社は、前回東京モーターショーの出展テーマ「安心 そして ワクワク」をさらに昇華・発展させた内容として、自動運転レベル3-4を想定した「コンセプトX-3」や、繊維メーカー・セーレンとのコラボレーションモデル「DJ-アームレスト」などを出品している。

コンセプトX-3

「コンセプトX-3」は、自動運転レベル3-4を想定した自動車用シートの将来ビジョン提案。体に負担の少ない運転姿勢の実現、モードに応じた自動変化への対応、薄型座面を可能とする構造を形にしたという。

具体的には、シートレールに4本の脚を備え、運転姿勢とリラックスした姿勢を自在に切り替えられるようにしつつ、EVの航続距離向上に配慮して最小の体積・重量で“安心 そして ワクワク”が得られるシートとして設計している。

DJ-アームレスト

セーレンとのコラボモデルの中で特に注目を集めたのは、導電表皮技術を応用した「DJ-アームレスト」。アームレストの表皮にDJコントローラーを模した柄がプリントされており、アナログレコード盤の部分をスクラッチすれば、演奏中の曲が音程の上下を伴いスロー再生や早送り、またスクラッチ独特のサウンドを生み出すことができる。

そして、スイッチの部分を押せばプリセットされた効果音やジングルが流れるなど、本物のDJコントローラーさながらの機能が備えられている。

→【東京モーターショー2017】タチエスは自動運転レベル3-4を想定したシート「コンセプトX-3」を公開

豊田合成は次世代コックピット&フロントモジュール、歩行者や乗員の衝撃を吸収する「フレスビー2」を公開

プレスブリーフィングで出品内容を説明する豊田合成の宮﨑直樹社長

10月27日より11月5日まで東京ビッグサイトで開催されている「第45回東京モーターショー2017」で、豊田合成は東5ホールにブースを構えている。

その中で同社は、『~Technology for Goodness~「安全で環境にやさしく快適なクルマづくり」に貢献』をテーマに、2020年頃の自動運転・電動化時代への対応コンセプトモデルとして、「次世代コックピットモジュール」と「次世代フロントモジュール」を公開。さらに、2030年頃の超小型モビリティを想定したデザインコンセプトモデルとして、歩行者や乗員の衝撃を吸収する「フレスビー2」を出品している。

次世代コックピットモジュール

「次世代コックピットモジュール」は、自動運転時代にクルマに運転を任せてリラックスできる車内空間を創出するために、ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)として機能するインストルメントパネルやコンソールボックスを搭載。また、カメラやセンサーでドライバーの状態を検知する機能を持つ「次世代ステアリングホイール」も備えている。

次世代フロントモジュール

「次世代フロントモジュール」には、自動運転システムを支えるカメラやミリ波レーダなどを内蔵したグリルモジュール、運転状態をLEDで周囲に知らせる外装コミュニケーションランプのほか、クルマの軽量化やデザイン性向上に貢献する樹脂製ボディを採用した。

フレスビー2エクステリアコンセプトaaaa
前回の東京モーターショーに出品されたエアバッグカー「フレスビー」の進化形といえる「フレスビー2」は、エクステリアコンセプトとインテリアコンセプトに分けて出品。

エクステリアコンセプトには、「おもわず抱きつきたくなるクルマ」をテーマに、柔らかいボディを持つことで万一の歩行者との接触時に衝撃を緩和する安全機能や、LEDの光で周りのドライバーや歩行者などとコミュニケーションする機能を搭載。また、ゴムの専門メーカーであるアドバンスト・ソフトマテリアルズ社と開発した、電気の力で動く次世代ゴム「e-Rubber」を用い、クルマのボディを変形させる。

インテリアコンセプトは、乗員を包み込む柔らかな質感を持つ素材のほか、LEDによる癒しの空間の演出や、クルマと友達のように意思疎通ができるコミュニケーション機能を備えている。

そのほか、安全に貢献する製品として、乗員保護エアバッグや、歩行者保護をサポートするポップアップフードアクチュエーター、ミリ波レーダ対応エンブレムなどを搭載。環境に対応した製品として、金属からの樹脂化により大幅な軽量化を実現した樹脂フューエルフィラーパイプや、クルマの低消費電力化に貢献するヘッドランプ用LED光源などを搭載した「安全・環境ワイヤーフレームデモカー」も展示している。

→【東京モーターショー2017】豊田合成は次世代コックピット&フロントモジュール、歩行者や乗員の衝撃を吸収する「フレスビー2」を公開

カーメイト ドラレコ+アクションカムd’Action360開発秘話

d’Action360の開発秘話がメインテーマとなったプレスブリーフィーング。ディスプレイに表示されているのは、2013年のモーターショーで発表されながら発売直前で断念となってしまった、スマートフォン+ワイヤレスカメラによるドライブレコーダーシステムの概要。専用アプリケーションをインストールしたスマートフォンのカメラで前方を監視、後方監視はBluetooth接続のワイヤレスカメラが担うというものだった。

