初代から2代目:進化したASFはカーボン(CFRP)を使いこなす アウディR8 進化したASFはアルミだけではなくCFRPも使うハイブリッド・ボディ
- 2019/06/22
- Motor Fan illustrated編集部
ASF(アウディ・スペースフレーム)でアルミボディをリードしてきたアウディが“マルチマテリアルASF”へと進化を遂げた。アウディのスポーツカー、R8も初代はオールアルミボディだったが、2代目はCFRPまで使った、いわゆるアルミ合金とCFRPのハイブリッドボディに進化している。
TEXT:MFi FIGURE:AUDI
アウディがオールアルミボディのA8を発表したのが1994年。以来20年間、アルミを使いこなす技術ではアウディは常に一歩先を歩いてきた。ASF(アウディ・スペース・フレーム)と呼ぶアルミボディ構造は、骨格部分をアルミ押出材で組み、そこに外皮を貼るという構造だ。クルマの外観を線でなぞるように骨格を配置し、フロアの縦横メンバーと合わせてケージ(かご)を構成していた。接合技術も抵抗スポット溶接ではなく、SPR(セルフ・ピアシング・リベット)やレーザー溶接、ミグの線溶接を使うようになった。
そのアウディが2006年に発表したのが、V8エンジンをミッドに積み、4輪駆動のクワトロシステムを搭載するスーパーカー、R8である。R8はほとんどの骨格を押出材で構成していた。それでも、アウディが目指したのは、“オールアルミのASF”だった。
21世紀に入り、スチールや複合材が進化してきたことで、アウディもオールアルミの方向を修正してきた。A8ではBピラーに高張力鋼板を使ってきた。その流れのなかで登場したのが、新型R8である。新型はアウディ自ら「マルチマテリアルASF」を呼ぶボディ構造を採る。ここでいうマルチの意味は、「アルミ+CFRP」だ。ミッドシップスーパーカーとしては、より軽くより高剛性ボディのために、CFRPを採り入れるのは必然だった。モータースポーツ・フィールドでの実績に加え、傘下のランボルギーニで積んだCFRPのノウハウもR8に投入されたと推測できる。
新型R8の乾燥車重は旧型と比べて50kg軽量な1454kgに仕上がっている。5.2ℓ・V10エンジンを搭載した4WD車としては驚異的に軽いと言えるだろう。
初代を比較してもっとも違うのはBピラーとセンタートンネル、リヤバルクヘッドにCFRPが使われていることだ。新型のボディシェルの重量は、旧型より15%も軽量になっているという。その重量はわずか200kg。同時に、静的ねじり剛性はおよそ40%も向上した。
アルミとCFRPのハイブリッド・ボディというだけなら、他にも例があるが、このR8のような構成のアルミ+CFRPハイブリッド・ボディは他に例がない。アウディは、このR8でASFをまたひとつ進化させたわけだ。
アルミ+高張力鋼板、あるいはアルミ+CFRP。アウディのいうマルチマテリアルASFはまさに新しいボディの考え方、である。
2006 The FIRST Audi R8 オールアルミ製ASF
2006年に登場した初代R8は、ほぼオールアルミ製と言っていいボディだった。押出材を多用し、パネル材は強度と剛性をほとんど負担していない構造だった。接合は、ほとんど手作業でレーザー・アークのハイブリッド溶接が多用されていた。もちろん、アウディにSPR(セルフ・ピアシング・リベット)も採用していた。アルミ鋳造材の使用は、同じASFを名乗るA8と比較するとごくわずかしか使っていない。新型R8と比較しても少ないくらいだ。ルーフサイドレールとウィンドシールド上端のクロスメンバーの接合部分には薄肉の鋳造材が使われている。
2015 The 2nd Audi A8 Coupé マルチマテリアルASF
オールアルミのASFからマルチマテリアルASFに進化した新型だが、一見すると旧型R8のBピラー、センタートンネル、リヤバルクヘッドをCFRP製に換えただけ、のようにも見える。しかし、アウディはマルチマテリアルに進化させることでコンセプトも一新したという。ボディシェルの重量は200kg。アルミ押出材で骨格を組むのは同じだが、旧型ではわずかしか使っていなかったアルミ鋳物をボディのフロント&リアセクションのフレームワークの接合部に使っている。アウターパネルは、すべてアルミ合金製。さらぶオプションとして、クリアコートCFRPのパネルを設定する。
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費が劇...
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形往復...
日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に洗練...
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこそ光...
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4とリフ...
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計ってみた...
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ
フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chapter2...
マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善手法...
マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエンジン...
ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えてくだ...
マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレインだ...
3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説
3分でわかる! スーパーカブのエンジンが壊れない理由……のひとつ...
3分でわかる! マツダのSKYACTIV-X(スカイアクティブ-X)ってな...
スーパーカブとクロスカブの運転が楽しいのは自動遠心クラッチ付...
ホンダCB1100の並列4気筒にはなぜV8のようなドロドロ感があるのか...
ホンダ・シビック タイプRの謎、4気筒なのになぜマフラーが3本?
3分でわかる!アシスト&スリッパークラッチって何? 250ccからリ...
Motor-Fanオリジナル自動車カタログ
自動車カタログTOPへMotor-Fan厳選中古車物件情報
アウディ R8
V10クーペパフォマンス5.2FSIクワSトロニック 左ハンドル ファインナッパレザー B&O ダイナミックステアリング カーボンブレーキ カーボンエクステリア インテリア 電動メモリーシート シートH TVチューナー バックカメラ 屋内保管 禁煙車
中古価格 2307万円
アウディ R8
V10プラス 5.2FSIクワトロ 後期モデル カーボンエンジンカバー カーボンインテリア 純正19インチAW【車検満了R7年12月迄】
中古価格 1211万円
アウディ R8
V10クーペパフォマンス5.2FSIクワSトロニック B&Oサウンド Bスタイリング カラードステッチ ダイナミックステアリング 拡張デコラティブパネルグロスカーボン ヘッドライニングアルカンターラダイヤモンドステッチ 20インチアルミ 認定中古車
中古価格 2391.9万円
アウディ R8
V10クーペ 5.2FSIクワトロ マグネティックライド カーボンシグマサイドブレード 4コントロールステアリング MMIナビ カラードキャリパー エンジンカバーカーボン LEDヘッド バーチャルコクピット パフォーマンスモード
中古価格 1585万円
アウディ R8
V10クーペ 5.2FSIクワトロ/BBS FI-R20AW レムスマフラー/NEWWING Fスポイラー・サイドディフューザー・GTウイング/エンジンカバーカーボン/カーボンインテリア/4コントロールサテライトステアリング/ダイヤステッチアルカンターラルーフ
中古価格 1528.8万円
アウディ R8
4.2FSIクワトロ 4.2FSIクワトロ 本革ブラウンシート・カーボンサイドプレート・カーボンインテリアトリム・バックカメラ・スピード探知機・リアウィング
中古価格 768万円