内燃機関超基礎講座 | 中国車フラッグシップ:第一汽車・大紅旗のためのV12[CA12GV]
- 2020/12/07
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牧野 茂雄
第一汽車が製造する政府要人向けリムジン「大紅旗」に、中国製V12エンジンが積まれている。設計には某エンジニアリング会社が関わったが、中国製であることに驚きを隠せない。
TEXT&PHOTO:牧野茂雄(MAKINO Shigeo)
第一汽車は中国政府要人向けの「紅旗」ブランドを持つ。中国の自動車メーカーとしては最古参であり、逆にその事実が現代の若者からは嫌われている。紅旗のカタログモデルはクラウン・マジェスタをベースにした「紅旗盛世」だけだったが、2009年10月の建国60周年軍事パレードでは、このV12を積んだ「紅旗HQE」に乗る胡錦濤国家主席の姿が報じられた。
その後、紅旗HQEは10年のオートチャイナで「CA7600L」として発表された。V12を積む本格的なリムジンであり、こうしたモデルを中国が「自主開発」したこと自体が、この国の自動車産業の現状を物語っている。展示されていたエンジンをじっくり観察したが、これといって目新しい部分はない。堅実に、信頼性重視で設計されたという印象である「HQE1台当たりの生産コストは約400万元(約5100万円)。初回は計17台が生産された」と中国メディアは伝えている。
展示用エンジンであるため細部の設計はつかみにくいが、かつてのBMW-M70系に似た吸気まわりのレイアウトと60度のバンク角、3気筒ずつまとめられた排気管などが確認できる。右の斜め後方からの写真で車載状態を想像できる。わりとコンパクトにまとまったV12という印象である。
■ CA12GV
形式:水冷V型12気筒DOHC
総排気量:5985cc
ボア×ストローク:84.0×90.0mm
圧縮比:10.3
最高出力:300kW/5600rpm
最大トルク:550Nm/4000rpm
過給の種類:×
(紅旗HQE:予定値)
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