自動車用品の老舗として知られるカーメイトは、ドライブレコーダー+アクションカメラの機能を併せ持つ(これを同社ではドライブアクションレコーダーと呼ぶ)d’Action360(ダクション360)を展示の柱としたブースを展開。プレスデー2日目となる10月26日に開催された同社のプレスカンファレンスでは、このd’Action360の開発ストーリーがメインテーマとして語られた。
(TEXT:高橋一平)

2017年2月の発売以来、好評を博しているd’Action360(グッドデザイン賞、日刊自動車新聞による用品大賞を受賞)。ドライブレコーダー、駐車監視カメラ、アクションカメラという三つの動作モードを持つ同製品は、単なるドライブレコーダーというよりは、いわば車載環境でも安定動作が望めるアクションカメラ。車載環境にも耐えるというヘビーデューティ性により、ドライブレコーダー、アクションカメラ用途以外にも幅広い分野での応用が期待できる。

2017年2月の発売以来、好評を博している同製品は、超広角の魚眼レンズを用いることで全方位の画像記録を可能としたもの(視野角は垂直方向360度、水平方向194度)。魚眼レンズを用いた画像記録装置はアクションカメラ分野においてすでに存在しているが、これらは車両に搭載した際の条件(車載要件と言われる)には対応していない。主に問題となるのは炎天下の駐車状態において50度をはるかに超える温度で、高性能なアクションカメラ向けのCMOSイメージセンサーでこうした温度帯に対応できるものはこれまで存在していなかった。

そこで同社はセンサーメーカーと共同で、車載要件に対応できるCMOSイメージセンサーを開発、さらに高温動作時にはフレームレートを抑制するという制御を取り入れることでシステム負荷の軽減により自らの発熱量を抑えながら、炎天下の駐車環境下でも録画動作の継続を可能とすることに成功している。ちなみに、一般的なアクションカムを同様の環境下で使用すると、温度上昇に伴い録画が停止してしまうのだという。同社は安価に実現可能なドライブレコーダーの技術を目標に10年以上にわたって研究開発を続けてきたとのことで、プレスカンファレンスで語られたのは2008年には「Sシステム」(前方の車両と白線を認識する機能を持っていたという)という開発呼称を持つプロジェクトが存在していたものの、低コスト化が難しく頓挫してしまったこと(本体6万円、取り付け工賃にも6万円ほどかかってしまう計算だった)、この技術は2011年に発表、リリースされたスマートフォン用のアプリで実を結ぶものの、2013年のモーターショーで発表されたスマートフォンに後方監視用ワイヤレスカメラを組み合わせたシステムは、2015年の発売直前でBluetoothによる接続が不安定になるという問題の発生により断念したという、d’Action360に至るまでの蔵出し秘話とも言える内容。特に2015年の発売断念時は発売まで1カ月という時期で、ワイヤレスカメラのボディを製造するための金型まで用意済みだったとのことで、同社の製品クオリティに対するこだわりが窺えるという意味でも非常に興味深いものだった。

→【東京モーターショー】カーメイト ドラレコ+アクションカムd’Action360開発秘話

パイオニア 実証実験を進める3D-LiDARの試作機を披露

プレスブリーフィングにて、スクリーンに投影された3D-LiDARのロードマップを前にそのプロトタイプ実機(現段階ではモックアップと思われるが)を掲げるパイオニア取締役兼常務執行役員・大館 諭氏。手のひらに載る大きさに注目だ。

3D-LiDAR の研究開発を進めるパイオニアは、2020年をめどにその量産化を目指すという。オランダHERE(ヒア)社との提携により、自動運転用地図とその更新、運用システムの構築への注力姿勢も明確化、ナビメーカーならでは切り口から自動運転技術に対しての包囲網を固める構えだ。
(TEXT:高橋一平)

近い将来のドライブ環境を疑似体験することのできる「コンセプト・コックピット」がステージ中央を華々しく飾っていたパイオニアのブース。しかし、その本命とも言えるのは小さなクリアケースに納められた展示だった。

2017年9月下旬より自動車メーカーなどに向け同社が供給を開始している3D-LiDARのサンプルをはじめ、対応距離(レンジ)や視野角などが異なる4種類の製品を参考出品として展示。10月26日に行なわれたプレスブリーフィングに登壇した同社取締役兼常務執行役員・大館 諭氏のスピーチは、同社における3D-LiDARの開発状況と、今後数年に向けた目標についてという部分から始まり、そのロードマップがスクリーンに投影されると、手のひらに載るほどコンパクトな3D-LiDARのプロトタイプ実機を自ら掲げるなど、3D-LiDARに対する意気込みが強調されたものとなっていた。

