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内燃機関超基礎講座 | 三菱自動車のプラグイン・ハイブリッドシステム[Concept PX-MiEV]実質的にはシリーズハイブリッド

  • 2020/11/20
  • Motor Fan illustrated編集部
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アウトランダーPHEVのシステム構成

電動駆動を得意とする三菱自動車。世界初の4WDプラグインハイブリッドSUVとする「アウトランダーPHEV」では、同社らしい非常にユニークなメカニズムを搭載している。その原型となったMitsubishi Concept PX-MiEVの機械構成を振り返ってみる。

『Mitsubishi Concept PX-MiEV(コンセプト ピーエックス ミーブ)』

2009年の東京モーターショーで世界初出展。PXはPlug-in hybrid, (X)cross-overの意味、MiEVとはMitsubishi innovative Electric Vehicleの接頭語。EVでの走行頻度を大幅に拡大した新開発「三菱プラグインハイブリッドシステム」を搭載し、50km/ℓ以上の超低燃費を実現した。また、差動モーターを用いて後輪左右のトルクを移動するE-AYC(Electric powered Active Yaw Control)を新たに採用した新開発S-AWC(Super All Wheel Control)を搭載することで、高い環境性能と走行性能を両立させた新世代クロスオーバーのコンセプトカーである。また、乗員に快適な室内環境を提供する"cocochi(ここち)-インテリア"や最新の安全対応技術など数多く搭載した。

Concept PX-MiEVのシステム構成図

三菱は「シリーズ・パラレル方式ハイブリッド」と呼んでいるが、実質的にはシリーズハイブリッドと考えれば理解が早まる。システムの構成は複雑だ。フロントに1.6ℓのガソリンエンジン(最高出力85kW/115ps)とセットになった発電機(発電量70kW)、クラッチ、トランスミッションを搭載。駆動用モーター(最高出力60kW、最大トルク200Nm)を前後に1基ずつと、それぞれの制御用インバーターを搭載する。多彩な走行モードを持つが、エンジン出力を駆動に用いるのは、高速道路の一定速走行など、発電より効率が高くなる範囲だけ。あとは発電用に作動すると理解すればいい。制御担当エンジニア氏も「基本はEVなので、意外と単純な制御で十分に対応できた」とコメントしていた。

ご覧のとおり、その後「アウトランダーPHEV」として結実する。エンジンは2.0ℓに改められ(その後マイナーチェンジで2.4ℓへ換装)、モーターは60kW/137Nm(フロント)/195Nm(リヤ)とされた。

フロントモーターで前輪を駆動するEVモードが基本。大トルクが必要な状態やスタビリティを高めたい場合はリヤモーターも駆動のEVモード[4WD]に切り替わる。
バッテリー残量が少なくなったら、エンジンを始動して発電するシリーズハイブリッドモードに移行。この状態でも、必要に応じてリヤモーターも併用の4WDモードに切り替わる。
高速道路での低負荷一定速走行などでは、エンジンの動力も利用するパラレルハイブリッドモードに。スタビリティレベルを高めたい場合はリヤモーターも駆動し、4WDに切り換わる。
減速時や長い下り坂をアクセルオフで走行する場合は、前後のモーターで発電してバッテリーに電力を蓄える回生モードに切り換わる。
S-AWCは、差動モーターを用いて後輪左右の駆動力を電子制御するE-AYC (Electric powered Active Yaw Control)を新たに搭載。ランエボMIEV時代からの技術の蓄積がベースとなっている。
基本がEVと考えれば、プラグイン充電可能なのも当然の話。家庭用100V、急速充電用200Vに対応。外出先や非常時には、逆に外部へ電力を供給することも可能だ。充電モードはi-MiEVと同じく、家庭用100V/200Vと大電力の急速充電に対応する。また、時間を指定した充電、エアコンの予約が行なえる無線充電予約システムなど、ユニークな機能も備える。

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