東芝:高信頼性と小型化を実現したSiCモジュール向けパッケージ技術を開発
- 2021/05/11
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MotorFan編集部
東芝は、高信頼性と小型化を実現したシリコンカーバイド(SiC)モジュール向けパッケージ技術を開発した。
今回開発した技術により、同社従来技術に比較してパッケージ面積を約20%削減(注1)し、製品の信頼性を約2倍(注2)とすることに成功した。
シリコンカーバイド(SiC)は、従来のシリコン(Si)よりも高耐圧、低損失化が可能なパワーデバイスの新材料として期待されている。現状では、鉄道向けインバーターなど高耐圧品を中心にSiCが活用され始めており、今後、再生可能エネルギーシステムや自動車向けなどに用途が拡大し、市場規模も継続的に拡大することが予想される。
一方、SiCパワーデバイスの普及には、信頼性の向上が課題となっている。特に、鉄道向けインバーターなどの高耐圧用途に用いられるモジュール製品においては、半導体チップだけではなくパッケージも信頼性を左右する重要な要素だ。
今回開発したパッケージ技術は、銀焼結による接合を特長としている。従来のはんだによる接合は、長期間使用することで劣化し、素子のオン電圧が上昇してしまうという問題があった。銀焼結による接合を採用することで素子と銅板との接合部の劣化を抑制することができる。また、銀焼結による接合は、はんだによる接合よりも熱抵抗が小さく、パッケージの内部に熱がこもりにくいため、チップ同士を近づけやすくなり、パッケージ面積を削減することができる。これらの特長を持つ銀焼結の技術に加え、東芝がインフラ向けパワーデバイス分野で培ってきたパッケージ技術の蓄積を活用することで、同社従来技術に比較してパッケージ面積を約20%削減し、製品の信頼性を約2倍とすることに成功した。
東芝は、今回の技術の詳細を、オンラインで開催されたパワー半導体の国際学会PCIM Europeで5月5日に発表した。本技術を採用した製品を、2021年5月下旬から量産する予定だ。
注1 同耐圧の東芝従来品(140 mm× 130 mm)と今回開発した「iXPLV」(140mm×100mm)のパッケージ面積を比較。
注2 パワーサイクル試験(半導体のオンとオフのサイクルを繰り返して製品の劣化を評価する信頼性試験)において5%以上の電圧変化が生じた時点までの長さを信頼性と定義。東芝従来品の値を相対的に1とした場合、今回開発したパッケージの値は約2であった。


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