現在開発中の3D-LiDAR群。中央の展示台右側がプレスブリーフィングで大館氏が掲げていたもの。左側の展示台に載る無骨な箱状のものは、すでに同社が供給を開始している検証用のサンプル製品、先の品と比較してみるとその大きさがよくわかる。右側の展示台上のものは超広角タイプで、こちらはMEMSのマイクロミラーではなく機械的に回転するミラーを持つようだ。中央の展示台に載る二台とはスキャンに用いるレーザーの軌跡も異なっている。

同社の3D-LiDARで注目すべきはMEMSと呼ばれる半導体上に構築するマイクロマシン技術の応用。レーザーの投射方向のコントロールにMEMS技術による角度制御可能なマイクロミラーを用い、ジグザグ状の軌跡で走査していくラスタースキャン方式を採用、ソリッドステート部品のみでメカ部分を一切持たないということから、小型化はもちろん、耐久性などといった信頼性の面において飛躍的な進歩をもたらす可能性を秘めているといっても過言でない。

→【東京モーターショー】パイオニア 実証実験を進める3D-LiDARの試作機を披露

澤藤電機 「空飛ぶクルマ」と「H2ハーモニー」

エスエスドローン社製の産業用ドローン。6枚のプロペラを持つヘキサコプターだ。ガソリンエンジンで発電して飛行用のモーターを駆動するというシリーズハイブリッド方式を採用。中央部分に対向ピストン式の発電用エンジンが見える。自ら発電しながら飛行するということで、1時間以上という、従来のバッテリー式をはるかに上回る滞空時間を実現。農薬散布を主な目的としており、16ℓの農薬を搭載することができる。プロペラの基部に覗くコイルが澤藤電機による超小型モーターのそれだ。

2017年3月にアンモニアから高純度の水素を生成する装置を発表して(岐阜大学との共同開発)注目を集めた澤藤電機。創業から百年以上の歴史を持つ同社の核となるのは、創業のきっかけとなったガソリンエンジン用の点火装置、マグネトーの主要部品であるコイルを形作るための巻線技術。東京モーターショーへの出展は13年ぶりだ。
(TEXT & PHOTO:高橋一平)

プレスブリーフィングに登壇した代表取締役専務の内野直明氏。ブースでは「くるまの未来にデンキができること。」というテーマが掲げられていた。

スターターモーターやオルタネーター、HEVやEVの駆動用モーターなどといった車載向けの電装品を手がける澤藤電機。1909年にガソリンエンジン用の点火装置、マグネトーの生産を製造から始まったという、百年以上もの歴史を持つ老舗だ。その核となるのは、モーターの主要構成部品であるコイルを形成するうえで欠かすことのできない巻線技術。近年ではエネルギー効率が重要視されることから、長年培ってきた経験とノウハウを基に、磁界解析技術の分野にも精力的に取り組んでいる。モーターや発電系という、電力を扱う技術を活かすかたちで、ポータブル冷蔵庫も手がけており、これらは海外でも高い評価を得ている。
10月26日に行なわれたプレスカンファレンスでは代表取締役専務の内野直明氏が登壇。その内容は、自動車業界で電動化が加速するなか、加速度的に存在感の増しつつある同社の立ち位置を固めながら、未来のモビリティ社会に貢献する新技術の開発にも積極的に取り組んでいくという堅実な決意表明であったが、その静かな語り口のなかで興味深かったのは「空飛ぶクルマ」への言及だ。

産業用ドローン向けに開発された、発電用エンジン。空中に浮かぶドローンは振動の影響を受けやすいため、エンジン両端にそれぞれクランクを持つ2クランク対向ピストン式の単気筒で、排気量は350cc。気筒あたり4つのバルブを持ち、サイドバルブのようにシリンダーの横にバルブを配置する。左右クランクは写真左側のカムシャフト(クランクとはギヤにより連結)と写真右側のクランク軸を結ぶベルトによって連結。二本のクランクそれぞれに発電体が取り付けられており、この部分を澤藤電機が手がけている。エンジン本体は石川エンジン

同社が開発した産業用ドローン向けの発電体とモーターは、どちらも単位重量あたりの出力が既存の従来製品を数倍単位で上回るという画期的なもの。モーターの制御応答性はドローン技術になくてはならないものだが、これだけ性能が向上してくると有人の飛翔体、つまり「空飛ぶクルマ」も視野に入ってくる。そして同社の新技術といえば忘れてはならないのが2017年3月の発表で広く注目を集めたアンモニアから水素を生成する技術だ。「H2ハーモニー」という名で展示されていたこの技術は、岐阜大学との共同開発で、革新となるプラズマ放電を発生させるための高電圧のパルス電流発生装置をはじめ、その電装部分を同社が担当している。高電圧を生み出すうえでもっとも重要な役割を果たす、トランス部分は同社の得意とする巻線技術の結晶だ。

→【東京モーターショー】澤藤電機 「空飛ぶクルマ」と「H2ハーモニー」

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