福野礼一郎氏連載「バブルへの死角」第9回はマツダ・コスモ[3代目]
- 2020/11/02
- Motor Fan illustrated編集部
『モーターファン・イラストレーテッド』でスタートした連載「バブルへの死角」。福野礼一郎さんとエンジニア諸氏による旧モーターファン誌に掲載されていた看板企画「モーターファンロードテスト」を現代の視点から再考察します。5台目のテーマ車両は3代目のマツダ・コスモ。フラッグシップ・ルーチェとの姉妹車となったスペシャルティカーについて、現代の視点から考察します。本稿では1982年7月号の「モーターファンロードテスト」をお届けします。
当時としては進歩的な一体型のサブフレームに注目。Iアーム+テンションロッド式のストラットには本車も5°03'のキャスター角を与えている(フォアラウフなし)。背面視の図の赤線は講師(「シャシ設計者」)が描き入れたもので、右端の拡大をみるとばねの軸線がサスアームとタイヤの合力点に向いていることがわかる(ストラットにかかる横力をキャンセルする目的→「オフセットスプリング」)。ハブベアリングはベアリング別体式の第1世代だが、なんとハブとブレーキローターを一体化している。これでヨーロッパに輸出したのか。
講師が立体視の図に赤で作図してセミトレのアームの後退角が小さいこと、アームに下反角がついていることを確認してくれた。セミトレはバウンド・リバウンドともアライメント変化でトーインがつくが、後退角を減らせばその傾向も減る(→後退角ゼロのフルトレではトー変化はゼロ)。ただしアームに下反角を付けるとバウンド時のトーイン化傾向が強まり(リバウンドでは弱まる)それを補うことができる(旋回外側後輪がトーインにステアすれば操縦性が安定化する=ロールアンダー)。だがいかに頑張っても、横力に即応してコンプライアンス・ステアしてしまうセミトレの欠点は治らない(上記のジオメトリー変化はロールにともなって安定化の効能がスタートする)。
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